「防火扉の説明義務あった」マンション火災で最高裁
2005年09月16日 朝日新聞より
東京・西麻布のマンションの最上階で2000年に起きた火事をめぐり、入居者が「室内の防火扉が作動せず、天井が焼け落ちるなど部屋が台無しになった」として、売り主と仲介会社を相手に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が9月16日あった。最高裁第二小法廷(津野修裁判長)は「会社側には防火扉の作動方法などについて説明する義務があった」として、請求を退けた二審・東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。
20000年10月、ポーラ化粧品本舗元会長、鈴木常司さんの8階の自宅(210平方メートル)の寝室から出火。寝室と居間の間の廊下にあった防火扉は作動せず、居間などに燃え広がった。5億3000万円で購入し、数日前に入居したばかりだった。同年11月に死去した鈴木さんの遺族が売り主の三井不動産と販売を仲介した三井不動産販売に「防火扉の説明を怠った」として原状回復費用やマンションの値下がり分など約2億8000万円の賠償を求めた。
一、二審判決によると、防火扉は電源が入っていなかった。扉のスイッチにふたがあり、ネジで開ける仕組みだった。
第二小法廷は「販売会社と、同社と密接な関係がある仲介会社には、少なくともスイッチの位置や操作方法を説明する義務があった」と判断。「防火扉が作動していれば損害が軽減できたことは明らかだ」と述べた。
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