明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【ターミネーター4】 おのれ自身をターミネート

2009年11月08日 | 映画


こんなニュースが流れていた。

eiga.com:「ターミネーター」製作会社破産で、シリーズの権利を55億円で売却へ

おお、なんということだ(;屮´Д`)屮...

ボクってば『ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ』も観て、さらに1~3も観て今度の新三部作に挑んだというのに。。。とりあえず、いつ製作されるとも知れない『ターミネーター5、6』を待ちながら、夏に観たままになっていた『ターミネーター4』について思うところをまとめておこうと思う。


世界観といい舞台設定といいかなり練った脚本であることは確か。相当時間かけて選んでたみたいだからね。過去作へのオマージュを十分に感じさせる場面を多数盛り込みながら、カイルとジョンの時空を越えた邂逅を十分に描ききったと思われ。ちょっとT1、T2との理屈付けに冗長性を感じる部分もあったが、それも新シリーズとしての説明責任と思えば納得できる。

さらにヴィジュアル的には期待を上回る出来。T-800のプロトタイプのT-600、巨大ターミネーター・ハーベスターの迫力から、荒野を疾走するバイク型モト・ターミネーターの斬新さまで、ロボット好きなアラフォー少年の心をくすぐりまくるギミック満載で大サービス。しかもなんと今回はスカイネットの内部を大公開!誰もが妄想したターミネーターの大量生産現場が見られただけで失禁もの。当時キャメロンが描きたくとも描けなかった映像が最新技術でこれでもかと魅せつけられる。


…しかし冒頭のニュースでも分かるように『ターミネーター4』は失敗した、なぜか?ビッグタイトルの続編ということで金をかけすぎてしまったからか?シュワちゃんが出ないから?監督がジョンGだから?(それはあるかも^^;) …違います。それは製作者達が「ターミネーターとは何か」を見失ってしまったから。

実はターミネーターシリーズヒットの秘密は、他でもない 「ターミネーターが主役」 であることだ。全編通してターミネーターがいかに魅力的に描かれているか、これがすべてである。T1、T2双方においてサラもジョンもある意味ターミネーターを引き立てる添え物なのだ。T1ではどこまでもどこまでも、ええっまだ来んの!?ってぐらい執拗に追いかけてくるT-800の執念深い恐ろしさ。T2ではその殺戮マシーンが翻って人間の心に目覚めていく機微、さらにT-1000の驚くべき能力と前作を上回る執拗さと狡猾さ。これがヒット作たる所以なのだ。(ちなみにT3が失敗だったのはT-Xが結局T-1000を越える恐ろしさを演出できなかったことと、ジョンの鼻が上を向いてしまったことだw)
T4を振り返ってみれば容易にそれができていないことがわかる。主役はクリスチャンベール演じるジョン・コナーつまり人間になってしまっている。さらに今回は物語のカギを握るマーカス・ライトという役にスポットを当てすぎて、主役が誰なのかボヤッとしてしまった。その上さらに新登場のロボたちはあくまでもロボにしか見えない。サイボーグとしての人物像も殺戮マシーンとしての魅力も全くない。誰があんなに弱っちく大量にやられていくターミネーターが見たいのか。一歩譲って人物像的魅力はマーカス・ライトに担わせたかったのであろうが、それを演じるサム・ワーシントンがあまりにも魅力がない。なんだかものすごくTVドラマ向けな人だ。マーカスをクリスチャンベールがやってみた方がよかったのでは。つまり魅力のある俳優がターミネーターをやるべきなのだ。絶対にターミネーターは主役でないとダメなのだ。

さらにストーリーについてはT1以後雨後の筍のように似たようなタイムパラドックスものが量産されてしまった今、いかに時間トリックを美しくまとめあげようとそれはもう既視感アリアリなハナシにしかならない。求めるべきはそこではなく、それは必要最低条件でしかないのだ。


確かにこれ、ターミネーターシリーズだと思わなければ相当楽しめた作品だったと思う。質も(お金かけた)量も十分に楽しめる作品だ。しかし残念ながらこれは『ターミネーター』だった。そこを関係者達は見失ってしまっていた。

さてキャメロンの1,2以外は認めないという人も多いがボクはこのシリーズが大好きだ。どんなにスットコ作品になってもついていきたいと思っている。T5、T6でターミネーターが主役に返り咲く日を首を長~くして待っているよ。せめてアラフォーのうちにお願いしまふm(_ _)m



星3つというところですが、モト・ターミネーターの造形が最高なのでもう一つ!

評価:★★★★☆


実はマイケル・アイアンサイド様の登場に大興奮だったのは秘密です。(^_^;;


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2 コメント

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Unknown (サマー グロー)
2009-11-08 23:59:24
引用されてるニュースは若干古く、今月になって「ターミネーター権利」はオークションで競りに出され、1月までに決定予定。あと、T3,T4のコケた要因は、「母性の賞揚」がなかったこと。女性を全面に出すことでターミネーターの恐さが逆に引き立ちますので...+女性客も惹きつけられる効果あり。製作関係者間では、T3とT4はなかったことにして、「ターミネーター サラ コナー クロニクルズ」路線で今後いこうとする動きも出てきてます...(^o^)
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Re: なるほど (takakuss)
2009-11-09 10:49:39
サマーグローさん(って言うのもヘンですが^^;)コメントありがとうございます。

「母性の賞揚」もT1、T2的には超重要なファクターでした。T3もT4もそれを取り入れようとしたフシはあるんですが、オマケでしかなく全く機能していないですねぇ。反面、上手に取り入れないと単純に女性(母性)vsターミネーターの構図となってしまい『エイリアン』的になってしまう危険性もはらんでいますので、製作者側はアタマの悩ませドコロだったのかと思います。その点TSCCは上手に作ってあると思います。(ロボ的には不足感ありなんですが^_^;)

TV.comに投票しておきました(^_^)
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