日々の戯れ

鈴柩の頼りない脳細胞に代わる記憶

家庭用殺虫剤(分子模型)

2007-08-26 | 分子模型図鑑

最近のハチ退治のお供には

「スーパースズメバチジェット」という殺虫剤を使用している

スーパースズメバチジェット 480ml スーパースズメバチジェット 480ml
価格:¥ 2,625(税込)
発売日:2005-04-06

高いだけあってハチを瞬殺できる

成分表を見ると「プラレトリン」とだけ書いてある

調べてみるとこれが蚊取り線香から

派生してきたものだった

では夏のうちに家庭用殺虫剤の分子を紹介しておこう

 

蚊取り線香というと日本の昔から在るもののように思うが

実は原料の除虫菊がアメリカから伝来したのが明治18年

渦巻型の蚊取り線香が発明されたのは

明治28年になってからだ

大日本除虫菊(金鳥)の創業者の奥さんが発案者

除虫菊の何が蚊に効くのかというと

ピレトリンという成分だ

ピレトリン

ピレトリン

写真のピレトリンの左側に菊酸というカルボン酸が付いている

菊酸

菊酸

三員環が含まれたカルボン酸であるが

実はこの菊酸とアルコールの化合物(エステル)が

ピレトリンの正体だ

昆虫の神経伝達を阻害して殺す

お菊さんだからといって呪い殺すわけではない

ピレトリンの誘導体をピレスロイドといい

様々な合成ピレスロイドが現在作られている

ピレスロイドは哺乳類・鳥類に対する毒性が低いので

家庭用の殺虫剤として広く使われている訳だ

 

ピレトリン自体いまだに使用されており

アース製薬のアリアースピレトリン

しかし現在の蚊取り線香はピレトリンを使用していない

アレスリン

アレスリン

アース渦巻香・キンチョウの渦巻に使用されているのが

アレスリンである

左半分「菊酸」構造が変わっていないことを確かめてほしい

アレスリンは熱に強いので

火をつけて使う蚊取り線香に適しているということだ

アースマットもこのアレスリンを使用している

金鳥蚊取りマットはこちらだ

フラメトリン

フラメトリン

これも「菊酸」構造はそのまま残っている

 

アースジェットキンチョールなどのスプレー式殺虫剤には

次の2つの成分が配合されている

フタルスリン

フタルスリン

レスメトリン

レスメトリン

フタルスリンは即効性が高く

レスメトリンは致死性が高い

素早くカやハエを落し確実に始末しようと言う訳だ

 

次に液体蚊取りだが

プラレトリン

プラレトリン

アースノーマットはプラレトリンを使用している

ようやく出てきた

スーパーハチジェットもこれだ

ここまでの分子全て似通っていることを確認してほしい

左側の「菊酸」構造は温存されている

 

だが蚊に効くカトリス・キンチョウリキッドでは

ちょっと様子が変わってくる

トランスフルトリン

トランスフルトリン

メトフルトリン

メトフルトリン

緑色の球体は塩素原子

灰褐色の球体はフッ素原子を表している

右側の分子構造も大幅にかわったが

「菊酸」部分をいじってあるのがおわかりだろう

このあたりが殺虫剤の最先端なのだろうな

 

今回調べてみて

金鳥もアース製薬も情報公開が進んでいて

成分を公表しているのが助かった

フマキラー(ベープ)はホームページでは

成分を調べられなかったので

ぜひ改善をお願いしたい所だ

コメント
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