非営利 一般社団法人 住みよい町・さむかわにする会(通称:サンエスの会)

水と緑の自然が溢れ、人々のふれあいがあり、文化が息づき心豊かな感性を育む町・故郷寒川を実現する為に活動しています。

第3回・新春特別文化フォーラム開催関連インタビュー記事(その2)

2016年02月14日 | 活動紹介

 

第3回・新春特別文化フォーラムは、
 1)特別講演:「自然の野菜は腐らない」・・河名秀郎氏(ナチュラル・ハーモニー代表)
 2)映  画:「降りてゆく生き方」・・武田鉄矢主演
の2部構成で、4月17日(日)に1日2回、町民センターホールで開催されます。

この映画「降りてゆく生き方」は、地方のまちづくりをテーマにした自主上映の映画ですが、今週から3回に渡って、映画「降りてゆく生き方」のプロデューサーで脚本を担当した森田貴英氏のインタビュー記事を紹介します。

 インタビュー:豊かな地方とは 森田貴英さん(朝日新聞 2015年1月30日)                 

「自然農法では、弱っているところに肥料をいれたらダメになる。地方への補助金も同じ」

 地方のまちづくりをテーマにした自主上映の映画が、日本各地でロングランを続けている。山あいの過疎の村で懸命に生きる名もなき人たちを描いた「降りてゆく生き方」だ。安倍政権が掲げる地方創生で、脚光を浴びるまちづくり。住民が幸せに暮らせるまちは、どうすればできるのか。映画を製作した弁護士の森田貴英さんに聞いた。

(先週の続き・・・)

◆「降りてゆく」というのは、後ろ向きな印象がありますが。

 「まったく違います。もとは『べてるの家』の精神障害を持つ人たちの言葉ですが、初めてこの言葉を聞いたとき、私の頭に一つの絵が突然浮かんだのです。高山列車で山を登っている。ふと振り返ると、背後に広大な大地が広がっている。そのなんと豊かなこと! このまま一本道を登るか。豊かな大地に降りていくか。降りていこう、と私は思った。上がる、下がるではない。方向を変えるんです」

 「自然栽培で農業をする。酒をつくる。自然の木の良さをいかした家を建てる。全国で出会った人は、大量生産と一線を画し、自らの信じる技術や伝統を生かした仕事をしていました。たとえばそうしたものを生かす地域おこしです。日本中、同じようなショッピングモールをつくることはない。『降りてゆく生き方』で訴えたかったのは、規模は小さくても多様性のあるまちづくりです」

◆主演の武田さんからも「売れない」と言われた内容で、よく映画化に踏み切りましたね。

 「自分たちが感銘を受けた言葉をちりばめましたが、正直、不安でした。製作者は感動したけれど、観客はどうか分からないですから。ただ、09年4月の新潟市を皮切りに上映を始めたら、評判がいい。地方の中小都市、限界集落から都市まで、様々な場所から上映してほしいという声があがりました。5年前より今のほうが、共感してくれる人が増えている気さえします」

◆どこがウケたんでしょうか。

 「映画を見に来てくれた人と話して思うのは、経済的な成功とは違う別の選択肢に気づく点でしょうか。地方で生きる人たちの生の言葉から、今まで知らなかった豊かさを知ったと。経済的な成功を求める生き方を否定はしません。私自身、グローバルな世界で成功し豊かになろうと頑張ってきましたから。でも、すべてではない。地方のすごい人から、そう私も教えられました」

◆過疎化や高齢化で地方は元気を失っています。

 「地方が寂れているのは事実。日本全体の人口が減っているので、仕方がない面もある。先日、映画の撮影現場だった新潟市で5周年記念上映会をしましたが、撮影時の08年から見ても寂しくなりました。ただ、上映会の翌日、映画にも来てくれた自然栽培の農家の方々がやっているマーケットに行って驚きました。すごく盛り上がっている。自然志向でコミュニティーを大切にする人たちは、確実に増えている気がします」

◆でもまちが古びて、仕事がなくなれば、人は出ていきませんか。

 「住む人の意識が変わらないとダメでしょう。地方の暗くてボロくて寒い町家は、みんな嫌だと言う。でも、だからこそ歴史的な価値があると気づき、それを『売り』にできたところは生き残っています。マイナスだと思っていたものが、実はプラスなんだと見方を変えれば、地方は変わる。小布施はその好例です」

◆やっぱりお金は必要だ、という声も聞きますが。

 「映画の取材で新潟県のある村に行ったら、その村を舞台にした映画が撮影中だということで皆さん喜んでました。それはある邦画のメジャー映画になり大ヒットしました。地元ロケの際は経済効果もあったといいます。でも、それは一過性かつ限定的。お金につなげるのがうまい人は儲かるが、地方をあまねく元気にする力はない。お金でまちをなんとかしようと言っている限り、地方は再生しない。お金がなくても楽しく暮らせる環境をどうつくるか。行政が最も苦手なところですが」

◆安倍政権は地方創生に躍起ですが、効果はあるでしょうか。

 「官僚が頭で考えても、アイデアはでないでしょう。地方で頑張っている有名、無名の人たちに会って話を聞くところから始めてはどうでしょう。小さな成功事例かもしれませんが、地方で自発的に動いている人たちは本物。問題は、政治家や官僚がそれに気づいていないことです」

◆地方創生は地方の自発性に任せるほうがいいと。

 「大事なのは内発性です。上映会で興味深いのは、たった一人で始めるほうが組織的にやるよりうまくいくケースが多いこと。『やりたい』という個人の思いの強さが、周囲を巻き込み、大きな『場』をつくりだす。まちづくりも同じ。行政は補助金頼みのまちづくりを手掛けるより、志のある人がいたら、邪魔せずに支援するほうがいい。そこにこそ地方再生の芽があると思います」

(以下次週に・・・)

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