前回の続きを。国際ルールにおける「スペースの狭さ」等の違いが、どれだけプレイに影響を与えているかを具体的に考えてみたい。
1.スペーシング↑(個人技↓)
プレイエリアが3/4に小さくなれば、一人の選手を二人がかりで守ってもそれ程ディフェンスに大きな穴が生まれなくなる。よってオフェンスの中で個人技の占める割合が低下し、チームとして限られたスペースをどうやって使うか=スペーシングがより重要になってくる。ところが、イリーガルディフェンスやアイソレーションに慣れきったNBAの選手には、この感覚がおよそ欠落している。トップからのピックアンドロール、両コーナーにそれなりにシュート力のある選手を配置、というプレイが散見されたようだが、そんな付け焼刃的な対処方法で攻めきれる程、海外のディフェンスは甘くないように思う。
2.ゲームの「フロー」↑
当然プレイエリアが狭くなれば、ディフェンスとしては焦点を絞りやすくなるし、またノーマークのシュートチャンスが生まれる確率も低くなる。流れるようなボールの展開によってディフェンスの焦点を絞らせないこと、またそこから生み出されたシュートチャンスに躊躇無くシュートを打つこと(一度シュートチャンスを逃すと次はなかなか来ない)、つまりゲームの「フロー」を作り出すことが重要になる。ボールが一つのところに滞留するような、「フロー」の無いNBAのオフェンスでは国際ルールのディフェンスを崩すのは困難である。
3.3ポイント↑
NBAに較べればより少ないリスクを取りながら(1メートル近くから打てる)同じリターンが得られる訳だから、ゲームにおける3ポイントの重要度は高くなる。実際に昨シーズンのNBAと今回の世界選手権を比較すると、FGAに占める3PAの割合は20%に対して35%と、15%も高い。これだけ3ポイントの重要度が増しているにも係らず、今回のアメリカチームのロスターの中で最も3ポイントシュートの確率が高かった(2005-2006シーズン)のは、Shane BattierとAntawn Jamisonの39.4%でリーグ31位。共にピュアシューターとは呼び辛い。昨年8位だったBruce Bowen(42.4%)に至っては直前にカットされてしまった。もう少しシューターを集めてもよかったのではないか。その点、ReddとBillupsの加入には期待したいところ。
4.インサイドプレイヤー↓
1で述べたようにダブルチームを掛けやすいこと、またペイントエリアが台形でゴールまで微妙に遠いこと、外角シュートの重要度が高いこと等から、相対的に見たインサイドプレイヤーの重要度は低下している。前回アテネでDuncanが思うような活躍を見せられなかったのは記憶に新しい。また3ポイントを打てるインサイドプレイヤーが多く、ディフェンス面でのカバーすべきエリアが広いことから、スピードに欠けるようなインサイドプレイヤーは幾らパワーがあってもディフェンス面での負担になってしまう。今回の人選は、Brand、Howard等それなりに機動力のあるインサイドを集めていたが、それでもPick&Rollを守りきれなかったのだから、如何に海外のインサイドがスピードとシュートを兼ね備えているかが判る。
もちろんイリーガルディフェンスの影響も少なくないだろう。イリーガルディフェンスによる流れの無いオフェンスに慣れきってしまっただけでなく、僕の友人からは、「ディフェンスにおけるヘルプポジションの取り方」がズレていた、という指摘もあった。
書くのが遅くて時間がかかります。残りはまた次回。
1.スペーシング↑(個人技↓)
プレイエリアが3/4に小さくなれば、一人の選手を二人がかりで守ってもそれ程ディフェンスに大きな穴が生まれなくなる。よってオフェンスの中で個人技の占める割合が低下し、チームとして限られたスペースをどうやって使うか=スペーシングがより重要になってくる。ところが、イリーガルディフェンスやアイソレーションに慣れきったNBAの選手には、この感覚がおよそ欠落している。トップからのピックアンドロール、両コーナーにそれなりにシュート力のある選手を配置、というプレイが散見されたようだが、そんな付け焼刃的な対処方法で攻めきれる程、海外のディフェンスは甘くないように思う。
2.ゲームの「フロー」↑
当然プレイエリアが狭くなれば、ディフェンスとしては焦点を絞りやすくなるし、またノーマークのシュートチャンスが生まれる確率も低くなる。流れるようなボールの展開によってディフェンスの焦点を絞らせないこと、またそこから生み出されたシュートチャンスに躊躇無くシュートを打つこと(一度シュートチャンスを逃すと次はなかなか来ない)、つまりゲームの「フロー」を作り出すことが重要になる。ボールが一つのところに滞留するような、「フロー」の無いNBAのオフェンスでは国際ルールのディフェンスを崩すのは困難である。
3.3ポイント↑
NBAに較べればより少ないリスクを取りながら(1メートル近くから打てる)同じリターンが得られる訳だから、ゲームにおける3ポイントの重要度は高くなる。実際に昨シーズンのNBAと今回の世界選手権を比較すると、FGAに占める3PAの割合は20%に対して35%と、15%も高い。これだけ3ポイントの重要度が増しているにも係らず、今回のアメリカチームのロスターの中で最も3ポイントシュートの確率が高かった(2005-2006シーズン)のは、Shane BattierとAntawn Jamisonの39.4%でリーグ31位。共にピュアシューターとは呼び辛い。昨年8位だったBruce Bowen(42.4%)に至っては直前にカットされてしまった。もう少しシューターを集めてもよかったのではないか。その点、ReddとBillupsの加入には期待したいところ。
リーグ | FGA | 3PA | 3PA/FGA | |
---|---|---|---|---|
NBA(2005-2006) | 194,315 | 39,313 | 20.2% | |
世界選手権(全試合) | 10,044 | 3,522 | 35.1% |
4.インサイドプレイヤー↓
1で述べたようにダブルチームを掛けやすいこと、またペイントエリアが台形でゴールまで微妙に遠いこと、外角シュートの重要度が高いこと等から、相対的に見たインサイドプレイヤーの重要度は低下している。前回アテネでDuncanが思うような活躍を見せられなかったのは記憶に新しい。また3ポイントを打てるインサイドプレイヤーが多く、ディフェンス面でのカバーすべきエリアが広いことから、スピードに欠けるようなインサイドプレイヤーは幾らパワーがあってもディフェンス面での負担になってしまう。今回の人選は、Brand、Howard等それなりに機動力のあるインサイドを集めていたが、それでもPick&Rollを守りきれなかったのだから、如何に海外のインサイドがスピードとシュートを兼ね備えているかが判る。
もちろんイリーガルディフェンスの影響も少なくないだろう。イリーガルディフェンスによる流れの無いオフェンスに慣れきってしまっただけでなく、僕の友人からは、「ディフェンスにおけるヘルプポジションの取り方」がズレていた、という指摘もあった。
書くのが遅くて時間がかかります。残りはまた次回。
大会前、ピッペンが「ウェイドならぺネトレイトでゾーンを破ることも可能だろう」と語っていたのですが、このコメントに代表されるようにアメリカのHC、選手、関係者などはまだまだNBAとFIBAのゲーム性の違い対する認識がまだ甘いのではと思いました。
レブロンが思いっきりボールの流れを止めて、そこからオフェンスをクリエイトしようとする場面が多々見られましたが、あれこそまさに「フロー」の無いNBAオフェンスの象徴でしたね。
対照的に素直にキャッチ&シュートやトリプルスレットからシンプルかつ効率良くジャンパーを重ねていたアンソニーは国際ルールにもそれなりに対応できていた(というより単純に元のプレイスタイルがFIBAルールに合っていたというだけなんでしょうけど)数少ない選手だと思いました。
外のシュートに関しては上手い下手以前にリズムが非常に悪いと思いました。特にゾーンを敷かれた時は明らかに打たされてるといった感じで。
あとキャッチ&シュートではなくリズムシュータータイプの選手が多かったのも不味かったのではと。
ディフェンスはゾーンをモノにできれば随分違ってくるのではという期待はありますが、果たしてそれを詰めるだけの時間的余裕がアメリカチームにはあるのかどうか…。
大会終了後、アメリカのメディアでも敗退の原因についていろいろな意見が述べられていましたが、スペースについて論じたものは無く、一方で、高卒選手が増えてファンダメンタルが弱くなった等、ややポイントのずれたものも目立ちました。Cアンソニーも、ハイライトの中で得意の「ボールを貰って、ディフェンスの足元を2秒ながめてからシュート」をやっていて、あのボールのガメ方では本当に国際ルールに合っているかは疑問ですね。
今後も宜しくお願い致します。
バスケットは過去のものと思っていたのが、息子のミニバスがきっかけで、コーチまで引き受け今日に至る始末。
このような方(t123daさんのような)も、ブログにて情報発信されていることをうれしく思う次第です。
ミニバスもコートの広さ、狭さがよく問題になります。ふつうの大会は、小学校の体育館、県代表を決めるような大会の決勝は、一般と変わらないコートの広さで行われます。
t123daさんの過去ページについてもゆっくりと拝見しようと思います。
まずは、ごあいさつまで。
日本ではミニバスも随分盛んになってきているようですね。トップの競技レベル向上に繋がることを願うばかりです。しかし大会のレベルによってコートの広さが変わるというのはなんともやり辛そう。
今後も宜しくお願い致します。