水産業界事件記録

水産業界で発生した事件の報道記録

焼津港で水揚げされたカツオを不正に抜き取りか (株)カネシンJKS

2021-10-11 17:21:08 | 日記

焼津港で水揚げされたカツオを不正に抜き取りか 水産加工会社常務ら3人を窃盗の疑いで逮捕

2021年10月8日 10時24分
カネシンJKSに家宅捜索に入る捜査員=7日、静岡県焼津市で

カネシンJKSに家宅捜索に入る捜査員=7日、静岡県焼津市で

 全国有数のカツオの水揚げ量を誇る焼津港(静岡県焼津市)で、水揚げされたカツオの一部を無断で抜き取っていたとして、焼津署や静岡県警捜査3課などは7日、窃盗の疑いで、水産加工会社「カネシンJKS」(同市浜当目)常務取締役の奥山善行(47)=藤枝市=と、いずれも運送会社「焼津港湾」(焼津市野秋)社員の白鳥さとし(47)=同市、杉山智良(43)=同市=の3容疑者を逮捕した。
 署は7日朝、両社を家宅捜索し、関係書類を押収した。捜査関係者によると、焼津市場でのカツオの不正な抜き取りは30年ほど前から続いていたといい、県警は他の漁業関係者も関与していた可能性があるとみて、捜査を進めている。
 3人の逮捕容疑は4月30日、漁船が焼津港に水揚げした冷凍カツオ4トン(計約74万円相当)を同港の魚市場から盗んだとされる。カネシンJKSは仲買業者を兼ね、焼津港湾は運送を担当していた。署は認否を明らかにしていない。
 関係者によると、市場で競り落としたカツオを計量する際、一部のカツオを計量せずにトラックで冷凍倉庫に運搬し、盗み出したとみられる。署によると、奥山容疑者が白鳥、杉山の両容疑者に指示していたとみられる。
 漁船を保有する「極洋水産」(同市飯淵)が8月、県警に被害届を出していた。

◆漁協の人手不足を悪用?長年の盗難疑惑も

 カツオの街で知られる焼津市で発覚した冷凍カツオの盗難事件。静岡県警は7日、関与したとされる仲買業者の幹部と運送会社の社員2人を逮捕した。関係者からは「焼津港の魚市場では30年ほど前から、カツオが盗難されているのではないか」という疑惑の声が上がっており、県警は他の漁業関係者の関与の有無などを捜査している。
 焼津漁協によると、焼津港に入港した漁船のカツオは魚市場で競りに掛けられ、各社の仲買人が数十トン単位で購入。競り落とした順番にカツオをコンテナに入れて運送会社のトラックに積み込み、トラックごと計量所でカツオの重さを量り、競り落とした分量を運搬する。
 計量作業は本来、漁協職員が担う業務。だが、実態は職員の人手不足のため、運送会社の運転手が計量していたという。今回の手口は、それを悪用したとみられる。仲買業者の水産加工会社「カネシンJKS」常務取締役の奥山善行容疑者(47)の指示で、運送会社「焼津港湾」社員の白鳥賢(47)、杉山智良(43)の両容疑者が計量せずに数トンのカツオをトラックで持ち去ったり、計量していないカツオが入ったコンテナを後からトラックで回収したりして、盗んだとされる。
 焼津港に水揚げされるカツオは、さおを使ってカツオを釣り上げる「一本釣り漁」と網を使って1度に大量のカツオを取る「海外巻き網漁船」(通称・海巻き船)と呼ばれる2つの漁法の漁船が入港している。今回被害に遭ったのは、海巻き船で水揚げしている船会社のカツオ。1度に大量のカツオを取るため、実際に水揚げされた一部が市場でなくなっても気付かれにくい側面もあるという。
 被害に遭った極洋水産の関係者は「乗組員が命を懸けて取ってくるカツオが盗まれていたなら、憤りを感じる」と怒りをにじませた。長年の疑惑に入った捜査のメス。「これは氷山の一角。全容をしっかり、徹底的に追及してほしい」と強調した。