先日、打ち合わせを兼ねた飲み会みたいなのが深夜まで及んでいた。こっちは酒の席ではあるものの、やっぱり仕事の話なので前後不覚になるほどは飲んじゃダメだなと、気を使いながら飲んでいた。で、顔が火照ってきたので(当然、酒が起因のそれ)、外に出で少し涼もうということに。まあ、残暑厳しいなかで冷房効いている部屋から外に出で「涼む」ってのも変な話なんだけど。まあ外に出たわけです。深夜3時ほど。繁華街であるものの流石に人影はまばら。
「ついでになんか食べようかな」と思い暫らく歩いていると目の前に警官が3人立っている。何かと思って近寄ってみると上半身裸の若い男が、肩に洋彫りの刺青のある(任侠系のそれではなくお洒落なんだろうな)、そこそこツラのいい男が横たわっていた。
「酔っ払い?」と思ったが、ちょっと様子が違う。
全身が青黒い。青白いのではない。「青黒い」のだ。そして腹や胸がピクリとも動いてない。さらに周囲に漂う奇妙な匂い。死臭だ・・・。
死んでる。さっきまで楽しく酒を飲んでいて、何らかの理由で死んだのか。よくよく見てみると少し離れた場所に数名の男女が確実に距離を持ちながら、それでも心配げに見ている。彼背と一緒に飲んでいたのか? すると合コンなのかな。
この死んでいる男。死の数時間前まで「俺はあの右の子で」とか考えていたのだろうか。胃袋の中には酒とかツマミがきっしりか。まだ消化されていていない焼きうどんとか入っているのかも。一応、変死扱いになるのかもな。それでこれから数時間後に解剖されるのか。明日か明後日は通夜かな。まだ二十歳くらいだろう。それで死んだ。酒飲んで死んだ。勝手に想像するに数時間前まで大盛り上がりで死んだ。
知り合いで現在白血病で闘病中の人がいるのだが、その人は入院していながらもまだ生きている。目の前のコイツは死んでいる。
この世にどんな未練を残したのか。合コンの結果か? 納得のいく人生だったか?
一人でそんなことを、暫らく考えていた。警察官は忙しそうに無線であれこれ連絡している。近くにもう一人横になって酔いつぶれている若者がいるのだが、そいつは寝返りをするところあたり生きているのは確実。そして警官はそっちを相手にもしない。ますます青黒い彼の死を確信する。
とりあえず少し離れた場所で彼に向かって合唱する。
「南無阿弥陀仏」と自分の家の宗派(ええと、確か題目系)とは無関係に念仏を。
えらくチンケな人生だったな、と通行人であるところの俺にそう思われ、同情されるのもどうかと思うが。
きっと親御さんなり血縁者もいるだろう。何時間後かに彼の死を知って悲しむのか。何か切ないね。もし仮に来世ってのがあるなら、次はもうちょっとちゃんと生きろよな。酒は控えとけよ。
しかしこっちとしても親戚でもなんでもない人の死体を、それも路上でちゃんと見たのは初めてだったのかもしれない。
いろいろ考えさせられる。人間とは何だ。生とは、そして死とは・・・。
考えた挙句に、打ち合わせであるところの飲みの席に戻って俺は開口一番、
「さっき死体見ちゃったよ」と。その後の打ち合わせが台無しになったのはいうまでもない。
(バチェラー掲載。今年の夏とか。掲載後に編集から「うちはエロ本なんだからこういう話題は」といわれる)
「ついでになんか食べようかな」と思い暫らく歩いていると目の前に警官が3人立っている。何かと思って近寄ってみると上半身裸の若い男が、肩に洋彫りの刺青のある(任侠系のそれではなくお洒落なんだろうな)、そこそこツラのいい男が横たわっていた。
「酔っ払い?」と思ったが、ちょっと様子が違う。
全身が青黒い。青白いのではない。「青黒い」のだ。そして腹や胸がピクリとも動いてない。さらに周囲に漂う奇妙な匂い。死臭だ・・・。
死んでる。さっきまで楽しく酒を飲んでいて、何らかの理由で死んだのか。よくよく見てみると少し離れた場所に数名の男女が確実に距離を持ちながら、それでも心配げに見ている。彼背と一緒に飲んでいたのか? すると合コンなのかな。
この死んでいる男。死の数時間前まで「俺はあの右の子で」とか考えていたのだろうか。胃袋の中には酒とかツマミがきっしりか。まだ消化されていていない焼きうどんとか入っているのかも。一応、変死扱いになるのかもな。それでこれから数時間後に解剖されるのか。明日か明後日は通夜かな。まだ二十歳くらいだろう。それで死んだ。酒飲んで死んだ。勝手に想像するに数時間前まで大盛り上がりで死んだ。
知り合いで現在白血病で闘病中の人がいるのだが、その人は入院していながらもまだ生きている。目の前のコイツは死んでいる。
この世にどんな未練を残したのか。合コンの結果か? 納得のいく人生だったか?
一人でそんなことを、暫らく考えていた。警察官は忙しそうに無線であれこれ連絡している。近くにもう一人横になって酔いつぶれている若者がいるのだが、そいつは寝返りをするところあたり生きているのは確実。そして警官はそっちを相手にもしない。ますます青黒い彼の死を確信する。
とりあえず少し離れた場所で彼に向かって合唱する。
「南無阿弥陀仏」と自分の家の宗派(ええと、確か題目系)とは無関係に念仏を。
えらくチンケな人生だったな、と通行人であるところの俺にそう思われ、同情されるのもどうかと思うが。
きっと親御さんなり血縁者もいるだろう。何時間後かに彼の死を知って悲しむのか。何か切ないね。もし仮に来世ってのがあるなら、次はもうちょっとちゃんと生きろよな。酒は控えとけよ。
しかしこっちとしても親戚でもなんでもない人の死体を、それも路上でちゃんと見たのは初めてだったのかもしれない。
いろいろ考えさせられる。人間とは何だ。生とは、そして死とは・・・。
考えた挙句に、打ち合わせであるところの飲みの席に戻って俺は開口一番、
「さっき死体見ちゃったよ」と。その後の打ち合わせが台無しになったのはいうまでもない。
(バチェラー掲載。今年の夏とか。掲載後に編集から「うちはエロ本なんだからこういう話題は」といわれる)
その団地で僕が投函中に飛び降りがあったみたいで、投函中に警官を見て、一旦外を出た時に死体の周りに警官と住民が。
怖くなり、未投函の所を後に、その団地から急いで出ました。
そういう死体を見たのはそれきりですが、後で「どういう理由でああなったのか」と複雑な気持ちになりました。