「台湾漫遊鉄道のふたり」の楊双子の新作
「四維街一号に暮らす五人」(楊双子著 2025年7月 中央公論社 247p)を読みました。
今回も舞台は台湾。
5人の女性が暮らすのは
日本が統治していた時代に作られた古い日本家屋。
障子があり、襖があり、雨戸がある。
生活音は筒抜け。
トイレもシャワールームも台所も共用で
5人はいつもお互いの気配を感じながら暮らしている。
大学院1年生の2人
乃云は人付き合いが苦手
家家はコミュニケーションに長けているが苦学生で
他の住人との金銭感覚の違いにしばしば傷つく。
大学院2年生の2人
知衣は浮世離れした言動をする学生作家
小鳳は料理上手なお嬢さま
この家に出るという幽霊を怖がっている。
大家の修儀は30代
それぞれに悩みを抱えている大学院生4人が
距離を縮めたり
また遠ざかったり
一緒に食事をしたり(前作と同じように「食べる」シーンがいい)
ひとりで食事をしたり
それを見守る大家の修儀
百合小説というよりは距離小説。
そんなに明るいばかりではない人物たちが
独特の「溌剌とした」語りで語られるのが
(訳がいい?)
楊双子の魅力です。
わたしは知衣推し
著者が影響を受けた本に
「舞妓さんちのまかないさん」(コミック)とありました。