明るいときに見えないものが暗闇では見える。

映画を消費モノにさせないための咀嚼用ブログ。自己満足風。
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【ゆれる】 あやふやで正直な人の心

2009年02月10日 | 映画


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都会で自由に生きる弟。田舎で親と同居しながら家業のガソリンスタンドで働く弟想いの兄。そして二人が好意を寄せていた幼なじみの女。女は都会に疲れて一時的に戻ってきた弟に身を委ねるが、これまで良くしてくれていた兄には強い拒否を示す。その瞬間、兄の感情は激しく揺れ動き…
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「気持ち」とはゆれるもの。嫉妬、ねたみ、劣等感、優越感。そんなもので人のモラルはもろくも崩れ去る。そして昨日までの「関係」も簡単にゆれてしまうのだ。たとえそれが血を分け合った兄弟であっても。

一度噴出した感情はもう止められない。それがすべてを壊してしまうまで。。。

そんなせつない映画。

数年前、ミニシアター系上映ながら、ロングランとなった本作。
当初はもっと救いのない、「どうしようもない」ラストを期待していました。例えばオダジョーが罪にさいなまれて精神崩壊しまうような。ところが思ったよりサラッとしたラストに、アレ?
しかし観終わってしばらく経った後、あのラストの兄の微笑みが弟への「許し」でないのであれば、それ以上に「どうしようもない」ラストはないと思い、ゾゾッと震えました。

香川照之の完璧な演技と、オダギリジョーの存在感、空気管。最近の監督達がこぞって彼ら二人を使いたがる理由が分かります。若手と中堅の中で今最高のキャスティングと言っていいでしょう。面会室での二人の演技のぶつかり合い、すごい。。。


TVドラマも映画も原作モノばかりで辟易する中、オリジナル脚本で、ここまで勝負できるこの監督はもっとすごいです。


重たくて、せつなくて、そして最高にいい映画です。間違いなく邦画史に残る一本だと思います。



評価:★★★★★



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