人生に必要なことは、すべて梶原一騎から学んだ

人間にとって本質的価値「正直、真面目、一生懸命」が壊れていく。今こそ振り返ろう、何が大切なのかを、梶原一騎とともに。

すばらしい明日

2007年01月28日 | あしたのジョー

慰問にきた葉子を侮辱したジョー。それを許さない力石と殴り合いになった。このときから、ジョーと力石は、宿命のライバルとなった。

お互い殴り合いで決着をつけようとするが、ここは特等少年院の中だ。そこで段平はひらめいた。素手で殴り合えばけんかだが、グローブをはめてリングでやれば、立派なボクシングというスポーツだ。青年たちの有り余ったエネルギーを健全に発散する、矯正としてはもってこいではないかと提案する

少年院にも影響力をもつ白木葉子も、その意見に興味を示したことで、一気に実現に向かった。もともとプロボクサーだった力石は、次にリングでジョーと対戦したときには一分間でしとめるとKO宣言をした。

黙っていられないジョー、しかし、今のままでとうてい勝ち目が無いことを段平は分かっていた。ジョーを人気のないところに連れ出した段平は、これまでの「あしたのためにシリーズ」の通信教育をジョーが身につけているかテストした。その結果をみて、段平は胸を打たれた。こいつは本物だ!だが、力石に勝つためにはこれだけではダメだ。

「あしたのために=その3」は言葉で伝えられる物ではない。一気に、体で教えた段平。少年院には、ものすごい悲鳴がとどろいた。駆けつける院生や仲間たち。そこで見た物は完全にKOされたジョーと、鼻血にまみれた段平だった。

段平は

「このぶんだと あ・・あしたは・・・そう 遠く・・・・な・・なさそうだぜ・・」そういって気を失った。

そう、この後ジョーの必殺技となる、クロスカウンターのタイミングをを身につけかけたのだ。しかし、この時点では何が起こったのか誰も知るよしもなかった・・・。

 

葉子はつぶやく

「すばらしいあした」は今日という日を、きれいごとだけ・・・お体裁だけ整えて過ごしていては永久にやってこないわ

血にまみれ、汗や泥にまみれ、傷だらけになって・・・他人には変人あつかいされる今日という日があってこそ・・・・あしたは・・・ほ・・ほんとうのあしたは・・・!」

 

葉子は、ジョーに今までの人生で体験したことのない恥と屈辱を味あわされた。しかい、同時に、心を動かされ初めいていた。矢吹ジョーという男の不良のようだがまっすぐな生き方と潜在能力に。

梶原作品の主人公は、変わり者が多い。飛雄馬は野球バカ、ジョーは拳闘バカ、大山倍達は空手バカ(これは実在の人物なのでまずいか)・・。つまり、人に何を言われようとも、自分の信じた道を貫けという基本姿勢である。

小利口が街にあふれ、要領の良さがうらやましがられ、地道な努力、日の当たらない真面目さというものが、バカにされる風潮がある。子供たちの間では、「インキャラ」とかいって、明るくしていないと蔑まれるという馬鹿げた時代だ。

テレビをつければ、明るい馬鹿話ばかり、一見真面目な若者の討論も、自己主張の固まりだ。人によく思われたい、受け入れられたい、認められたい病にみな犯されている。

アニメになった空手バカ一代の主題歌に「人はバカだと笑おうが、この世に利口はあふれてる」という下りがある。ここんところが、ものすごく好きで、くじけそうになると、口ずさんで自分を励ましてきた。

誰かに認められるより、自分が自分を認めていればいい。人や世間振り回されて自分を見失うようなことは絶対にしてはいけない。


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