プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

『許しがたい情熱』

2006-06-06 | プロコフィエフ短編
ただ今、プロコフィエフの短編小説『許しがたい情熱』(仮題)を翻訳中。4章からなるこの小説の第1章は、とある「古い町」での、僧院長と市民との会話から構成されています。これがまた、やっぱり手ごわい……!

第一にプロコフィエフの小説では、固有名詞が極端に少なく、時代も場所も定かではないのがクセモノです。そして第二に、先の読めなさすぎる展開。それも、「なるほど、こうきたか!」というたぐいのスリリングな展開ではなく、「なんでそうくるの?」と意表をつかれてしばし唖然とする、いわゆる「ハズシわざ」。なので、文章の前後関係から内容を確信する、という通常の翻訳作業が通用しないのです。

あえて映画にたとえると、『ゼロ・シティ』や『ハルムスの幻想』にちょっと肌合いが似てるかな。いずれにしても、革命直後という時代背景からすると、「アヴァンギャルド」の流れのなかに位置している作品ともいえましょう。