若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

師と仰ぐ人

2006年12月06日 | 近ごろの十四代目
「自分以外は皆な師である」と言う教えがあるけれど、どうもそこまで人間が出来ていない。そう思って、僕は師と仰ぐ人を各分野?で3人持とうと思っています。経営の師は明賀先生・田舞先生・一倉先生。人生の師は二人の祖父と父。

酒類業界で師と仰ぐお一人は「とどろき酒店」の轟木社長。若竹屋の経営に悩み苦しんだ時、幾度も道を照らして頂きました。僕は何度、轟木社長の前で涙を流した事か…。そんな轟木さんと今日は忘年会をしました。

場所は博多の瑞穂にある「旬芳庵」さん。若竹屋と轟木さんとのささやかな忘年会。旬芳庵さんの美味しい酒肴と暖かいおもてなし、そして笑いの絶えない会話…と、とても楽しい時間を過ごしました。

以前、轟木さんが「焼酎ブーム」の頃の印象的なエピソードを話してくれました。「あの時、僕は若竹屋のスタンスがはっきりしたんです」と話をしていたら、轟木さんはこう言いました。

「林田君、僕は酒売りだけど、売って楽しい酒と楽しくない酒があるんだよ。100本の売上よりも1本の売上が嬉しい酒があるんだ。人気がある希少銘柄で、お客さまもその酒を求めて不便な店舗までわざわざ来て下さる、そんな酒でも販売していて喜びがないモノがあるんだ。でも一方、買い求める人がいなくて、なかなか売れない酒であっても、たった一本売れたときに深い喜びがある酒もあるんだ。それは造り手の思いと顔が浮かぶ蔵なんだよね。若竹屋の酒が売れたとき、あぁ山ちゃんが喜んでくれるだろうなぁ、っていつも僕は嬉しくなっちゃうんだよね」

轟木さんの話を聴きながら山川さんは泣いていました。
僕も、副社長も、部長も、泣いた。
轟木さんと出逢えて本当に僕らは幸せです。
これからも弟子とは呼ばれないでしょうが、師匠と呼ばせてください。

あ、そういえば轟木社長の机の前には「我れのほか皆な師なり」と張ってあったような…。

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