TOSS浜松ジャルダン

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安全な都市づくり~防犯・防災の都市~

2008-04-29 12:34:07 | 都市づくり教育
(C)Two-Way/総合/小学校5・6年/都市づくり/安全な都市づくり

2007/8/3大田区産業プラザ「アプリコ」で行われた第9回まちづくり教育シンポジウムでの提案授業。       高山 佳己       
(TOSS静岡/浜松ジャルダン)

1 環境づくりが安全な都市になる

「ニューヨーク。1992年。殺人事件2262件。世界有数の犯罪都市でした。」
「2年後1994年。ジュリアー二市長が就任します。
 殺人・強盗などの重犯罪が激減します。」

発問1 ジュリアー二市長が行ったたった一つのプロジェクト。
    みなさんが,ジュリアー二市長さんだったならば,どのようなことを行    いますか。考えをノートに書いてご覧なさい。

※列指名

「地下鉄の落書きをすべて消す。」
「かかれては消し,かかれては消し。5年間かけて落書きをなくしました。」
「そして,万引きや未成年者の喫煙などの軽犯罪を徹底して取り締まりました。」
「殺人事件は61%減少。強盗事件は47%減少しました。」

「ルトガーズ大学ケリング教授の割れ窓理論。
 たった1件の1枚の割れた窓の建物を放置する。
 すると,「直す人もいないし,気にする人もいないんだな」
 近辺の窓が割られ,凶悪犯罪につながる,というものです。」

「来日したジュリアーニ市長は言います。
『魅力的な街は美しなければならない。日本の都市は,非常に美しいので,荒廃させないようにしてほしい。』」

「環境づくりが,安全な都市づくりにつながっていったのです。」

2 コミュニティづくりが安全な都市になる

「大分県速見郡日出(ひじ)町の豊岡・辻間地区。
 世帯数 2200戸
 人口 約7000人。
 別府湾に臨む風光明媚な小さな小さな町。」

「しかし,平成14年度 強盗及び侵入盗犯発生率 県下ワースト1。
 豊岡・辻間地区 22の地区長さんたちは,驚き,危機感を抱きました。」

発問2 22の地区長さんたちがおこなったことはたったた一つ。
    みなさんが,地区長さんだったならば,どのようなことを行いますか。
    考えをノートに書いてご覧なさい。

※列指名

「防犯パトロール 竹の子隊を結成しました。
 でもこの防犯パトロールひと味もふた味も違っていました。」

発問3 昼の部。子ども連れの主婦やお年寄りたちの仕事。
    役割はたった一つ。
    何だと思いますか。

※数人指名

「すれ違う人たち全員にあいさつすることです。」

「夜の部。仕事から帰ったお父さんたちの仕事。役割はたった一つ。車庫に帰ってきた車のチェック。ロックはかかっているか,貴重品を置きっぱなしにしていなかを確認するのです。」

「深夜の部。自治会役員と若者たちです。
 コンビニにたむろしている若者を役員たちが誘いました。
 『地域の役に立っていると感じている』『自分の親の世代の大人といろいろ話ができて楽しい。』
 若者たちの言葉です。」

「平成14年度の犯罪件数 52件。」
平成15年度の犯罪件数 16件。
第1回全国防犯大賞を受賞します。」

「竹の子隊女性隊員の声です。
『数年前に引っ越してきたのですが,防犯パトロールが始まるまではご近所付き合いがほとんどありませんでした。しかし,最近は昔ながらの古き良きご近所付き合いが始まったような気がします。』」

「コミュニティづくりが,安全な都市づくりにつながっていったのです。」

3 環境づくりとコミュニティづくりが防災の安全な都市になる

□ビデオ

発問4 運動場にかかれた「水を下さい」の文字。
何に使う水がほしかったのですか。

「飲み水」
「消火用の水。」
「病院の治療用の水。」
「トイレの水。でした。」

「地震直後,神戸市内550カ所の避難所に避難した人は22万人。それがわずかな数のトイレに殺到しました。水洗トイレは,糞尿の山と化しました。」

「水洗トイレが使えない。こんなトイレが次々と生まれました。」
「砂場トイレ。」
「石油缶トイレ。」
「マンホールの上に直接作ったマンホールトイレ。」
「プールや川の水を運んで利用したトイレ。」
「大便を新聞紙に出し,包んでポリ袋に捨てました。ポリ袋トイレ。」

「食べることより出す方が先。」
「苦しい思いをして得た水はなかなかトイレに使えなかった。」
「被災者の声です。」

「兵庫区の真ん中,松本地区。
 二度と大きな被害を出さないように地域住民と行政がまちづくり協議会を立ち上げました。」

発問5 みなさんが,まちづくり協議会の人だったならば,どのようなことを行     いますか。考えをノートに書いてご覧なさい。

「『せせらぎの水』をつくりました。」
「下水を高度処理した水。」
「普段は人々の憩いの場所」
「緊急時は初期消火の水。生活用の水になります。」
「毎週70人。年間2000人の人たちが手入れをしています。」
「せせらぎの水は,地域の人々の手によって守られ,今ではコミュニティの核となっています。」

「環境づくりとコミュニティづくりが防災の安全な都市につながっているのです。」

【参考文献】
「子どもはどこで犯罪にあっているか 犯罪空間の実情・要因・対策」(中村孜 晶文社)
「犯罪は「この場所」で起こる」(小宮信夫 光文社新書)
「安全・安心まちづくりハンドブック 防犯まちづくり実践手法編」(安全・安心まちづくり研究会 ぎょうせい)
「安全・安心まちづくりハンドブック 防犯まちづくり編」(安全・安心まちづくり研究会 ぎょうせい)
「防犯まちづくり 子ども・住まい・地域を守る」(山本俊也 ぎょうせい)
「まちづくりにはトイレが大事」(山本耕平 北斗出版)
「阪神大震災 トイレパニック 神戸市環境局ボランティアの奮戦記」(監修 日本トイレ協会 神戸国際トイレットピアの会 日経大阪PR 企画出版部)

【参考HP】
日本損害保険協会 防犯のひろば
http://www.sonpo.or.jp/protection/bouhan/area/2003/grand.html
協働と参画のプラットホーム
http://www.kobe2001.or.jp/kyoudou_hyougo/hyougo012.htm


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