内容紹介(Amazonより)
「私が眠るとみんな死んじゃう」
ネットゲーマーにしか通じない気持ちがある。「ゲーム依存症」という一言では括れない、独自の世界がある。しかしそれは、自らが「廃人」という言葉を使うようにリアル(現実)の世界を捨てる、生き方でもある。著者は、19人の「ネトゲ廃人」とともにインターネット・オンラインゲームの光と影を追う。彼らは、一体、どこへ向かうのか?
著者について(Amazonより)
芦崎 治: ノンフィクションライター、『AERA』の「現代の肖像」をはじめ、『プレジデント』『日経ベンチャー』『アントレ』『ジュディシャルワールド』などに執筆。著書に、『ある日、落下傘で飛び降りた男池田昭司』(幻冬舎)他がある。
ネットゲーム依存については、
廃人類や、
ネットゲーム依存による経験談などのサイトにまとめられたり、
発言小町や、
ネトゲ廃人はなぜ生まれるか(日経ビジネスオンライン)などでも出て来たりするなど、徐々にメジャーになってきている感がある。
本書は、ネトゲ廃人( ネットゲームにはまり過ぎて、リアル(現実)での生活が破綻した人)であった人達にインタビューを行なうという手法で書かれている。
ネットゲームにもいくつか種類があって、プレイヤーが単独で行動出来るもののもあれば、ファイナルファンタジーXIの様に、6人一組で動かないと、かなりの苦戦が予想されるゲームもある。
ファイナルファンタジーXIの様にパーティでのプレイが前提になっているものだと、その他の5人がプレイを続ける限りは、なかなか辞める事が出来ない。
元フェリス女学院の女性は、当時を振り返ってこう語る。
「私が眠ると、みんな死んじゃう。自分が必要とされている感覚がすごくあるので、眠くてしょうがなくても『もう、寝るね!』とは言えない。続けちゃうんです」コンビニで、二日分のお菓子、カップ麺、パンのスティックをまとめ買いして、ゲームにこもり切りになる。パジャマのまま、髪はボサボサで、ノーメイク。目の下にくまを作っている。そんな時に、彼が仕事から帰ってくることがあった。
その後彼女はオフ会で、自分がゲームの中で、毎晩遊んだ仲間の、リアルな実態を見て衝撃を受ける事になった。
またあるデイトレーダーは、夫婦でレッドストーンというゲームにはまるが、ゲーム内の装備を揃えるのに200万円をかけたという人もいたらしい。
夫婦ともどもゲームをやっているので、妻は食事の支度もすべてパソコンの前。子どもを抱っこしながら、パソコンの前。夫だけが先にゲームをやっていると、それが原因でケンカになったこともある。
またある家族は、妻と息子がネットゲーム中毒となり、夫がついに鬱病になってしまったケースもある。(ちなみに妻がプレイしていたのはファイナルファンタジーXI)
韓国の場合は、オンラインゲーム大国であり、韓国の青少年の7人に1人がインターネット中毒と言われている。そのほとんどがゲーム中毒である。それによってサイバー犯罪も増えている。
2008年のOECD加盟国の中での韓国の自殺率は1位であり、幸福指数は49位。
「幸福の質が低く、社会に満足できないからゲームに陥るのではないか。十年後の今になって、日本の自殺率の高さが納得出来るようになった。日本も上位だけど、韓国も本当に自殺者が増えた」とヘラルド紙ライフスタイル部のチョ記者は語る。
これからは、夫婦共働きが増え、その結果小学生のゲーム時間が増えて、オンラインゲームユーザーも増えてくると思われる状態で、大人でさえ中毒になってしまうものが、小学生に良い影響を与えるとは、残念ながら考えれらない。
小学生のお子さんを持つ方にも、お勧めできる本です。