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新しいCB1100のこと。Ⅱ(前半)

(写真URLはhttp://response.jp/article/img/2009/10/06/130442/219316.html)
【東京モーターショー09】ホンダCB1100…コンセプトモデルを市販


現在行われている「東京モーターショー2009」でHondaが出展している新しいCB1100。
以前「新しいCCB1100のこと」という記事で、CBへの期待を少し書きましたが、その後、HondaのスペシャルHPで動画やインタビュー、各部の写真などが公開され、さらに期待が高まって参りました。

今日は、全くの素人の私なりに、現在のところで私が入手した情報を元に、新しいCB1100について、こんなバイクじゃないか…という推測をたらたらと書いてみたいと思います。

<注意>*********************************
あくまで素人一個人の推測であり、大外れの可能性もあります。
私の趣味、好みを述べているのであって、正しいことをお伝えしているわけでもありません。
私の好みを人に押し付ける意図もありません。
このページをお読みの皆さんは、元のニュースソース等に当たった上で、
ご自身での判断をお願いいたします。
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<注意>*********************************
今回の記事の写真はすべて、『レスポンス自動車ニュース』さんの、
【東京モーターショー09】ホンダCB1100…コンセプトモデルを市販
のページに公開されたものです。
写真ごとに出典を明らかにするため、写真のURLを写真のすぐ下に付けております。
レスポンス自動車ニュースさんでは、合計11枚のCB1100の写真をUPしています。
また、それぞれの写真にはキャプションは元々付いておりません。
以下の写真に関するコメントはすべて私のものです。

本記事では、画像とともに文章を書かないと意味が伝わらないと判断し、
出典を明示して写真を引用しております。
しかし、著作権上重大な違反がある場合には、これらの写真を消去、
または記事全体を消去いたします。
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(写真URLはhttp://response.jp/article/img/2009/10/06/130442/219316.html)
【東京モーターショー09】ホンダCB1100…コンセプトモデルを市販


新しいCB1100、HondaのHPによれば、そのコンセプトは、
「大人の価値観に見合うエモーショナル空冷直4ネイキッド」で、開発キーワードは「鷹揚(おうよう)」。
まあ、実も蓋もない言い方をすれば、若者が「すっげー!」というマシンではなく、オジサンが「おお、いいじゃん…」と思う、そういうバイクだと。
また、Hondaは、「機能美の追求、という視点に立ったスタイリング」とも謳っています。

顔つきはCB750以来の伝統的CBの顔。
ライトの下のデュアルホーン。メーターハウジングも伝統のデザイン。目に付くのは排気管の描くカーブ。右下で一本にまとめるのは往年の名車CB400へのオマージュ。

各誌の記事にもあるように、全体のデザインは、CBーFより前のCB750やCB400をテクストとして、リファインしたものと言えます。

この自社の遺産(レガシイ)を活用して新しいモデルを送り出すといえば、レプリカ全盛期にカワサキが放ったゼファーシリーズが嚆矢といえるでしょう。ゼファー750は、サイズを低く小さくしたものの、デザイン的には露骨にZ2を髣髴とさせるものでした。しかし、そのバランスのよさ、性能のちょうどよさは、高い評価を受け、ジムカーナ等でも活躍しましたが、何より一般ユーザーに愛されて、長寿モデルとなりました。カワサキはかつてのW1デザインを元にしたと思われる650も発売。これもレトロな外観に意外にも最新技術をふんだんに導入し、ライダーの心地よさを追求したモデルで、後に本家トライアンフにボンネビルの開発を決意させるほどの成功を収め、世界のバイク業界のネオクラシック路線を確定したといえます。

ハイパフォーマンスバイクが、軽々と時速300キロを超えはじめ、想定速度域が日常使用時のはるか上になり、またデザインも有機的になり、爬虫類顔のバイクが増える中で、そんなに毎回宇宙的なハイパフォーマンスに付き合うのはさすが疲れる…、というバイク乗りは増えていきました。

HondaのHPで俳優の大沢氏が言っていた「毎週バイクに乗る度に闘ってもいられない。日常仕事で闘っているわけだから」というのが、この時代の大人たちの気持ちになってきたのでしょうか。

ドカティのネオクラシックシリーズのヒット、モトグッチのV7クラシックのヒットなど、時代は、一般のライダーが公道上で使う状況下で十二分のパワーと速さを持ち、かつ、ものすごいモンスターになんとかしがみついて、実力の三分の一以下で何とか乗らせてもらうのではなく、「ライダーが主役」の操作感、乗車感の豊富なバイクを求めるようになってきているのかもしれません。

その路線を後ろ向きでなく、ひたすら前向きに地道に改良を続けて歩み続けてきたメーカーがあります。アメリカのハーレー&ダビッドソン社です。レプリカ全盛の80年代は倒産の危機にも直面しましたが、今や日本国内でも、400CC以上のバイクでは全分野を合わせても、もっとも売れているのはハーレーなのです。

時代が一周してハーレーに戻ってきた。そう言えるのかもしれません。

さて、新しいCB1100はそうした市場の流れに対してのホンダの回答、と言えそうです。

じゃあ、「ないものをつくれ」とは言うものの、すでにジャンルが確立しているバイク界の「三丁目の夕日」セグメント、または「東京タワー」セグメントに、CBの遺産を利用して名乗り出ただけじゃん。さびしいぞ、ホンダ。

という、ホンダファンの声もいくつか聞こえてきます。
しかし、私はこのCB1100、実車を見たことがないのに、猛烈に気に入っているのです。

私は特にホンダファンではありませんが、CB1100を今のところ、熱烈に支持します。


(写真URLはhttp://response.jp/article/img/2009/10/06/130442/219326.html)
【東京モーターショー09】ホンダCB1100…コンセプトモデルを市販


まず、第一に、空冷直4のエンジンを出してきたところです。
ここのところ、国産の空冷マシンの製造中止が相次いでいました。
世界一厳しい日本の騒音・排ガス規制を、空冷のキャブレターマシンでは合格できなくなったためです。
しかし、インジェクションにするにはコストがかさみ、そのコストをかけただけの販売台数が今後さばけるのか、インジェクションにしただけで同じモデルが数万円値上がりすることを市場が受け入れるか…。そうした問題から、国産空冷マシンは次々に消えつつあります。

今や、水冷は特別なエンジンではなくなり、ウォータージャケットを持つエンジンは静粛性にも空冷より優れ(空冷フィンの共鳴りもないですし)、温度管理が空冷より利くため、スリーブレスシリンダーにもでき、重量増、部品点数増のマイナスを考慮しても、規制に合格しつつハイパフォーマンスを維持するには、水冷の方が断然有利で新たな開発も簡単な状況になっています。
(簡単などと言ってはエンジニアの方に失礼です。空冷と比較して、という話です。御容赦ください。)

特に直4のようなマルチエンジンでは、2,3番シリンダーの冷却が両端の1,4番シリンダーよりも厳しくなります。また、冷却水が強制的に循環していないので、エンジン内の熱はだんだん伝わる熱伝導だけで伝わります。エンジンヘッドでも排気側と吸気側の温度差、ヘッドとクランクの温度差が、水冷よりも大きくなりがちで、厳しいのです。(空冷エンジンを止まったまま長時間暖機するのがかえってよくないのは、この熱の偏在を招くからです。)

温度偏在が起こるということは、各部熱膨張の差が大きくなるということです。金属は熱くなると膨らみますが、そこに差がでるということはなかなか厄介な問題です。あまりきつきつに作ってしまうと、熱膨張時に金属同士が触れて焼き付き、エンジンが壊れてしまいます。(最近ほとんど聞かなくなったバイクエンジンの焼きつき、この原因の一端には熱膨張の差があったのです。)そこで、空冷では、熱膨張を見越して各部の隙間を大きめにしなくてはなりません。しかし大きすぎるとブローバイガスの増加やパワーダウン、排気の汚れなどを招きます。

現在の環境基準で新しい空冷直4を作るのは、実は簡単な事ではないのです。

CB1100は、エンジンヘッド内部ににもオイル通路を設けてヘッドの冷却性能を高めています。
2007年のモーターショーのときより、エンジンの空冷フィンが細かく、やや大きくなっていますが、外観デザインとともに、空冷の冷却性能を現実的にも詰めた結果と思われます。
私はその空冷フィンがとても美しいと感じます。

さてさて、今やデメリットだらけのように見える空冷マルチエンジン。
では、懐古趣味に走らずに、潔く水冷にしたほうがよかったのでしょうか。

私は、水冷にしておいて、外見だけ空冷のような飾りフィンをつけたりせずに、空冷で開発したホンダに拍手を送りたいのです。

私はただの一般ユーザーでド素人ですので、これから述べることは人の聞きかじりです。
どうも、最近の水冷エンジン、レスポンスが実に正確でリニア、ライダーの操作に遅れず、瞬時に、正確に反応し、狙い通りの走りを実現してくれる実力を持っているそうです。
しかし、すべての神経を研ぎ澄まし、ライディングに集中している時にはいいものの、例えば一日ツーリングで走りづめて、夕方の渋滞路、あまりにレスポンスが良いと、かえってギクシャクして疲れてしまいます。
ほんの少し、ボケていた方が、角が丸い方が、人の感性には合う。

最新のBMW・K1300Sなどでは、電子制御でその辺のぼかし方までモードチェンジして実現できるようですが、いかんせん高価です。

熱膨張への対策のため、各部のクリアランスを大きめに作らなければならない空冷エンジンは、最初からそのあたりが丸くなっており、人の感性にマッチしている…。

…というのは、根本健氏や、何人かのバイクジャーナリストが発言しています。
空冷のメリットは、数値的な優位性ではなく、ライダーの感性に近いというところにあったのです。

さらに、空冷エンジンでは、水冷のための装備がいりませんから、軽量にできますし、部品点数が少なくなます。
同じことをするのなら、シンプルな構成のほうが優れている。
それはある意味真実でしょう。

ホンダはこのエンジンを、気化器をホンダ自慢のPGM-FI(電子制御インジェクション)に設定。電子制御で燃料の噴射を細かく制御するデジタルハイテクを空冷エンジンとドッキングさせ、環境規制をクリアしつつ、アナログ的な空冷のレスポンスと融合させて、乗り手の感性に寄り添う、エンジンレスポンスと出力特性を開発してきているはずです。


(写真URLはhttp://response.jp/article/img/2009/10/06/130442/219323.html)
【東京モーターショー09】ホンダCB1100…コンセプトモデルを市販


スピードメーターの最高数値は220。世界戦略車ですから、世界中で最高速もその程度と踏んでいいでしょう。
しかし、アウトバーンでも、速度無制限区間でも速い方の流れが140~160程度というのですから(たまに250以上で「スーパーカー」の親戚たちがぶっとんで行くらしいです)、事実上の仕様では時速200キロは十分な最高速といえるでしょう。
むしろ、使いもしない時速250キロ以上の実現のために犠牲にされることのなかった実用域の豊かなトルク、パワーが、現実的な速さをもたらしてくれるのではないでしょうか。

レッドゾーンは8500回転から10500回転。
おそらく、メーターを振り切る前にリミッターが作動すると思います。
DOHCマルチエンジンならではの高回転を許容するエンジンと言えます。
しかし、超高回転まで回るエンジンを見慣れてしまった私たちには、このCBのエンジンはあまり上まで回らない印象を与えます。

多気筒エンジンは元々高回転まで回してパワーを搾り出すために生まれました。
詳しいことは省きますが、同じ排気量なら、多気筒の方が1つ1つの往復質量が小さくできるからです。DOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)も、タペットアームなどの往復質量を減らし高回転を許容するために生まれたのです。

ですから、マルチシリンダーでDOHCで超高回転まで回さないのは、出自に反しているようにも見えます。
しかし、このマルチ化、DOHC化の往復質量の減少は大きな副作用を生んでいました。

振動の減少です。

マルチシリンダーDOHCエンジンは、クランクから生まれる振動のみならず、ヘッド部の振動も減少させ、なめらかな回転をもたらしてくれるのです。
また、エンジンの燃焼間隔は、単機等なら2回転に1回のところ、2回転に4回に分かれています。これが小排気量のマルチだと、1回の燃焼時のパワーが小さいので、高回転まで回さないと使い物にならない、神経質な(そこが楽しい)エンジンになるのですが、1100ccもの排気量があれば、1回の燃焼で250cc以上のパワーがあることになります。これは車体が重いことを差し引いても、使えるパワーです。
ビッグマルチは、極低回転でも燃焼間隔が狭いために振動が少なく、滑らかで使いやすく、しかも実用になる力のでる、非常に守備範囲の広いエンジンなのです。

マラソンの中継、先導の白バイにばかり注目が行きますが、二人乗りで後ろの人が大型TVカメラを肩に背負った中継バイクに注目してみてください。
二時間以上も時速20キロで走り続け、時にダッシュして先頭を見ては最後尾近くの遅い選手と並んで巡航する。そんな低速、二人乗りの過酷な状況で使われているのは、マルチシリンダーの大型バイクが多いことにお気づきと思います。

超高回転域を捨てた、CB1100。
しかし、7000~8500の回転域では、きっとマルチシリンダーならではの、伸びやかな吹け上がりを堪能させてくれるでしょう。
そして、アイドリングよりちょっと上の回転で、ゆるゆると流す田舎道。
そこでは不快な振動のない、でも、エンジンの生きている息吹の感じられるベルベットクルージングを味わわせてくれることでしょう。
そしてどこからでもアクセルを開ければ、空冷レスポンス特有の一瞬ぶるっときて地の底からわきあがるような豊か力強いトルクで加速を始めることに、感動すら覚えるに違いありません。
そしてマルチ独特のトルクがやがて回転パワーに収束し、高まっていく、あの高揚感も、十全に備えていることは疑いを持ちません。

ホンダのエンジンマネージメントの実力の高さは、やはり世界一。そう言われています。
CB1100のエンジンにも期待が高まろうと言うものです。

さて、長くなってしまいました。
私にとってのCB1100の魅力、期待。まだまだいっぱいあります。
後半(シャシー、足回り、デザインなど)に続きます。        ⇒後半へ

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追記 2010年、2月26日

*2010年、2月26日、HONDAは新しいCB1100の詳細を発表しました。
本ブログでもそのことを取り上げています。「HONDAがCB1100の詳細を発表」で記事にしていますので、よろしければご覧下さい。

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追記 2010年、3月22日

3月下旬に入り、雑誌に試乗インプレッションが乗り始めました。
以下の頁でそれを少し紹介しています。

CB1100試乗記事『ビッグマシン4月号』

『HONDA CB1100のすべて』を読む。

よろしければ合わせてご覧下さい。
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