今日は音楽製作システムについて書いてみます。
ブログらしいエントリはこれが最初になりますが、カテゴリは「テクノロジー」ということで、たぶんオタクっぽくて面白くない話になると思います。まぁ、同じような環境で音楽を作っている誰かの参考にでもなれば、という感じで。。
現在スズキはPCを中心としたシステム、もっと正直にいってしまえば、ほぼPCの内部で完結したシステムにて音楽を製作しています。これは音楽製作にかかわる操作を、すべてCPUに代行させている、ということなのですが、この方法論のメリットとしては
・安い
・管理が楽
・物理的な場所をとらない
といったことが大きく挙げられると思います。
しかし、この方法論にはデメリットもあって、それは一言でいうならば
・同時に使える音源の数がPCの処理能力に大きく依存する
ということになると思います。
つまり、PCの限界がそのまま音楽的な限界としてあらわれてしまうということです。
逆に言えばPCの処理能力を上げれば音楽的な限界もあがるのではないか、という話なのですが、こちらについては、実は先行きがあまりよろしくないようです。
最近は、内部に複数のコアを持ち、それらを並列的に動作させることで処理能力を向上させる、というマルチコアプロセッサを搭載したPCがなかば標準となっていますが、実は、コアを2つにしたからといって、直ちに動作速度が2倍になるというわけではありません。
複数のコアを常に並列して動作させれば、確かに処理能力は2倍になると考えられるのですが、一般のプログラムに対して複数のコアを完全に並列動作させることは、原理的に不可能となっています。
そこで、もうちょっと制約を緩めて、出来る限りの範囲でいいから各コアを並列に動作させよう、なんてことを考えるわけですが、これについても、プログラムに対して相当厳しい制限をかけた場合ですら、その問題の困難さ(NP完全)により、多くの場合は確定的な形で解決することができないようです。
マルチコア化によってどれくらい処理能力が上がるの?という問いに対するひとつの答えとして「アムダールの法則」というものがあるのですが、これは並列化可能(実行に前後の依存関係がない)なプロセスの割合をFとし、プロセッサコア数をNとしたときに、処理能力の改善率を1/(F+(1-F)/N)で与える、という評価になっています。
要するに、コアを増やせば増やすほど、その処理能力の改善率自体は頭打ちになっていく、ということです。
実はプロセッサをマルチコア構成にすること自体、処理能力をあげるためのなかば苦肉の策であり、言い換えればPCを構成する各デバイスの動作速度そのものを向上させることについて、すでに各メーカーで諦めムードになっていることを示す証左であるとも言えます。
・・・ここまで読んだ方に、ようするにスズキはPC完結の音楽製作環境にたいして悲観的なんだな、などと思われる可能性もあるのですが、実際のところ、自分は大筋においてそのように考えてはいません。
実は、そう考えるに至った材料があるのですが、そいつについては次回に書こうと思います。
というか実はそっちの話を書きたかった。
ブログらしいエントリはこれが最初になりますが、カテゴリは「テクノロジー」ということで、たぶんオタクっぽくて面白くない話になると思います。まぁ、同じような環境で音楽を作っている誰かの参考にでもなれば、という感じで。。
現在スズキはPCを中心としたシステム、もっと正直にいってしまえば、ほぼPCの内部で完結したシステムにて音楽を製作しています。これは音楽製作にかかわる操作を、すべてCPUに代行させている、ということなのですが、この方法論のメリットとしては
・安い
・管理が楽
・物理的な場所をとらない
といったことが大きく挙げられると思います。
しかし、この方法論にはデメリットもあって、それは一言でいうならば
・同時に使える音源の数がPCの処理能力に大きく依存する
ということになると思います。
つまり、PCの限界がそのまま音楽的な限界としてあらわれてしまうということです。
逆に言えばPCの処理能力を上げれば音楽的な限界もあがるのではないか、という話なのですが、こちらについては、実は先行きがあまりよろしくないようです。
最近は、内部に複数のコアを持ち、それらを並列的に動作させることで処理能力を向上させる、というマルチコアプロセッサを搭載したPCがなかば標準となっていますが、実は、コアを2つにしたからといって、直ちに動作速度が2倍になるというわけではありません。
複数のコアを常に並列して動作させれば、確かに処理能力は2倍になると考えられるのですが、一般のプログラムに対して複数のコアを完全に並列動作させることは、原理的に不可能となっています。
そこで、もうちょっと制約を緩めて、出来る限りの範囲でいいから各コアを並列に動作させよう、なんてことを考えるわけですが、これについても、プログラムに対して相当厳しい制限をかけた場合ですら、その問題の困難さ(NP完全)により、多くの場合は確定的な形で解決することができないようです。
マルチコア化によってどれくらい処理能力が上がるの?という問いに対するひとつの答えとして「アムダールの法則」というものがあるのですが、これは並列化可能(実行に前後の依存関係がない)なプロセスの割合をFとし、プロセッサコア数をNとしたときに、処理能力の改善率を1/(F+(1-F)/N)で与える、という評価になっています。
要するに、コアを増やせば増やすほど、その処理能力の改善率自体は頭打ちになっていく、ということです。
実はプロセッサをマルチコア構成にすること自体、処理能力をあげるためのなかば苦肉の策であり、言い換えればPCを構成する各デバイスの動作速度そのものを向上させることについて、すでに各メーカーで諦めムードになっていることを示す証左であるとも言えます。
・・・ここまで読んだ方に、ようするにスズキはPC完結の音楽製作環境にたいして悲観的なんだな、などと思われる可能性もあるのですが、実際のところ、自分は大筋においてそのように考えてはいません。
実は、そう考えるに至った材料があるのですが、そいつについては次回に書こうと思います。
というか実はそっちの話を書きたかった。