トロイアの王女、悲劇の預言者
カサンドラ王女は、トロイ戦争(トロイア戦争)の時、兄であるトロイの王子、パリスがスパルタ王メネラーオスの妃ヘレネーを奪い去り、トロイに帰国してきた際、この事件が国を滅ぼすことになると予言した。だが、誰も信じる者はいなかった。これは、カサンドラの予言は誰にも信じられないという呪いがなされていたからである。
なぜ? カサンドラはアポロンの恋人となる条件と引き換えに予知能力を授かったのですが、予言の力を授かった瞬間、アポロンの愛が冷めて自分を捨て去ってゆく未来が見えてしまったため、アポロンの愛を拒絶したために、カサンドラの予言は誰にも信じられないよう新たに条件を付加されてしまったからである。(アポロンの呪いという)
カッサンドラー (Wikipedia) より引用
トロイ戦争において、カサンドラは重要な予言を2つしている。
1.パリスがヘレネーをさらってきたとき、この件が国を滅ぼす。
2.トロイの木馬をイリオス市民が市内に運び込もうとしたとき、これは破滅につながる。
カサンドラ王女の予言は無視され、皆さん御承知のとおりの結果になってしまいます。これにちなんで、イタリア語では日常の会話で「カサンドラ」というと、「不吉、破局」といった意味を持たせて使われているそうです。
カサンドラ王女は、ホイッスル・ブロワー
さて、ここからがリーダーシップのお話です。組織の中における、カサンドラ王女の役割は何でしょう? 未来の予知とか、警告ですよね。ホイッスル・ブロワーの役割を担うという人もいます。いまのままだとまずいからやり方を変更すべきだ。 そういう苦言をいう人は、最近少なくなりました。リーダーと対立すると、クビになったり、成果評価で不利となり。火中の栗を拾っても馬鹿馬鹿しいという風潮になったことが大きい。硬直した大企業などでは絶滅種として、保護されるべき存在というほど減りました。
リーダーのいうがままの組織は、リーダーが暴走するのを止めることができません。また、リーダーが判断を誤まった場合、最悪の場合、組織が滅びます。そういう視点でみると、硬直した組織(大企業や官公庁、ワンマン会社など)において、カサンドラ王女の存在は、とても重要なのです。 ……アポロンの呪いがかかっているため、誰も信じないというケースも多々あります。
カサンドラ王女の悲劇は、滅びる組織の先が見え、警告するのだが、皆から疎まれ、蔑まれ、結局、組織が滅びてしまった。ということなんです。
2008/10/17 橘みゆき 拝
【関連HP】トロイヤ戦争(トロイ戦争) (Wikipedia)
カッサンドラー (Wikipedia)
現在は過去に行った選択の積み重ねです。
一方、未来は、現在に行った選択によって、良くも悪くも変わります。
不吉な予言をした結果、多くの人により回避できれば、結果よしですが、
予言は外れたと評価されます。
来年とか来月の話ですが、今月に行った結果、来月の出来事が作られます。
歴史のページをめくると、波乱万丈の繰り返しです。全く同じではありませんが、
似たようなケースをいくつかみつけ、歴史が伝える教訓を学び、行動選択の際に
役に立たせることができます。
バブルが崩壊した歴史、世界の覇権が移っていくときの出来事を振り返ると
これから、大きな変動が津波となってやってきて、誰も避けられないことが
予想されます。 橘みゆき 拝