「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

「与えよ!さすれば幸せは得られる」の論文

2008年03月27日 | 製薬会社な日常
SIUはワリと世話を焼くのが好き(おせっかいとも言う_苦笑)
加えて、ちょっとした物を渡して人が喜んでくれるのを
見るのはとっても幸せだったりいたします。
でもこれを『偽善?』とか思ったりもするので、あまりおおっぴらに
言えなかったんですね。

しかしながら最近のScienceに載った論文によると
そんな後ろめたさは感じる必要はなく、これはこれで
整合性が取れているらしいです。
ちょっと面白いのでご紹介↓

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Spending Money on Others Promotes Happiness
(自分ではなく他者のためにお金を使う方が、得られる幸福感は大きい)
Dunn EW, Aknin LB, Norton MI.
Science. 2008 Mar 21;319(5870):1687-8.
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ちゃんと内容を確認したい方はPubmed経由でアブストなり
論文を丸々読むなり、きちんと確認していただくとして
「忙しいのにそんなことやってられませんよ、課長」
という方のタメに(誰?_笑)
ざっくり内容を言うと、聞き取り調査により
「他人へ与えること」と「幸福度(Happiness)」とに相関が取れたので
実際にお金を手に入れた時、お金を「自分に使う群」と「他人にも使う群」とで
比較したら、やはり人のタメにお金を使ったほうが「幸福度」が
高かったと言うことらしいです。当たりまえっちゃー、当たり前もしれませんが
意外と言えば意外ですね。
ちなみに手元にあるお金が多くても少なくても、やっぱり「他人にも使う群」のが
幸せらしいですよ。

SIUが人のタメに何かしたあげたい、というのは科学的根拠(笑)が
あったわけですね、下心があるわけでも、偽善的な理由があるわけでもなく
(イヤあるかも_爆)

論文と掲載ジャーナルの絡みで言えば
そんなに困難ではない(と思われる、専門外だから
本当のところはわかりませんが)実験と観察を用いて
非常に興味深い結論を持ってくる、というのが面白い論文だなと思いました。
正直、これでScienceってのは美味しいのではないかと(笑)
心理系の研究している人は参考になるのではないかな?

英語読むのがめんどくさいけど、もうちっと正確なところが
知りたい人は下も合わせてお読みくださいな。

Science AAASによる日本語訳
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与えることが大きな幸せに
‘Tis Better to Give
新しい研究によれば、われわれは、自分に金を投資するよりも他人に投資する方が幸せを感じるという。金を多く持っていれば、幸福感が増すと考えがちである。しかし、先進国ではここ数十年、実質的な所得(購買力に応じて調整される所得)が急増しているにもかかわらず、幸福感はおおむね横ばいであることが、複数の研究から示されている。では、われわれは自分の可処分所得をどのように使えば、大きな幸福感を得られるのであろうか。Elizabeth Dunnらは、米国で国民調査を実施し、ボストン地域にある企業で支給されたボーナスへの社員の反応と使い道を分析した。さらに、心理学科の大学生を対象に研究室で一連の実験を行い、それらの結果を総合的に検討した。3つの研究の総合的な結果として、他人に金を投資した人は自分に投資した人よりも幸福感が大きかったことがわかった。幸福感を増すには、所定の日にわずか5ドル(米ドル)の寄付をするだけで十分であると、研究者らは報告している。
http://www.sciencemag.jp/highlights.cgi?_issue=100
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