おじいさんの古デスク

さあ、抽斗の中にはどんなものが……

かくや

2008年08月20日 | ことば
前にもお話ししたことがあったと思いますが、この季節のご参考に
ふたたび…。
「かくやのこうこ」ともいいます。漢字で書くと「覚弥の香々」に
なります。「こうこ」というのは「おこうこ」つまり、漬物のことで
「香々」という字をあてます。いつのころからか「おしんこ」
(お新香)ということのほうが多くなって、いまでは「おこうこ」
「おみおつけ」というような呼び方がなつかしいものになってしまい
ましたね。

さて、それでは、その「かくや」というのはどんなもの?
糠漬けを出し忘れてしまい、そのままではしょっぱくて食べられなく
なったキウリやナスなどを薄く刻んで水に放し、しばらくおいてから
絞り、そこへ、ごく細切りにしたショウガ、ミョウガ、大葉などを
加えて供するものです。ほんの少し醤油をさすと風味が増します。
(あまり長く水に放しておくと味がなくなってしまいます…)

この「かくや」、江戸時代の初期に徳川家康の料理人・岩下覚弥が
考案して家康に供したところ、その意にかなったのがきっかけで後に
庶民の間に広まったという説があります。ほかにも諸説あるようです
けれど、わたしはこれが気に入ってます。
氷水に放して絞り、冷たい「かくや」にすれば、暑さで食欲のない
ときなどにはもってこいですね。(もちろん、ビールにもぴったり…)
でも、これは、べつに夏限定ではないので一年中いけます。
糠漬けの出し忘れのときは、ぜひ、お試しを。







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