ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

島根探訪ーその3・安来ー足立美術館

2012-06-11 09:16:00 | 旅行
念願の足立美術館に行ってきました。
松江から安来までは本数の少ない電車やバスでの移動になり、帰りの飛行機の時間が気がかりなので、とにかく朝一番で向かうことにしました。
山陰とはよく言ったもので、岡山から伯備線で山中を抜け日本海側に向かうと、関東の山や、日本アルプスなどの山系、盆地になった関西等と明らかに違う風景が迎えます。
その山陰の自然に、日本の原風景といった懐かしさを感じながら、穏やかで何とも静かなたたずまいの緑濃い道を行くと、
安来節を踊るどじょうすくいのおじさんの看板がある安来会館が見え、すぐ近くに足立美術館の入り口が見えました。
「山の上の方に滝が見えるよ」との声に振り返ると、華厳の滝のような、いい景色の瀧がドウドウと豊かな流れを見せていました。
とはいえ、国道沿いに建つ鉄筋の建物が足立美術館とわかり、有名な庭がここにあるのかと意外な感じがしました。

右上に滝      白砂は川に見立てて滝からの流れを演出  

なじみの薄い日本画の良さを知ってもらうために、美術館に来館されたお客様に、まず、だれもが親しみを持てる日本庭園の美しさで、
お迎えしようというのがここのコンセプトだそうで、入ってすぐに開けてくるガラス張りの広間からの景観は素晴らしいの一語に尽きます。
その美しい庭を前に10時から30分学芸員方のガイドが聞けました。
「名園と横山大観コレクション」すなわち日本庭園と日本画の調和は、足立美術館創設以来の基本方針で、
日本人なら誰でも分かる日本庭園を造って、四季の美に触れていただき、その感動をもって横山大観という、日本人なら誰でも知っている画家の作品に接し、
日本画の魅力を理解していただきたい。そして、まず大観を知ることによってその他の画家や作品に興味をもっていただき、
ひいては日本画の美、すなわち「美の感動」に接していただきたいというのが、創設者 足立全康(あだちぜんこう)の強く深い願いなのだそうです。

     自然を切り取り絵の様に見せます

借景の一部にきれいにおさまっていた先ほどの滝が、
開館8周年に作られた人工の鶴亀の滝(15メートル)で、開館時間に合わせて水が流れるのだと聞いてびっくりしました。
近景、中景、遠景とつながって広々と広がるように見えるお庭は、実際の敷地面積としては5万坪あるとはいえ、意外とコンパクトでしたが、本当によく手入れがされ、
開館前一時間は、学芸員からミュージアムショップの販売員に至るまで、総出で庭の掃除や手入れをするそうです。
感心したのは、苔の手入れがよく、水はけに自家製の炭を埋め込む等の独創的な新しい工夫を加え、
よく見かけがちなキノコや、モミジの新芽なども芽吹き次第丁寧に手で取り除き、
赤松の美しい木肌は、古くなって固くなった樹皮を掻き落し、明るい赤を保っているそうです。

こういった人の手で十分な管理がされているところが海外での高評価につながるのでしょう、
米国の日本庭園専門誌「Sukiya Living(数奇屋リビング)/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」において「2011年日本庭園ランキング」で、
足立美術館の庭園が初回の2003年から9年連続での「庭園日本一」となったのは有名です。
そればかりではなく、フランスの旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』フランス語改訂版第2版(初版:2009年3月)においても、
足立美術館の「日本庭園」が山陰エリアで唯一となる最高評価の「三つ星」(わざわざ訪れる価値のある場所)と評価されたそうです!

大観のコレクションは、とてもよいものが120点もあり、充実しています。
また、明治、大正、昭和と同じ時代を生き、近代日本画の二大巨匠として「東の大観、西の栖鳳」と称され第1回文化勲章をそろって受章した
竹内栖鳳との比較も見ごたえがありました。
春季特別展では、東西の画壇を率いた二人の巨匠が描いた滝図や浜辺の風景など、同じモチーフの作品が並べて展示され、
ともに花鳥を描いた大観の代表作「紅葉」と、昨年80年ぶりに発見された栖鳳の大作「雨霽」が比較できるなど、見どころも満載でした。

2010年にできた新館には、院展で活躍する現代日本画家を中心にしたコレクションがあります。

二つの茶室、寿楽庵、寿立庵は、時間があれば、中に入ってお茶をいただくことができ、陶芸館喫茶室もあるので、
ゆっくりできます。
四季折々の庭の変化も楽しめるので、きっとどの季節に訪れても、来てよかったと満足できる美術館だと思います。


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