ほんとうに良い映画でした。
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツが舞台、国家保安省(シュタージ)局員の主人公が盗聴器を通して知る、音楽や文学、そして男女の深い愛、次第にそれらに共鳴していき、彼自身が変わっていきます。人間が人間的である為には芸術が不可欠なのだと改めて感じます。
映画の最初のシーンと最後のシーンの対比が印象的です。片時も息がぬけないドキュメンタリー的な映画でありながらエンタテーメント的にもすぐれており特に最後のシーンはお洒落で粋なのです。そしてなによりも歴史の重みが心に深く残ります。
私が子供の頃、各家庭にテレビが普及する前の時代、映画館でニュース映画を良く見たものでした。その中でベルリンの壁をよじのぼっている人が銃で撃たれたのを見た記憶があるような気がします。1989年、ベルリンの壁が崩壊した時はやはり大きな衝撃でした。
つい華やかな印象をもってしまうヨーロッパ、でもドイツのみならずどこの国も歴史と隣り合わせに生きているのを感じます。
若い監督(33歳)フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
彼の母親は東ドイツ人だったとのこと、子供心にも大人がおびえて生活している姿が印象的だったと述べています。