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【おおかみこどもの雨と雪(2012)】

2012年08月03日 | 映画


細田守監督といえば今や宮崎駿監督に並んで名前でお客の呼べる数少ないアニメ監督。さっそくその名前に釣られ観てきました。

「おおかみこども」という秀逸なネーミングと貞本キャラとの組み合わせならもう勝ったも同然w。どんな楽しいお伽話を見せてくれることやらと期待してましたが、今回は前作『サマーウォーズ』のような派手さは一切なく、非常に真摯に丁寧に描かれた親子の成長ムービーとなっていました。

「おおかみこども」という一件トリッキーな設定は、子の成長を分かりやすく描くための記号程度の利用に抑えられており、その名前から期待されるファンタジックさやスリリングさは少なめです。むしろそのため作品としては純粋に人間ドラマを紡いでいく必要があり、越えなければいけないハードルはより高く設定されていると言えるのですが、分かりやすく複雑な伏線もなく真正面から親子の絆を描いているストーリーが清々しく、軽々とそのハードルは越えられていました。

本作はふたりの子どもの成長物語であることはもちろんですが、それ以上に母親である花の成長物語です。花の行動は悪戦苦闘でいきあたりばったり感が満載ですが、それこそがまさに本当の子育てなのではないかと思います。ボクが子供の頃は大人というのはなんでもできる絶対的存在に見えていたものですが、実際はこんなに未熟な状態で自分を育ててくれていたのだろうなと目頭熱く自身の親に感謝しました。

ただし作品上では思いのほか “苦労している感” は薄めの味付けになっています。「おおかみこども」の親として誰にも頼れない花ですので、その苦労をこれでもかと描いていくというのも脚本としてはアリかと思います。ただし前半で「しっかり育てる」と強く決意した後、「いつも笑顔でいる」という彼女の行動上そのような浪花節的な描写はほとんど意味をなさないのでしょう。そのため後半はご都合主義的に話が進んでいくように感じられた点もあり少し残念でしたが、その裏にある本当の苦労を行間に感じられたかどうかが、この作品の評価を左右するポイントだろうと感じました。

また「親はなくとも子は育つ」までは言わなくとも、「あれこれと親が手を焼かずとも子どもは自立していくものである」という点も本作の主題の一つと言えます。唯一の「おおかみおとこ」として自身のアイデンティティを押し殺し身を隠して生きてきた父に対し、二人の子らは母の愛のもと自らの野生と人間性に従い生きる世界を定め立派に巣立っていきます。「しっかり生きて!」この最後のセリフこそが “あまり余計な事をしない” 正しき愛が結実したものでしょう。

映画が終わって子供たちの成長をもっと見ていたいと思わされた時点で監督にしてやられた感じでした。


ところでジブリも細田組もどちらも日テレがおさえているというのはどんな商売上手ですか。



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