空蝉ノ詩

蝉は鳴く。地上に生きる時間は儚く短い。それでも蝉は生きていると。力の限り鳴き叫ぶ。私も今日、力の限り生きてみようか。

84編 ケチな人は不幸だ

2017-07-18 20:18:14 | 老詩
ケチな人は不幸だ

生きていると
人間ほど面白い動物はいない
檻(刑務所ではなく動物園のをさす)のなかで
過ごしている動物達は
逆に(動物園に訪れた)人間たちを
どう見ているのだろうか

小規模デイサービスでは
よく要介護老人を外に連れ出し
「外食」の楽しむ
道の駅には
麺類(蕎麦が一番多いかな)が多い
ひとつのテーブルに
利用者、スタッフ入れて5人が座った

4人の仲間は「天ざる蕎麦」を食べていた
スタッフの女性角田節子(カクタ セツコ 52歳)は
ただ一人「ざる蕎麦」を注文し食べ始めた
彼女は揚げ物が大好物で
天ぷらも目がないほど大好き
ならば皆と同じく天ざる蕎麦を頼むと思うのだが・・・・
他者が食べている天ぷらをじっと見つめ
「天ぷら美味しいでしょ」と
何度もシツコク話しかける
傍で天ぷら傍を食べている仲間は
いたたまれず彼女に南瓜の天ぷらをおすそ分けをした
ありがとうの言葉もなく
南瓜の天ぷらを口にする彼女

彼女の哲学は
友達とつきあいをすると
食事会などに誘われるなどして
お金がかかるから
友達はつくらない

外食でステーキを食べても
安いお肉を食べても
肉には変わりはないから
安売りの時に肉を買えばいい

他者からお土産を頂くことがあっても
自分から感謝の気持ちで他者に対しお土産を買うことはない
彼女には一人息子とひとり娘がいる
その子どもたちに
結婚は面倒臭く、金がかかるから
結婚はしない方がいい、と話している

傍で聞いていた物忘れが多くなってきた老人は
「そんなにケチケチして、食べるのも食べないでいると
人間不幸になるだけだし、長生きしないよ」と話すも
彼女は「・・・・・」

友達付き合いの経験がないから
彼女は食べ終わると席を立ち上がり去ってしまう
食事は会話しながら楽しむ
そんなことがわからない

試食コーナーでは
彼女は其処に立ち止まり
一口ならぬ大半を「試食」している

寂しい人生であり
或る意味では可哀想人でもある

他者のためにお金を使うことができない人は
結局は他者から施されることもなくなってしまう

もらうだけでは愛は成り立たない
他者に与えることにより
人間を喜びを分かち合える
そのことを体験していただきたい と
彼女を見て思う




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