マーサの昔話

デジカメでの景色や花、動物などの写真
海外体験談、今日の一品、糖分控えめ?なおやつ等‥‥‥

星のないホテル SR22

2010年02月14日 | Scottish Romance

 ボート遊びを終えて、ホテルへ戻ると、2階の私の部屋に、隣の石塚先生も呼んで
3人でそうめんを湯がいて食べる。 
 5人前のそうめんは、あっという間になくなってしまった。
 ぬるくて、だしの味もいまいちだったのに、3人とも文句も言わず、黙々と 食べていた。
 
 ケンブリッジでは1にラーメン、2に寿司って感じで、ラーメンはよく食べていたけれど
意外とそうめんを食べたいとは思わなかった。 やはり、真夏でも時々あるこの寒々しい
気候のせいだろう。

 蒸し暑い日本なら、あっさりした冷たいものを食べたいと思うのに、こちらでは殆ど
思わない。 ただ、そうめんつゆが飲みたかっただけかもしれない。
 3人ともさほど美味くもないつゆを 飲みきってしまっていたから。
 グルメな賢ちゃんなのに、こんなそうめんでも、とても喜んでくれて
 「 このお礼に帰国したら、名古屋で一番美味しいきしめんをご馳走するよ。
   車で名古屋市内も案内するから、雄一と直子も誘って一緒に名古屋へおいで。
   僕の家に泊まればいいから。 夜、遅くまで遊べるぞ。 」 なんて言っております。

 そうめんを食べ終えてから、賢ちゃんが進路について話しだした。
 というより、社会人である石塚先生に話を聞いてもらいたかったのかもしれない。
 賢ちゃんは、名大で修士号を取得していて、このまま大学に残って、博士号を取得して
教授になるのかと思っていたが、1級国家公務員になりたいと話していた。

 石塚先生は、それを聞くなり 「 1級国家公務員? よしなさいよ。 他力本願な
彼らが税金という安定収入に群がって寄生しているだけじゃない。  あんなどろどろした
所に就職すると人間不信になるだけよ。 考え直しなさい。 」

 「 先生、随分言って下さるじゃないですか? 以前に勤められた経験がおあり
   なんですか? 」

 「 あるから言ってるのよ。 もっとも、1年持たなかったけどね。 
   私は、教職という今の仕事が、天職だと思っているの。 
   私は、仕事に生き甲斐を見つけたのよ。 毎日、大変だけど、有意義に
   過ごしているわよ。」

 その時ちょうど、エディから電話がかかってきた。

 「 夕食の時間だけど、下りて来ないのか? 皆、集り始めているよ。 」

 「 もう、そんな時間? 解ったわ。 すぐ、行きます。 」

 「 夕食の時間ですって。 レストランに下りましょう。 」

 又、話の途中だったけれど、3人で階下へ下りる。 すでに皆は、着席していた。

 私はエディに訳があって、賢ちゃんと雄一がいるテーブルに着席する事を言った。
 エディは、気を使わなくていいからと言ってくれて、窓側の席に座った。

 食事中、賢ちゃんは私と雄一が仲直り出来るように、上手く取り持ってくれた。
 かなり、機嫌よくなった雄一が、ワインを追加注文する為に、ウェイターを呼んだが
ウェイターは一瞬こちらを見ただけで、一向にこちらへ来ず、今度、指を鳴らして呼ぶが
チラッと見るだけで、やはり無視。 3,4回、ウェイターを呼んだが、まるで来る気がない。

 怒り心頭の雄一は席を立って、ウェイターに文句を言いに行くのかと思ったら
ウェイターを睨みつけて、フロントの方へ向かって行った。 私と賢ちゃんも後を追いかけた。
 フロントで、ウェイターに無視された事を訴えていると、フロントマンも、上から目線で
謝る処か、あくまで高飛車な態度で、アジア人である私達を卑下している様子で、全く話に
ならない連中だった。

 3人がフロントで揉めていると、戻ってこない私達を心配して、エディが様子を見に来て
くれた。 よく来てくれたとばかり、私はエディに、いくら説明しようとしても取り合って
くれない彼らの態度の事、サービスの悪さ等を話した。
 エディもフロントマンに、私達に対しての態度を改めるように話してくれたが、彼らの
態度は同じだった。 文句があるなら、出て行けって感じだった。

 何故なら、アイルランド訛りの英語で話すエディにフロントマンは、又、蔑視している
様だった。 このホテルの従業員って、一体何様なの? って叫びたくなった。
 エディも話せば話すほど、険悪なムードになってきて、取り合えず、落ち着かせる為に
雄一とエディを無理やり引っ張って行き、レストランへ戻った。

 確か、コーチの運転手が、このホテルの本店はロンドンにあると言っていた。
 そう言えば、従業員は地元の人ではなく、どうもイングリッシュぽかった。
 私達皆、英語で会話しているのだから、差別するのがおかしいだろうと思うし
 こんな態度でよく接客業が勤まるものだと呆れたものでした。
 噂では一つ星ホテルと聞いていたが、ホテルのどこにもランク付けの掲示はなかった。

 まあ、田舎ですから無星のホテルの方が多いのですけど、一応、湖水地方ですから
 田舎と言っても、観光客は結構多い筈なのに、残念な事です。 こんな事で、私達の旅の
思い出に一生ケチがつくのですからね。 又、蔑視という事では、スティ先の近所でも
私が通る度に、子供達が耳障りの悪い声で 「 ジャップ!ジャップ! 」 
と呼んでいたけれど・・・
確かにあまり良い気分であろう筈がない。

 5日前、マイケルとパブへ行った時に、ロンドンの話をすると、「 あんな野蛮な所へ
どうして行くんだ。 」 と周りの皆に言われた事を思い出した。

 同じ白人同士でも差別されることもあるらしく、これには、いささか驚かされました。
 アイルランド人とイングランド人、スコットランド人と イングランド人の関係も良くない
らしい。 どちらもイングリッシュが入る訳だ。

 食事も不味かったが、従業員のマナーが最低、最悪だった。 
 という事で、私達は、勝手にこのホテルを一つ星の資格もないと見なし
無星ホテルに指定した。 しかし嫌でも、後一晩ここへ泊まらなければならないし
取り合えず、このメンバーと後3人で、近くのパブヘ飲み直しに出かけることに
なったのだが・・・