経口抗菌薬「ガチフロ」で副作用、2社が販売中止 2008年9月30日20時31分 読売新聞
杏林製薬(本社・東京都)など2社は30日、経口抗菌薬「ガチフロ(一般名・ガチフロキサシン)」の販売を自主的に中止した。
副作用として重篤な血糖値異常が相次いだことや、米食品医薬品局が9月に同じ成分の製剤を承認医薬品リストから削除したことを踏まえた。
ガチフロは2002年6月、肺炎など呼吸器や尿路の感染症向け経口抗菌薬として販売され、延べ約1470万人に投与された。低血糖や高血糖の副作用が報告されたことから、2社は03年3月に緊急安全性情報を出して注意喚起し、糖尿病患者への使用を禁止した。しかし、その後も副作用報告が相次ぎ、延べ254人に達していた。
同様の効果がある他社製品が複数出回っており、患者への不利益は生じないという。製造販売元の同社と、販売元の大日本住友製薬(本社・大阪市)によると、販売実績は約35億円。
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ガチフロ錠は、低血糖や高血糖の副作用があることが知られており、2003年3月には緊急安全性情報も出されていた。
他のニューキノロン系抗菌剤も血糖値への影響が見られる可能性があるものの、警告欄に関連記載があるのはガチフロだけだ。にもかかわらず、被害の発生は防げていなかったようである。糖尿病患者や、血糖値異常の既往歴のある人に使用されていることはなかったか。
これだけ注意喚起されていても防げないのは残念である。使ってみるまでわからないケースもあろう。であれば、本剤を使うこと自体が適切かどうかが問われてくる。
ニューキノロン系抗菌剤は他にもある。ガチフロしか持ち合わせていなかった適応症はない。他剤が無効なケースに限定して用いるようにはなっていなかったが、実質、そういう位置づけだったといえる。現在も、そういうスタンスで処方が行われているのだろうか。
他剤でも十分間に合うような症例であれば、本剤は使うべきではなかったのではないか。処方もしかり、調剤もしかりだ。たいへん難しいことだが、他のNQではいかがですか、と疑義照会すべきだったのかもしれない。
存在する以上、どこかで使われてしまうのであれば、市場に置いておくべきではない。少しでも安全性の高い状況で医療が進められるべきだろう。
米国での措置に呼応するように国内でも販売中止した(率先先行した対応はとれなかった)。しかし市場に在庫はまだ残っている。未使用分は返品できるかもしれないが、開封してしまったものは返品できない。有効期限切れまで待ち、廃棄処理するのか。
安全性の事情で製造中止したのなら、廃棄処分にならぬよう(在庫一掃ではないが)、残りを処方してしまうようなことは慎まねばならないだろう。この際、開封済みのものであっても自主回収してはどうだろうか。
同じ目的や効果が期待できる薬剤があって、より安全性が高いのであれば、そちらを使用すべきである。今回のガチフロの件同様、他にも安全性の見地から、同効薬があり、その薬剤がなくても診療への影響がないような、もはやセカンド・チョイス的な位置づけ薬剤があれば、関係者は一考を要するように思われる。
杏林製薬(本社・東京都)など2社は30日、経口抗菌薬「ガチフロ(一般名・ガチフロキサシン)」の販売を自主的に中止した。
副作用として重篤な血糖値異常が相次いだことや、米食品医薬品局が9月に同じ成分の製剤を承認医薬品リストから削除したことを踏まえた。
ガチフロは2002年6月、肺炎など呼吸器や尿路の感染症向け経口抗菌薬として販売され、延べ約1470万人に投与された。低血糖や高血糖の副作用が報告されたことから、2社は03年3月に緊急安全性情報を出して注意喚起し、糖尿病患者への使用を禁止した。しかし、その後も副作用報告が相次ぎ、延べ254人に達していた。
同様の効果がある他社製品が複数出回っており、患者への不利益は生じないという。製造販売元の同社と、販売元の大日本住友製薬(本社・大阪市)によると、販売実績は約35億円。
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ガチフロ錠は、低血糖や高血糖の副作用があることが知られており、2003年3月には緊急安全性情報も出されていた。
他のニューキノロン系抗菌剤も血糖値への影響が見られる可能性があるものの、警告欄に関連記載があるのはガチフロだけだ。にもかかわらず、被害の発生は防げていなかったようである。糖尿病患者や、血糖値異常の既往歴のある人に使用されていることはなかったか。
これだけ注意喚起されていても防げないのは残念である。使ってみるまでわからないケースもあろう。であれば、本剤を使うこと自体が適切かどうかが問われてくる。
ニューキノロン系抗菌剤は他にもある。ガチフロしか持ち合わせていなかった適応症はない。他剤が無効なケースに限定して用いるようにはなっていなかったが、実質、そういう位置づけだったといえる。現在も、そういうスタンスで処方が行われているのだろうか。
他剤でも十分間に合うような症例であれば、本剤は使うべきではなかったのではないか。処方もしかり、調剤もしかりだ。たいへん難しいことだが、他のNQではいかがですか、と疑義照会すべきだったのかもしれない。
存在する以上、どこかで使われてしまうのであれば、市場に置いておくべきではない。少しでも安全性の高い状況で医療が進められるべきだろう。
米国での措置に呼応するように国内でも販売中止した(率先先行した対応はとれなかった)。しかし市場に在庫はまだ残っている。未使用分は返品できるかもしれないが、開封してしまったものは返品できない。有効期限切れまで待ち、廃棄処理するのか。
安全性の事情で製造中止したのなら、廃棄処分にならぬよう(在庫一掃ではないが)、残りを処方してしまうようなことは慎まねばならないだろう。この際、開封済みのものであっても自主回収してはどうだろうか。
同じ目的や効果が期待できる薬剤があって、より安全性が高いのであれば、そちらを使用すべきである。今回のガチフロの件同様、他にも安全性の見地から、同効薬があり、その薬剤がなくても診療への影響がないような、もはやセカンド・チョイス的な位置づけ薬剤があれば、関係者は一考を要するように思われる。
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