ママ研究者~人生まだまだこれから~

製薬会社で新薬開発に挑む研究者。2人の息子(6&0歳)がいます。ママ研究者(今は臨床系)、日々の思いを綴ります!

点ではなく、面で。。。

2009-04-08 20:12:29 | 企業におけるお仕事
この間、昼食時にケミストの方と話がはずみ、興味深い話になりました。

私は薬理系、つまり、バイオロジストなのですが、
「最近は、プロトコールや機器が進歩し、以前は特殊な技術と思われていたことがどんどん、誰にでもできる仕事になっちゃうんですよねー。」という話をしました。

本当にそうで、昔は、シークエンスを読むにしても、ゲルをうまく作れるかが勝負だったし、
遺伝子をクローニングする場合には、いかに、良質のcDNAライブラリーを作るか、などがとても大事な技術でした。

でも、今は、キャピラリー電気泳動や、次世代シークエンサーなどが登場し、また、安価に外注してシークエンスを読んでくれる業者さんも出てきました。
クローニングに関しても、遺伝子の全配列が分かった今、よほど難解なシークエンスでない限り、PCRで増やしたり、購入したりするのが通常だと思います。そして、派遣さんが、とても巧くやってださるので、私たち研究員に残されたのは、とても難易度の高い仕事、もしくは、こまごまとした雑用が多いのです。

一緒に食事をしたケミストの方が、
「ケミストも同じだよ。」とおっしゃってました。
フォーカスドライブラリーなどが購入できたり、合成の中間体なども試薬として購入できるケースも増えました。
更に、ドラッガブルという構造は、パテントがとられている場合も多い。

それよりも何よりも脅威なのは、
「抗体を初めとするバイオロジクスの技術革新」だそうなんです。

確かに、抗体の特異性を低分子化合物で上回ることはかなり難しい。生理活性ペプチドすら、なかなか超えることは難しく、私たちの生体の巧妙さには本当に目を見張るものがあります。

低分子化合物の魅力としては、「経口投与できる。」「抗体と比べ、一般的に価格が安い。」などが売りな訳ですが、「もしも、DDSの技術が進み、抗体が経口投与できるようになったら・・・?もしも、とても安価に抗体が生産できるようになったら・・・?」などということは、脅威なわけです。

そして、そのケミストの方が、
「自分たちのやっている仕事が、点ではなく、面で広がっている、ということを信じて仕事をしたいよねー。」とぽつり。

その言葉が妙に私のツボでした。

確かに、自分の研究人生を振り返っても、面でどんどんと研究が広がっていくノリノリの時と、少し停滞していて、「何をやろーかなー、なにができるかなー。」と点で探している時の両方があるように思います。

常に面で広がっていく場合ばかりとは限らないでしょうが、「点で拾い集めている仕事」ばかりしていると、既に時代遅れだったり、競争相手はもっと違うことをやっていたり、ということになりかねないのでしょう。

点ではなく面で・・・いい確認言葉だなぁと思いました。

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