二十五世紀に生きる人々が、もしも
二十一世紀の歴史をリサーチするとしたら、
一体なにを手掛かりとするだろう?
発掘された新聞、雑誌類や記録映像のアーカイヴ等々。
この辺りがまず資料としての価値を持つのではないか。
それらが今から四世紀後の世界になお残存していて、
正常に再生できたとすればの話だが。
さりとて、そうした断片的な記録の集積から
二十一世紀の全体像をどこまで再現できるのだろう?
旧いメデ . . . 本文を読む
最近この時代の事柄に無性に興味を惹かれ、
専門書の類いを渉猟しているところであるが、
私の場合、文字にて記された事柄よりも
何かしら形の有るものに注意を喚起される。
剣、鏡、埴輪・・・そして最も気に掛かるのが、
日本列島各地に十五万基以上も残るという古墳。
とりわけ前方後円墳と称される巨大構造物の
言おうようない面妖さをどう表現すべきだろう。
あのシンメトリーが醸す人工性、神秘性。
異文明的とも思 . . . 本文を読む
J・ブローニングの歴史的遺作。昔から好きな銃である。
グリップを握った最初の印象が円筒形を連想させるが、
ホールディングの観点では理想形なのかもしれない。
掌でくるんでいるかのような独特のフィーリング。
構えた瞬間、人差し指がナチュラルにトリガーに掛かり、
自ずと正確なサイティングが実現、高集弾性にも繋がる。
或る蒐集家に言わせるとハイパワーは魔性の銃らしいが、
その心情吐露に激しく共感を示す者 . . . 本文を読む
午睡から覚めて幾ばくか経った。
規則的な空調の音に紛れて気付かなかったが、
窓の外は雨。梅雨空の一角からは薄日が射している。
三十年ほど前に子供時代を過ごしたこの地方では、
今の時節だと一日中止まぬ雨も珍しくはなかった。
あの雲の何処に一体これほどの水が蓄えられているのか
と、しばしば訝し気に天空を見上げていたのを思い出す。
こんな日は決まって工作に熱中したものだ。
野球に夢中になる一方で、工芸 . . . 本文を読む