或るScientistの徒然なるつぶやき

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福島第1原発の約30キロ付近の累積放射線量について(5/16までのデーターを追加)

2011-05-17 08:40:23 | 科学

公開された累積放射線量の情報を元にをグラフにして傾向を見ています。
5/16までに公開されたデーターを追加しました。
4/28以降の途中のデーターが一部抜けているのは測定が無いわけではなくて、追いついてないだけです。

このデーターを解析した結果を別の記事(http://blog.goo.ne.jp/t7o7k/e/1e21629ac0cce10a1c785481ce536cf0)として書いています。

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「避難勧告が出ている範囲から外れた場所では影響はないと考えてよさそうです。」とブログの記事「福島第一原子力発電所の放射線量の推移と宮城と茨城の数値との比較」に書いたところ、そうでもないんじゃない?というコメントをもらったので、その結果について調べてみました。

確かに、「文部科学省が調べた福島第1原発の北西約30キロ付近の4地点で、23~25日の47~50時間の屋外での累積放射線量が1・323~2・829ミリシーベルトに達した。」(参考資料のところにリンクを張っておきました)という報道があり、情報の元になっている結果は文部科学省のウェブサイトで公開されています。

文部科学省は簡易型の線量計を多地点に設置し、累積放射線量を調査しています。サーベイメーター等の瞬間値の計測と違って、積算線量を測定しているので、実際にその場所にい続けた場合の累積の被ばく線量を測定していることになります。
下に、グラフにしたものをアップしておきます。単位はmSvです。

(サムネイル画像をクリックするとグラフが表示されます。4/28以降の途中のデーターが一部抜けているのは測定が無いわけではなくて、入力する暇が無くて全部更新できていないのです。)

図中の番号は文部科学省の測定地点の番号で以下のリストの地点に対応します。
(最近の測定結果がない地点についてはグラフから省いてあります。)

31 約30km北西 双葉郡浪江町津島仲沖
32 約30km北西 双葉郡浪江町赤宇木手七郎
33 約30km北西 相馬郡飯舘村長泥
34 約30km北西 双葉郡浪江町津島大高木
38 約35km南 いわき市四倉町白岩保木田
71 約25km南 双葉郡広野町下北迫苗代替

79 約30km北西 双葉郡浪江町下津島萱深
7 約30km北北西 南相馬市鹿島区寺内本屋敷
1 約30km北西 福島市杉妻町
15 約30km北西 田村市常葉町山根鹿島
84 約30km西北西 いわき市三和町差塩
39 約45km北 相馬市山上上並木
76 約20km南西 双葉郡川内村上川内早渡
80 約25km北 南相馬市原町区高見町
21 約30km西北西 双葉郡浪江町津島東舘  

グラフの曲線の増加率(時間当たりの放射線量)は継続的に少しづつ下がっています(日数がたつにつれて傾きが小さくなっている)。おそらく、放射性物質そのものの崩壊による量の減少や拡散(減衰だと仮定して解析できているので⇒ http://blog.goo.ne.jp/t7o7k/e/1e21629ac0cce10a1c785481ce536cf0 ほとんど放射性物質の崩壊による減少のようです)によるものだと思われます。

放射性物質の出どころである事故が起きた福島第一原子力発電所での放射線量も、ここしばらくの間、減少し続けています(「福島第一原子力発電所の放射線量の推移と宮城と茨城の数値との比較」を見てください)。したがって、これらの計測地点にあたらしく放射性物質が飛んできているという可能性は低そうです。
実際に、グラフはなだらかで、あたらしく放射性物質が飛んで来ると見られるであろう大きなジャンプがありません。

さて、先日の更新時に、半減期が8日と短いヨウ素の放射性同位体だともう少し増加率の下がり方が大きいはずだと思ったので、「半減期の短いヨウ素の放射性同位体(半減期8日程度)に加えて半減期の長い放射性物質(セシウムの放射性同位体など)が測定点の周辺にあるようです。」と書いたのですが、その後のデーターをチェックしたところ、場所によってはほぼ半減しているので、主成分はヨウ素の放射性同位体と考えてよさそうです。

どのような曲線で減少していくかの傾向がわかって、半減期の情報を元に適切なモデルを作ることができればこの場所での年間の累積の被ばく線量を求めることができるはずです。このデーターを解析した結果を別の記事(http://blog.goo.ne.jp/t7o7k/e/1e21629ac0cce10a1c785481ce536cf0)として書いていまが、その解析結果を見ると、一部の地点では、ヨウ素の放射性同位体に加えてセシウムの放射性同位体があるようで、年間の被ばく線量の値もおおきなものになっています。

**参考にした資料**
東日本大震災:福島第1原発事故 北西30キロ、累積放射線2.8ミリシーベルトに
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110327ddm001040067000c.html

「文部科学省が調べた福島第1原発の北西約30キロ付近の4地点で、23~25日の47~50時間の累積放射線量が1・323~2・829ミリシーベルトに達した。」に該当する文部科学省の情報は以下のページのものです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304002.htm



2 コメント

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Unknown (hikaru)
2011-03-27 18:19:49
目に見えることは人間の力で改善できるが、目に見えないことを解決しなければ、真の復興にはならない。そして、同じ惨劇を繰返さなければならなくなる。
私たちが、今、しなければいけないことは、『救世主スバル元首様』に、救いを求めることだ。
  もう、時間がない!!
http://www.kyuseishu.com/tanuma-tu-koku.html 
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目に見える=可視光で見える (t7o7k)
2011-03-28 10:51:14
目に見える=可視光で見えるということなので、世の中には肉眼で見えない物がたくさんあります。ただそれだけのこと、適切な検出器があればX線だって、γ線だって「見え」ます。
あれ?hikaruさんのコメントはそういう意味じゃなかった?
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