蟲
部首: 虫 + 12 画
総画: 18画
異体字 : 虫(簡体字, 新字体)
字源
「虫」一文字は、まむしの形を象ったもの。さらに一般に、爬虫類の意味も表す。「蟲」でそれが集まったものを示し、別字を構成していたが、古くから、「虫」は「蟲」の略字として混用されていた。
江戸川乱歩著「蟲」
『改造』 昭和4年9月
最近に「蟲」を読みました時には、乱歩氏の頭脳のスゴサに徹底的にハネ飛ばされてしまった感じがしました。
もっとも「蟲」の主人公が殺人を遂行する迄の筋道は何となく冗長なようで、あまり感心しませんでした。しかもその冗長さは、乱歩氏独特の気味のわるいネバリを持ったものでなくて、幾分固くるしいような感じのものでした。
それから今一つその終末に、主人公が屍体に爪と頭を打ち込むところで、何となく「余計な真似」というような感じがしました。これが乱歩氏の特徴で、同時に弱点に相違ない。「悪夢」の結末ではこうした頭の余力?が全体を悪夢として裏書きすべく、スバラシク成功しているが、「蟲」や「陰獣」では却って失敗に帰している。これは多くの作者に共通した迷いの種かも知れぬが……又読者の好みや、玩味の程度にも依る事であろうが……と思いました。
……とはいえあの「蟲」の主人公が、女優の屍体を土蔵の中からトウトウ取り出し得ずに、変テコになってヘタバッてしまう迄の極度にあられもない気分の変幻を、あんなに平気で扱い去った筆力の凄まじさには「鬼か人か」と叫びたいくらい、参(ま)いらせられてしまいました。私の寡読のせいかも知れませぬが、あのような描写を見せられた事は、今までに一度もなかった事を、私は躊躇(ちゅうちょ)せずにお答えする事が出来ます。
『江戸川乱歩氏に対するわたしの感想』(夢野久作)
鳥書(ちょうしょ、鳥蟲書・鳥蟲篆・蟲書・魚書とも)とは、春秋時代中期から戦国時代に南方で盛行した文字の一種。鳥・蟲・魚の形に似ているのでこの名がある
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小5か小6ん時に初めて読んでエエ話やなぁ~と感嘆した「蟲」
「エエ話やった」ことと 頭の中が「蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲」まみれになる件までは覚えていましたが、
40年近く時を経て内容の方はすっかり忘れ去っていたのでした。
今でゆーところの引き篭もりのお宅様が
初恋のクラスメートに再会して恋に堕ちてストーカーになって 思い余って彼女を殺してしまうが、
屍処理に躊躇と右往左往でウダウダ。
中盤の尾行シーンがダラダラと長ったらしく冗漫とゆーことと
〇〇〇〇の伏字と削除が多過ぎなのが少し残念なこと以外は完璧な内容を誇る名作です。
夢野先生もおっしゃっておられますが、屍処理のウダウダ感が手短かなれどお見事。
江戸川先生は前半にグズグズしてしまい 後半が尻切れトンボになっちゃったと後悔しておられますが
むしろ小ざっぱりしていていイサギイイ。
やっぱし江戸川先生には派手なエログロサイコ連続快楽殺人や推理探偵エンタテーメントより
地味で思い詰め型のウジウジ野朗の事を犯す前のウジウジっぷりと、
しでかした後のウジウジうだうだぶりを書いてもらった方がリアルでヨロシイ。
このムシは蛆ではない。目に見えない極微の虫である。それが死体を、スロー・アンド・ステディに腐触していく恐怖が、この小説の中心題目であった。
桃源社版『江戸川乱歩全集』のあと書きより
伏字と削除が多いので みなさんの関心事は 多分「やっちゃったのか?」とか「食っちゃったのか?」とゆーことだと思うのですが
伏字と削除で 想像力を掻き立てるとこが またオツなんである
そーゆーことをハッキリクッキリ書かない(書けない)とゆーのが 当時の日本の奥ゆかしさなんであろー
とにかく蟲である しかも蟲の群集である
バクテリアとかゆーと味気ないんでこれからそーゆーのは「蟲」と言った方がカッコイイ
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ユルグ・ブットゲライト(Jörg Buttgereit、1963年12月20日 - )
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