レンズの向こうに・・・・。

きままな写真ブログです。ホッとする写真、懐かしい写真、ニコッとする写真、感動する写真、そんな写真が撮れたら楽しいですね。

Vol.1103 鎌倉で出会った風景 (最終)  (Photo No.7602)

2011年06月16日 19時58分09秒 | DX ED 17-55mm F2.8G
鎌倉に行くと、必ず会いに来る二の鳥居の狛犬です。笑っているような
表情がいいですよね。もう、この狛犬の写真は何枚撮ったことか。きっと
この狛犬が、鶴岡八幡宮に参拝に来る人達の心を和ませてくれている事
でしょうね。二の鳥居からは段葛(だんかずら)と呼ばれる車道より一段
高い歩道を通って参道がある三の鳥居に行けます。この歩道は比較的混雑
しないので楽に歩けるからいいですよ。

【撮影日】2011/06/05 11:44:02.17
Nikon D300 レンズ:17-55mm F/2.8G
焦点距離:34mm F/2.8 1/6400秒

今日は夕方から小雨が降り出した東京です。日中は蒸し暑かったですね。
午後からは、有楽町の東京国際フォーラムで開催されていた経営セミナー
に参加してきました。講師は、以前ちょっとご紹介した事のある、昔、私が
勤めていた会社の先輩でもあるT氏です。CS(Customer satisfaction:
顧客満足)をテーマに全国で講演されています。今日も素晴らしい話が
聞けました。その話の中に出てきたある女性のお話をご紹介します。経営
セミナーなのに今日は目頭が熱くなって、涙を止めるのが大変でした。
それほどいいお話でした。ご紹介しますね。

【 人はしばしば目標を失い、生きる事に苦しみ悩むことがある。しかし
  その苦しみの大半は永久には続かない。人間は、常に変わることが出
  来るからなのだ。ある平凡な女性の今村幸子(仮名)は、その事を
  身をもって体験する事になった「ある出来事」がある。幸子は小さい
  頃から、何をやっても長続きしない女の子だった。
  田舎から東京の大学に来て、部活やサークルに入るのは良いのだが
  直ぐに嫌になって、所属を次々に変えていった。そして、4年間も
  あっという間に過ぎ、やがて就職の時期がやってきた。幸子は物を
  作るメーカー系の企業に就職した。ところが仕事が長く続かずに
  務め始めて3ヶ月もしないうちに上司と衝突してしまった。幸子は
  上司に謝る事もせずその会社をあっという間に辞めてしまい、すぐに
  違う会社へ入社してしまった。次の就職先は物流の会社で、こちら
  も入社してみると、自分が想像していた仕事と全く違う内容と言う理由
  で、やはりそこも、半年ほどで辞めてしまった。その次は、医療事務の
  会社で、それも「やはりこの仕事じゃない」と言って辞めてしまった。
 
  そうした事を繰り返しているうちに、いつしか幸子の履歴書には、入社
  と退社の記録が並び、1枚では書ききれなくなる程になっていた。ついに
  幸子を正式に雇ってくれる会社は全くなくなり、東京から負け犬のように
  田舎へ帰るしか方法が無くなってしまった。そんな自分の不甲斐なさに
  涙が出てきた。

  ある日、幸子の友人がパートで働いていたスーパーのレジの仕事が急に
  出来なくなり、短期間でと言う条件で、幸子にパートの代役を押し付けた。
  当時のレジは現在のPOSシステムもバーコードもなく、自分の手でレジ
  打ちをしなければならなかった。しかし、幸子はすぐにレジ打ちに飽きて
  しまい、「私は、こんな単純作業のため、大学を卒業したのではない」と
  考え始めた。今までさんざん転職を繰り返し、我慢の続かない自分が嫌に
  なっていたが、やはりどう頑張っても、この仕事を続けようという気持ちに
  ならなかった。いつものように、もうやめようと辞表を書いていると、田舎
  の母から電話がかかってきた。「帰っておいで・・」受話器の向こうから
  母親の優しい言葉が聞こえてくる。

  この電話で迷いが吹っ切れたように、幸子はアパートの部屋の荷物を片付け
  始めた。整理しながら段ボールに荷物を詰めていると、机の引き出しの奥から
  1冊のノートが出てきた。それは幸子が小さい頃から大切に綴っていた日記だった。
  パラパラとめくるうちに、「私はピアニストになりたい。」と書かれている
  ページを発見した。思い出してみると、ピアニストは、幸子の小さい頃からの
  夢で、ピアニスト目指して、毎日ピアノの練習を続けていたものだった。考えて
  みれば、不思議とピアノの稽古だけは長く続いた。しかしピアニストへの夢は
  いつのまにか諦めてしまっていた。日記をめくりながら、本当に何をやっても
  ダメな自分が情けなくなってしまった。それでも、もう少しだけ、レジ打ちの
  仕事を頑張って続けてみようかと思い、部屋の整理を途中にして、手を止めた。
  すると、なぜか幸子にふとある考えが浮かんできた。「私は昔、ピアノの練習を
  繰り返しやっている内に、鍵盤を見ずに楽譜を見るだけで弾けていたわ。」そんな
  当時の事を思い出し「そうだ、私は私流でもいいから、レジ打ちを極めよう」と
  考え始めたのだ。レジは商品ごとに打つボタンが沢山あるが、それを全て頭の中に
  叩き込む事から始めた。覚えたら、後は打つ練習だけで、幸子は毎日ピアノを弾く
  ような気持ちでレジを打ち始めた。数日のうちに、すごいスピードで打てる様に
  なり、そうなると今まで見えなかったものが、見えるようになってきた。心に余裕
  が出て来たのであろう。

  目に映ったお客さんの様子は「ああ、あのお客さん昨日も来ていたな」「この人は
  丁度この時間になったら子供連れで来るんだ。」それまでと違って、色々な事が
  良く見えるようになってきた。そうなると、不思議とレジ打ちが楽しくなってきた。
  手際よくレジを打ちながら、いろんなお客さんを見ているうちに、今度はお客さん
  の行動パターンやクセに気がついてきた。
  「この人は安売りのセールを中心に買う」とか、「この人はいつも店が閉まる間際
  に来る」とか、顔と行動が良く分かってきた。

  そんなある日、いつも期限切れ間近の安いものばかり買うおばちゃんが、5千円も
  する尾頭付きの立派なタイをカゴに入れてレジに持ってきた。幸子はびっくりして
  「今日は何かあったのですか?」と話しかけると、おばちゃんはニッコリしながら
  「孫が賞をとって、今日はそのお祝いなんだよ。」「それは良かったですね。おめ
  でとうございます。」嬉しくなった彼女から、自然にお祝の言葉が飛びだした。
  この会話が切っ掛けで、幸子はお客さんと話をするようになった。

  いつしか、幸子は、お客さんの顔を殆ど覚えてしまい、名前まで一致するように
  なった。「今日はマグロより、カツオのほうが新鮮でお買い得ですよ。」などと
  言ってあげるようになった。レジに並んでいたお客さんも「いいこと言ってくれ
  たわ。今から直ぐに取り変えてくるわ!」そう言って、コミュニケーションを
  取り始めていった。そして、幸子はこの仕事がだんだんと楽しくなっていったの
  だった。

  そんなある日の事、「今日はすごく忙しい」と思いながら、幸子はいつもの様に
  お客さんと会話をしながらレジを打っていた。 
  「本日は混み合いまして大変申し訳ございません。どうぞ空いているレジにお回り
  下さい。」と放送が流れた。ところが僅かな時間をおいて、すぐ2回目の放送が入った。
  「大変申し訳ありません、どうぞ空いているレジにお回りください」そして、3回目
  同じ放送が聞こえた時に、初めて幸子はおかしいと気付き、周りを見渡して愕然とした。

  どうしたことか、他の5つのレジが全部空いているのに、お客さんは、自分のレジに
  しか並んでいなかったのである。店長が慌てて駆け寄ってきて「どうぞ、空いている
  レジにお回り下さい」と言ったその時、お客さん達は、店長の言葉に次の様に言い返
  した。
 「ほっといてちょうだい。私たちはここに買い物へ来ているんじゃない。あの人に会いに
  来ているのよ。だから、このレジじゃないと嫌なのよ。他のレジではダメなのよ。」

  幸子は呆然と立ち尽くしてしまった。自分が必要とされたのは生まれて初めてだった。
  並んでいるお客さんの顔が、幸子の目に溜まった涙でにじんでしまい、レジがいつも
  通り速く打てなかった。仕事と言うものは、これほど素晴らしいものなのか、それが
  幸子が初めて気がついた「瞬間」だったのだ。嬉しくて、嬉しくて涙声でのお客さんと
  会話だったが、お客さんがみんな優しく声をかけてくれて、心から喜んでくれ、そして
  ガンバレと褒めてくれた。

  その晩、幸子は田舎の母親に電話して、東京に残ることを伝えた。初めは驚いていた
  母親も、幸子のいつもと違う会話の力強さに気がついたのか、幸子の希望を認めて
  くれた。「いったい何があったの?」と聞く母親に「レジの仕事が楽しくなって」と
  だけしか話さなかったのだが、何かを察知したのか、母親は「本当に良かった。」と
  電話口で何度も何度も繰り返して喜んだ。幸子の目には再び涙がこみあげてきた。】

いい話ですよね。最後は話していた先輩のT氏も感極まったのか、数秒間だけ、声を
詰まらせていました。私は、涙が流れ落ちないようにするのに大変でした。いかに
お客様に満足していただくか、あるいは満足を提供できるか、今日もとても勉強になり
ました。


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