機能3.コメント・参考図
画面右下のテキストエリアをクリックすると、モーダルな「コメント・参考図ダイアログ」が表示される。このダイアログ名からしてそうだが、参考図とコメントが必ず対になっていることはちょっと面白いが、このこと自体はKiin Editorの特徴というよりも、Kiin Editorのデフォルト形式であるUGFファイルの特徴と言えるだろう。前述の検討機能とは異なり、この参考図機能はUGFファイルを直接編集する。検討の中で意味のある変化は、参考図として残しておくことができる。参考図はコメントとセットで、1局面にいくつでも追加することができる。コメント欄をクリックして編集できるのは1つだけだが、追加したい時には「参考図」タブを右クリックして「新規追加」できる。
参考図はそれぞれ一本道だが、分岐を表示させたい場合には参考図を新規追加して対応すればよい。碁狂にはおなじみの記号や番号も盤上にマークする事ができ(しかも種類が結構豊富に用意されている)、自由な石の配置も思うがまま。
なお、参考図はファイルを編集する機能なので、思わず余計な変化まで追加してしまった場合、戻ることはできても消されずにファイルに残されてしまう。そういう場合には「最終手を削除する」というボタンで削除していけばよい(※1)。至れり尽くせりだ。
Kiin Editorを見つけた時に、そのツールの名称に違和感を覚えた。「エディタ」とは通常、メモ帳や秀丸エディタ、Wordといったテキスト編集用ツールを指す。なぜ、棋譜ファイル再生ソフトが「エディタ」の名を冠しているのか。最初は特に気にも留めなかったが、この参考図作成のハイスペック振りを見て理解した。このツールは「棋譜解説書の執筆用ツール」なのだ。もしかすると、プロがこれを使って、週刊碁や
まとめ
機能は様々あるが、最も私がスゴいと思う点は、初見のユーザーでもそれらの機能を迷うことなく利用でき、慣れたユーザーでもスムーズに活用できるという意味で、用意された機能の魅力を十分に引き出しているそのインターフェースデザイン、そして目立ったバグがなく、ストレスなくさくさく動作するという、「ソフトウェアとしての使いやすさ」だ。私はプログラマーとしていて、いくつかのアプリケーションの開発に携わったが、これがいかに困難なことであるかはよくわかる。ウインドウズのツールがここまで丁寧に作りこまれているというのは、囲碁研究にコンピュータは不可欠ということを象徴的に表している。最近のエントリでも触れた若手の躍進は、もしかするとコンピュータの活用こそがキーポイントだったのだろうか?
Kiin Editorが無料で公開されている今、アマチュアとしてはぜひしっかり活用させてもらって、囲碁界の裾野を広げていかなければならない。
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注1:ちなみに、UGFファイルを直接メモ帳で編集するのはなかなか骨が折れる作業なのでオススメはしません。