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サウジアラビアのGCC諸国統合合併連邦化案

2012-05-13 19:16:59 | GCC

 

Reports say Saudis seek merging with Bahrain

‘Saudi Arabia, Bahrain merger plan undemocratic’

 

バハレーンんの情報相は同提案を指示する、としているが、反政府勢力は、混乱を更に深める、と反対している。 勿論国民に意見をきいたわけでもないが。 

基本的には、バハレーン国王はサウジアラビアに吸収合併され、政治的自治をもつ一首長国となると、いうことらしい。元々バハレーンは王国ではなくて、首相国だったが、ある時突然、首長は「国王」になることにし、「王国」となったのだが。

 

その次の段階として、クウェート、カタール、UAE, オマーンも含み、ガルフユニオン連邦政府を形成する、と言うものが提案の骨子のようだ。

GCCにはイエメン、イラクも加入を望んでいたが、拒否されてきたが、一方、アラブの春民衆蜂起以後昨年、GCCはモロッコ、ヨルダンへ加入を呼び掛けた。 共和国は入れないが、王国、エミール諸国による連合の形のになる。

今回の「ガルフユニオン」はEUがモデルと、バハレーンは言うが、実際には共通オープン市場と言うよりは、むしろ軍事、安全保障防衛上の統合で、湾岸小国の大国軍事力への依存、と言うことのようだ。そして勿論、対イランを煽動し続けてきた米国指示のプランであることは、察して余りある。

アラビア湾岸諸国協定から、更に「ガルフユニオン」と言う軍事連邦制に湾岸諸国を吸収合併していくことで、北アフリカ、レヴァント、GCC全てを含む元々の「アラブ世界」をベースとしているアラブ連合を、アフリカ、レヴァント、GCCへ切り離し分断していく、事実上の第一歩ともなる。

アラブ世界からのGCC切り離し案は、欧英米が長く働きかけてきた中東戦略だ。

ただ、クウェート、カタール、UAE, オマーンはバハレーンの事情とは大きく違う夫々独自の事情があるので、既に「ガルフユニオン」構想が出された時点で、懸念を表明する国もあったし、これからもそうだろう。

カタールなどは、できればサウジの東半分くらいはもらいたい...勢いをさえ見せている昨今だし。 UAE、オマーンもイランやインドとの深い関係がある事から、そう簡単にサウジヘゲモニーの下に入る事はないだろう。

ヨーロッパよりも広大なアラビア半島の部族は、夫々に違った文化や特性をもって、部族間抗争の歴史は何千年にもおよぶ。

ワハビズムとは違った、アラビア半島伝統の保守的イスラム部族社会文化のプラグマティックな知恵と広い許容力をもった文化の弾力性に注目したい。

 

 



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