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春、積丹へ。その4

古平を過ぎると間もなく美国だ。国道229はここから再び海を避け、内陸へと迂回していく。
美国から数キロは夏ならば楽しめるワインディングだ。
今日は気温も低く、自分もまだまだ出来上がっていない、慎重に。
海岸の断崖を上がってしまえば、内陸はやさしい感じの台地がひろがる。
積丹先端部に近いところは内陸に酪農地が広がっている。
山々はまだ、真っ白に雪をかぶり、里の畑は黒い土の色を見せている。
こぶしもまだ花をつけず、春はまだまだ浅いが、ふきのとうがところどころに顔を出している。

国道から1本山側の農道をゆっくり流していると、重い機材を抱えたカメラマンがひとり、春を撮りに来ていた。

写真の白い山は積丹岳(1255m)だと思う。その向こう側に余別岳(1298m)があるはずだ。

道は二手に分かれる。積丹川を下って海まで行く国道229、海に近いルートを取り、積丹岬へと向かう道道913。
今日は積丹岬を散策する時間は取れない。厳しくも美しい積丹岬、島武意海岸の景観は、次回にとって置こう。
このまま国道を海まで出て、それから引き返すことにする。


海へでた。
春浅く、花もなく、人影も少ない。
しかし冬の休みなく吹き続ける強い季節風と高波はすでになく、春は確実にやってきている。
カモメたちが浜や岩礁にびっしり止まっていた。
魚が多いのだろう。
空気は冷たいが風は強くない。おだやかな春の海だ。


それにしてもカモメくん。
混みすぎじゃないか(笑)。


…と、一羽がさっと飛び立った。あわててカメラを振るが追いつかない。僕のコンパクトデジカメじゃ、シャッターを押してから切れるまでに結構時間がかかってしまう。
するともう一羽、低く速く滑空してきたのが横切った。さらにあわててシャッターを切る。………端っこか。

後で見てみたら、後ろの水平線に遠く神威岬の神威岩が写っていた。
神威岬は一昨年の6月に訪ねた。積丹ブルーのエメラルド色の海。見渡す限りの水平線。遠く旅するフェリー。飛び交う海鳥。
明るい夏の積丹の海を満喫できた旅だった。
(「夏、積丹の青い海。その4」(2007年6月15日)をぜひご覧下さい。)


さて、帰路に着こう。
こんな春浅い日でも、日曜の昼となると積丹岬の駐車場は車で一杯だった。バイクも何台か来ていた。僕は今日は止まらない。

代わりに、道道913をしばらく行ったところにある小さな岬、マッカ岬にちょっとだけ立ち寄った。
湾の中はこれも小さな港になっていて、岸壁では釣りに興じる人々が、また晴れて差してきた日差しを浴びて、楽しそうに並んでいた。



積丹半島を引き返す。ここは美国。
後ろに見えるのは「宝島」。豊かな海の幸。
美国からは春~秋の間、船底にのぞき窓がたくさんあって海の底が見える遊覧船が出る。
美しい海底。泳ぐ魚、海底のウニ。宝島を回り、北の湾まで行って引き返してくる1時間弱の遊覧航行。
昼には新鮮な海の幸を寿司でいただくのもなかなかオツなもの。

時間があるときに、もう一度、ゆっくり来たい。積丹半島の旅。
今日の僕は通り過ぎる。

2009年4月12日。12時57分。これから積丹半島付け根の町、果物で有名な仁木町へ、またもや季節外れの訪問だが、仁木町にある何本かの樹に、会いに行く。
(春、積丹へ。完)
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コメント
 
 
 
あきないツーリング (いのぶー)
2009-04-19 09:39:10
そうですか、19日はだめですか
通り過ぎるツーリングもいいものです
また今度来たいという思いを残しながらの走り
再度来た時の新しい発見、いいですよね
何度も言いますが・・走りたい!!
家族・親は「もう辞めたら」というんですよね
とほほ;;)
 
 
 
一期一会とまた今度 (樹生和人)
2009-04-19 10:59:37
いのぶーさん、こんにちは。
「一期一会」と、「また今度」。
相反する二つの言葉ですが、私にとってはツーリングで大切な言葉になっています。
たぶんどの風景も二度と会えない一期一会のもの。
でも、すべてを欲張らないことも大事。
体力にモノを言わせ、時間もたっぷりあった学生時代にはあまり考えなかったことです。
次はないかもしれない。
でも、「また今度」。
その意気で、ブラリツーリングを続けたいと思います。
私には、バイクで走ることが、自分を飼いならして社会生活を維持していくのにまだどうしても必要なので…^^;。
 
 
 
Unknown (やまだ)
2009-04-19 22:04:37
20年近く前になると思いますが、クルマで積丹半島を訪れたことがあります。
懐かしくなって、その頃の地図を引っ張りだして樹生さんの記事と照らし合わせてました。
あの頃はR229は周回路として開通してませんでした。
(手持ちの1989年発行の地図でも西部の一部が未開通になっています)
とても美しい海と険しい海岸線と、希有な岩々。
いつかまた訪れたい場所です。
 
 
 
積丹は (樹生和人)
2009-04-20 05:53:43
やまださん、こんにちは。
国道229が積丹半島を一周するのは、平成8年のことでした。
私自身も20年程前に2年間札幌で暮らし、その後10年間広島に暮らして再び北海道に戻って10年なのですが、その間にも北海道の道はどんどん変わりました。
積丹も、秘境という感じから身近な場所へとイメージが少し変わったように思います。
でも、海や崖、山などは、昔の面影を多く残していました。

やまださん、またいつかぜひおいで下さい。
 
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