チーム・シヴァ戦記《16》～フィル・ルーの世界ネコ歩き～

フィル「ただいま～」

メイ「あらフィル君、どこ行ってたの？」

フィル「あ……ちょっと隊長のお使いで」

メイ「お使い？………って、これお酒じゃないの？」

シヴァ「おう、ご苦労さん」

メイ「………隊長？」ギラッ

シヴァ「な、何だよ。そんなに怖い顔して」

メイ「当たり前でしょう？なにあなたは隊員をパシリに使ってんのよ！」

フィル「あ、でも別の用事があったから、そのついでなんで」

メイ「いいえ！この際ですから隊長にはビシッと言っとかないと！………って、あら？」

ネコ「うにゃーん」

シヴァ「おいフィル、その猫どうしたんだ？」

フィル「あー……買い物の帰りにそこの路地裏にいたから、撫でてたらついてきちゃって」

ネコ「うにゃ」

ウグイ「へえ、珍しいな。随分と人に慣れてる」なでなで

メイ「どこかの飼い猫かも知れないわね」

シヴァ「なんで分かるんだよ」

メイ「だってほら、野良猫にしては毛並みがとても手入れされてるし、ほら」

ウグイ「お、首輪だ。そんなに古くないな。ん？何だこれ。名前かな」

シヴァ「どれどれ………『シェイラ』、か」

ウグイ「犬は人につき、猫は家につく、か。ひょっとして引っ越しで置いて行かれたとかかな」

ネコ「うにゃ………」

フィル「ねえメイさん、この猫、僕らで飼いましょうよ！」

シヴァ「何故先にメイに許可を得ようとする」

メイ「そうねえ………」

ガタッ

リディア「アイタタ、たっだいまーっ」

シヴァ「おうお帰り。どうだった？オーク退治の首尾は」

アイリン「退治は上手く行ったんですけど、リディアちゃんが怪我しちゃって」

リディア「なーに、こんな擦り傷、舐めといたら治るわ」

アイリン「待って、今ディオスを………」

ネコ「うにゃっ」トコトコ

リディア「うわっ、何やのこの猫？」

ぴょん

ネコ「」ペロペロ

リディア「あ、傷………」

アイリン「傷が………治ってる！？」

ネコ「にゃっ」

シヴァ「うわっ、すげえドヤ顔」

ウグイ「こいつは驚いたな、猫が回復呪文か」

メイ「そう言えば聞いた事があるわ。私達人の五族の他に、犬から進化したラウルフ、猫から進化したフェルパーって種族がいるって」

シヴァ「コイツがそのフェルパーだってのか？どうみても俺にはふつーの猫にしか見えないがなあ」

メイ「ふつーの猫が回復呪文なんか唱えます？」

シヴァ「うーん」

ネコ「にゃーん」トコトコ

ウグイ「おやおや、随分とフィルが気に入ったようだな」

フィル「隊長、この猫、チーム・シヴァに入れましょうよ！」

シヴァ「はあ？」

フィル「よし、君は今日からシェイラだ」

メイ「じゃあ早速入隊試験を受けてもらわないとね。シェイラ、バディオス唱えてみて」

ネコ「うにゃっ」

バシィッ！

シヴァ「ぐわっ！痛え！」

メイ「よしよし。じゃあ今日から晴れてあなたはチーム・シヴァの隊員よ」

フィル「メイさん………相変わらずおっそろしいなあ………」