深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

ものが二重に見える

2008-04-25 14:19:04 | 症例から考える
ある朝、目を覚ましてトイレを済ませた時、奇妙なことに気づいた。ものが縦に二重に見えている。一瞬、目ぼけているのかと思った。しかし、そうではない。辺りに目を向けると、やはりみんな二重になって見えている。コンピュータの会社に10年以上も勤めたせいで乱視は入っているが、そういうのとは全く異なる見え方。こんなことは初めてだ。何が起こったのかわからない。目がおかしくなったのか、脳がおかしくなったのか

取りあえず電気釜のスイッチを入れ、その後でおもむろに治療を始めた。キネシオロジーでどこに問題があるかを探ると、眼球内部と視交叉付近、そして小脳鎌に弱さがあることがわかり、そこを治療。眼球内部と視交叉付近の弱さは取れたが、小脳鎌の弱さは取れず、見えるものは相変わらず二重になったまま。こりゃあ病院に行かないといけないかもしれない。下手すると入院かな──という思いが頭の中をグルグル巡る。

病院に行くとしたら、眼科だろうか、それとも脳神経科かな、いやまず眼科に行って紹介状を書いてもらった方がいいか…などと考えているうちに、ご飯が炊きあがり、朝食にする。食べながら、いつものように新聞を開いたが、読もうにも二重に見えているので読みにくくて仕方がない。テレビも二重に見えるが、声は普通に聞こえるので、ニュースを聞きながら食べる。そのうちに、さっきの治療が効いたのか、体がこの状況に慣れてきたのか、同じものに少しの間、注意して目を向けていると、普通に見えるようになった。ただ、視点を別のものに移すと、やはり二重に見えているので、治っていないことは明らかだった。

病院に行くなら、朝の予約の入ってない時間だよな…などと考えていたら、急に「朝のできるだけ早い時間で診てくれ」というTELが入り、多少不安はあったものの、治療を引き受けることに。いつものように問診するが、カルテも二重に見えるので書きにくい。それでも治療を続けていると、緊張感からか、途中から二重に見えることはなくなった。

そのため、その日は病院には行かず、経過観察することにした。結局、その治療以降は夜まで、ものが二重に見えることはなかったが、左目の違和感と左後頚部の張ったような感じ、そして小脳鎌の弱さはずっと残り続けていたので、夜になってクラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)とフォーカシングを使って治療した。左目にフォーカシングして感じたのは、まわりに光量の足らない環境でパソコンを使いすぎたことが原因の1つらしい。そう言えば、最近は夜中までYouTubeで遊んでいるし、この日の前にはレンタル・ショップで借りてきた『羊のうた』『7人の弔(とむらい)』のDVDを立て続けに視たりしていた。

さすがに、この日はパソコンを使うのは最小限度に留めた。夜の治療の後、左目と左後頚部の症状はほぼ消えたが、次の日には、ものが二重に見えることはないが、左目と左後頚部には同じ症状がまた出ているので、しばらくケアし続ける必要がありそうだ。

後になって、『内科診断学』(南江堂刊)で調べてみると、ものが二重に見えること=複視について、こんな記述がなされていた。

複視は1個の物体が2個に見えることであり、外眼筋のアンバランスのため、両眼が直接同一対象を注視できなくなったために起こるものである。

眼球の運動に関与する外眼筋は第Ⅲ(動眼)、第Ⅳ(滑車)、第Ⅵ(外転)脳神経により支配されており、その麻痺により眼球運動の障害が起こる。正常時には物体の映像は各眼の網膜黄斑部に結ばれ、左右の映像が融合し物体が1つに見えるが、一眼が偏位するとこの融像が行われなくなり、複視を訴えるようになる。


そして、眼球をさまざまな方向に向けさせることで、どの外眼筋に麻痺があるかを検査する旨、書かれているが、今回の私の複視は、(厳密に検査したわけではなかったが)少なくとも朝の段階では、目を向ける方向を変えても複視は変わらず、外眼筋の弱さそのものも検出されなかった(あるいは、外眼筋のどれかの麻痺はあったのかもしれないが、それより原因として優先順位の高いものがあったため、検出できなかった)。

脳神経については調べていなかったが、たった今、時遡行(ときそこう)を使って当時の体の状態を再現して調べたところ、動眼神経と外転神経に問題があったことがわかった。朝の治療で出てきた視交叉付近の弱さだと思ったのは、これのことだったのかもしれない。

そういうわけで、また期せずして自分の体で勉強させてもらうことになった。年を取ったせいか、何カ月かに一度はこういうギョッとすることが起こるようになった。そのたびに学ぶことは多いのだがが、こういうことはあまり起こってほしくない、というのが正直なところだ。

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