そのままでいいです

その日その時やったこと。
その時思った事。感じた事。
日記代わりにありのまま。です。

長女の涙

2010-12-22 22:15:46 | 日記

悪いゴはいねがあああああああ

あ、まだナマハゲには早いですか?

え、クリスマスなんですか。

どおりでこないだ、職場で電話とって、

「大津べるとっつーもんはあるだか!!」

いきなりキレ気味なおじいちゃんに

「仮面ライダーオーズベルトですね。申し訳ございません。大人気商品でして当店では完売、次回入荷も未定でございます。」

といったら

「孫が欲しいもんなのにか!じゃあねーちゃん、孫が納得いくように説明しな!」

「かしこまりました。お孫さんに代わって頂けますか。」

「もちもち」

「もちもち~?オーズ、好きなの?かっこいいよね~!でもね、今ベルトを作るのにつかう材料が、地球の温暖化で足りないんだって。困ったよね。オーズが大好きなこどもたちに、オーズはベルトをひとつでもおおくのひとにあげたいけれど、いまはもう少し待ってて欲しいんだって。どう?待てるかなあ?」

「ちきゅう・・・おんだんか・・・!!うん!まってる!!」

「いいこだね!じゃあ、おじいちゃんに代わってくれるかな?」

「・・・おう・・・オレだ・・・おじいちゃんだけど」

いつから私のおじいちゃんになったのかな?んもう、おちゃめな老害め☆

・・とまあこのような無茶ぶりがまかりとおるこの季節、そうかクリスマスだったのか。

私は日々このような事柄をバッサバッサと切り捨てて口八丁手八丁を披露している。

そんな仕事の合間の、休憩時間。

いつもの店でフーッと一息。

携帯電話を見ると、長女の担任の先生から着信が入っていた。

「何かあったのかな?」

慌てて電話をかける。

「いつもお世話になっております。何かありましたでしょうか?」

「ああ、お母さんですか。今日、生徒総会があるのに早退するって言ってたんです。」

「早退?具合でも悪かったのでしょうか?」

「いえ。なにか、犬の散歩があるとかで。」

私はまたしてもコーヒー吹いた。

「そ・・それで・・・」

「なにか事情があったんだとは思いますが、さすがにそれはありえないので、厳しく叱りました。お母さんもおばあちゃんも今日はいないから、私が早く帰って家の用事をやらないととか言ってましたけど・・・そんな時、早退してまで・・いえ、ご家庭の方針でそうするようになっているなら別ですが。」

「ご・・・ごかていの・・・ほうしん・・・!!」

私は先ほどの無茶ぶりおじいちゃんの孫みたいにアウアウなって、とにかくひたすら謝って電話を切った。

コトの顛末はこうである。

この日は、近所に住んでいた母の大事な友達のお葬式であった。

つい最近もお見舞いにでかけ会ったばかりで、もうすぐ外泊してくるのだと聞いた矢先の訃報で、母はとても落ち込んでいた。

先方のお宅からも親しかった母には葬儀のあとの集まりにもぜひ参加して欲しいと言われたので、留守をするから私は仕事を休むように言われた。

だが、さすがにオモチャ屋にとってこの時期の急な欠勤は難しい。

ただでさえ人件費削減でギリギリの人数なのだ。

同僚に迷惑かけるもいいところである。

すると、さすが長女、

「いいよ。私が早く帰って家のことやるから」

と言ってくれたので甘えることにした。

「生徒総会があるけれど、終わったら急いで帰るからね。」

「ごめんね。お願いね。」

毎日母が欠かさない愛犬2匹の散歩、妹達とお父さんの夕食作りが任務である。

彼女は、ただ、任務を完璧にやろうとした。

双子の妹ははっきり言って頼りない。

別の面では役に立つが・・・自分が適任だろう。

そして、生徒総会なんぞにでていたら、いつもおばあちゃんが行っている時間に犬の散歩ができないじゃないか。と給食のとき気づいた。

彼女にとっては、犬の散歩が重要だったわけではない。

大事な人をなくしたおばあちゃんが、ゆっくりお別れに行けるように。

それには、おばあちゃんの大事な犬達をいつもの時間に滞りなく散歩に連れていって、おばあちゃんが今日は家のことを案じなくてすむように。

お母さんも最近は毎日夜中まで働いている。

疲れているだろうけど、せめて家のことを心配しないでもらいたい。

一番下の小学2年生の妹は、懇談会週間でいつもより下校が早い。

誰かいなければ不安に思うかも。

と、このような思いの集大成が、持ち前の要領の悪さをもってして

「犬の散歩があるので早退したいんですけど。」

というあまりにシンプルな申告となった。

そして当然それを咎める先生に逆ギレして大泣き、なにか事情があるなら話してみろという提案もつっぱねて、

「最後までいりゃいいんでしょ!!!」

と捨てゼリフを吐いて親に電話をかけられる結果となった。

私はひたすら謝って先生との電話を切った。

そして我が娘である長女の感情の動きがまざまざと想像でき、たまらない気持ちになった。

外は暗くなってきた。

今どうしているだろうかと電話をかけ、長女の声を聞いたら

「ごめんね」

としか言葉が出なかった。

すると、

「謝らないで!」

とピシャリと言われて電話を切られた。

頑固で、短気で、負けず嫌いで、意地っ張りで。

でも、優しい、優しい子だ。

この日も帰宅が12時を過ぎたが、私はすぐに長女の部屋へ入って抱きしめて、

「ありがとね」

と言った。

起きていた彼女はもう冷静を取り戻していて、

「ばかだよねー!ちょっとつっぱしっちゃった!」

と言ったあと、

「でも、先生に学校を軽視してる、って言われちゃって」

と、涙を浮かべた。

ちなみにこの担任の先生は、若いのにとても落ち着いたいい先生である。

普段とてもよく気にかけてもらっている。

だから今回も決して長女を責めているのではないことは分かっていた。

普通に考えて中3で受験で周りも先生もピリピリしてるさなかに、

「犬の散歩の時間なので帰ります。」

とか言われた日にはどんだけ脳内温暖化なのかと問いたくなるのも当然だ。

私は先生に手紙を書いた。

結果的には長女の態度は問題だったのでお騒がせしたことを改めて謝罪したかったのと、だがしかし事情をもっと詳しく知ってもらいたく、また、その日長女が作ってくれた夕食のポトフはとても美味しかったと伝えたかった。

親バカもいいところ。しかし書かずにいられなかった。

ペンを置いてふと考える。

ご家庭の方針、などとたいそうなものは少なくとも私にはない。

ただ、丈夫に生きていって欲しいこと。

そして、人は人と関わって生きてゆくのだから、自分以外を思いやれる心を持つこと。

それだけできりゃいい。

一息ついて、入浴してると双子の妹、次女が入ってきた。

「今日、長女ちゃんには悪いことしちゃったなー・・・」

とボソッと言うと、

「そうそう!犬の散歩で早退とかwwwwマジウケるwwwww」

さすがお気楽娘。おまえがもうちょっと協力してやれば。

「しかもね、もう一個面白いこと言っててさ。今日、人権同和の授業が合同であったんだけど」

「・・・・ウン」

「ある女の子の作文をもとにした内容で。(私のお母さんは、お父さんと結婚するとき、親を始め色んな人に反対されました。それは、お父さんが○○だったからです)てね。で、講師の先生が、○○に当てはまる言葉はなんだと思う?って」

「ああ・・・よくある話ね。」

「そしたらさー、横であいつ(漢字二文字か・・・ど、泥棒?)とか言っててwww」

「・・・・・・・・・」

ああ、もう、ご家庭の方針を撤回します。

わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。by丸大ハム