棗と聞いて、子供のときに食べたリンゴのような食感のの暗赤色の実、茶道の茶入れ、さらには「水師営の会見」で歌われた棗の木など、いずれもいまどきの若い人にはあまりなじみがないようです。
ナツメ:棗(クロウメモドキ科ナツメ属)は、中国では重要な果樹のひとつですが、実際は西ヨーロッパ、西アジア原産といわれる高さ10mくらいの落葉小高木で、人家で栽培されます。ナツメの名は夏に芽を出すから来ているといいます。
葉は長さ2~4cmで小枝に互生し、羽状複葉に見えます。6月ごろその葉のつけ根に黄緑色の小さな花を数個づつつけます。
果実は長さ2~3cmの楕円形で、秋に暗赤色に熟します。この実は生で食べても美味しく、乾燥して菓子などに用いるほか薬用にもされます。
茶に湯で使われる漆塗りで形がナツメに似ている茶入れは、そのものずばり棗と呼ばれます。
ところでいかにも古い話ですが、老人には懐かしい“旅順開城約なりて…”で始まる文部省唱歌「水師営の会見」(佐々木信綱作詞、岡野貞一作曲)の2節で“庭に一本(ひともと)棗の木”とナツメが歌われています。しかし日露戦争の最激戦地だった旅順合戦で勝利した乃木大将が露軍のステッセル将軍と会見したのが明治38年1月5日といいますから、葉も実もない裸木のはずで、仮に実在したにせよたぶん乃木大将は気づかなかったでしょう。この歌詞は、後日作詞者が訪れたときに目にした情景を、調子よく歌詞に取り込んだということでしょう。
ナツメ:棗(クロウメモドキ科ナツメ属)は、中国では重要な果樹のひとつですが、実際は西ヨーロッパ、西アジア原産といわれる高さ10mくらいの落葉小高木で、人家で栽培されます。ナツメの名は夏に芽を出すから来ているといいます。
葉は長さ2~4cmで小枝に互生し、羽状複葉に見えます。6月ごろその葉のつけ根に黄緑色の小さな花を数個づつつけます。
果実は長さ2~3cmの楕円形で、秋に暗赤色に熟します。この実は生で食べても美味しく、乾燥して菓子などに用いるほか薬用にもされます。
茶に湯で使われる漆塗りで形がナツメに似ている茶入れは、そのものずばり棗と呼ばれます。
ところでいかにも古い話ですが、老人には懐かしい“旅順開城約なりて…”で始まる文部省唱歌「水師営の会見」(佐々木信綱作詞、岡野貞一作曲)の2節で“庭に一本(ひともと)棗の木”とナツメが歌われています。しかし日露戦争の最激戦地だった旅順合戦で勝利した乃木大将が露軍のステッセル将軍と会見したのが明治38年1月5日といいますから、葉も実もない裸木のはずで、仮に実在したにせよたぶん乃木大将は気づかなかったでしょう。この歌詞は、後日作詞者が訪れたときに目にした情景を、調子よく歌詞に取り込んだということでしょう。