村上春樹を海外で翻訳してる人たちを集めた
シンポジウムの記録です。
これはすっごくおもしろい。
視点の幅がすごく広くて「へー、こんな読み方もあるんだ」
と感心することしきりでした。
そして、なんといってもリチャード・パワーズの基調講演がすごい。
いやー、ホントすごいです。
以前にBlogで「小説家が評論的に物を語るのはやめてほしい」
と書きましたが、ここまでされたら降参です。参りました。
春樹の長編にユングの世界観を重ねるのは、一般的というか
周知な事実だと思います。
本人自身、河合隼雄と何度も対談とかしていることからも
影響というか類似性は明らかですし。,
ただ、ユング的世界って、輪郭がぼんやりしてて、
はっきりとはつかめない気がするのです。
少なくとも自分はそんな感じ。
イメージはつかみやすいんだけど、
つきつめづらいというか。
ある一定の領域からは、「そこは感じるのです」とつきはなされちゃうというか。
そこをパワーズは、脳科学を引用することで、ぐっと輪郭を
はっきりさせてます。
とくに前半部分で、先端の脳科学と春樹的世界を関連付けしていく
ところは、ゾクゾクするぐらい刺激的でした。
いきなり視界が晴れるような、そんな気分。
あと、はじめの1ページぐらいで述べられる、村上春樹に対する
最大限の賛辞もすばらしいです。要チェック。