佐藤さえ の 本棚

読んだ本の感想を書いています。

ゲッベルスとナチ宣伝戦

2015-11-10 19:55:40 | その他
ゲッベルスとナチ宣伝戦―一般市民を扇動する恐るべき野望 (光人社NF文庫)
広田 厚司 (著)



 ヒトラー・ドイツ時代の「国民啓蒙宣伝省」大臣を勤めていたゲッペルスの宣伝手法を時代を追ってかかれています。
 ヒトラーと出会う前からの活動や、あってからのナチ政党での宣伝活動、政権を取ってからの啓蒙活動、戦時中の国民の戦意高揚のための数々の宣伝などが写真やポスター入りで紹介。
 広く国民に知られていた「突撃隊の殉教者 ホルスト・ヴィッセルは英雄である」という話が実在するホルスト・ヴィッセルの行動とは全く違い、ゲッペルスの「事実はあるが宣伝ですり替える」創作だった。
 選挙の宣伝のため旅客機を使いドイツ全土に候補者のヒトラーが姿を見せる。
 集団的示威行動(パレード)を用い、巨大な集会が国民感情を操作するのには効果的として、夜八時以降に集会をおこない、大会会場周辺に130基もの巨大なサーチライトを配し、200万龍旒の巨大な「のぼり旗」を手にした制服の人々が会場を埋め尽くした。
 といった、宣伝の数々が書かれています。
 演説時の自分の姿を撮影し、効果的な姿の見せ方を工夫したりといった様子の他、映画女優とのスキャンダルの顛末なども盛り込まれています。
 興味深い本でした。

ゲッベルスとナチ宣伝戦―一般市民を扇動する恐るべき野望 (光人社NF文庫)
広田 厚司 (著)


以下個人的な感想です。
本の重要な部分が分かる描写がありますので、未読の方はご注意ください。

 ナチス党は、宣伝に力を入れていた。というのは知っていても、具体的にはどんなことをしたののかと興味を持ったため購入した本です。
 「事実はあるが宣伝ですり替える」創作が、初期に大成功を収めているので、その手法でそのまま通していったのだな、と納得。
 集会の力、もっと小規模な体育館の大きさのイメージだったのですが、ここまで大規模200万の人に50万の警備隊だったことに驚きました。
(そんな人数を集めることができる場所ってどういうところだろう。そうとう広大な更地があるんでしょうか。)
 安価なラジオを開発させ、国民ラジオとして広く流通させたり、と宣伝のためのハードにも力を注ぎ成功、でもその国民ラジオが「ゲッペルスの口」と影口を叩かれていた、というのも興味深かったです。
 読みごたえがありました。
 
 
 


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