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幸せの青い鳥

誰かが死んだら涙が出る、心の綺麗な人間になりたい。(3月26日)

竣工式

2005-11-18 21:20:34 | 介護と私
本日は、父の入居する新館の竣工式。新館は3号館と呼ぶ。
ちなみに私の約4年前の勤務開始と同時に『2号館』ができ、3号館は2度目の増築となる。
入居(特養)30床、ショートステイ10床の増設。
これで、全体で入居80床+ショートステイ20床の大型特養になる。

3号館はすばらしい。新型特養なので、全室個室、トイレ付き。
カウンター式の介護員室。広々とした中庭。
広すぎないセミパブリックスペース。
プラズマテレビ。豪華な応接セット。
高くない天井。予想以上のいい生活空間である。
ハード面では。

私は特養に勤務し始めた時、(ちなみに法人団体は「入社」といわず「勤務」という)
『ここはとても人の住む場所じゃねえ』と思った。
お年寄りは一日中テーブルに向かって椅子にすわりっぱなしで、レクリエーションもない。
食事は立ったままの介護員に無理やりスプーンで唇をこじ開けて入れられ、
お風呂は流れ作業の芋洗いの様。なんとか変えたいと思った。
(なんとか変えるために奮闘した話はまた後日。長いので。)

私は楽になりたかった。中2からやっていた祖母の介護で疲れきっていた。
なんとか、この田舎から出て、自由になりたいと思っていた。

そのために、祖母を特養に預けたかった。
「遠くで元気に暮らしている」なんて、何て素晴らしいことだろう。
こんなに幸せなことはない。
祖母を特養に預ければ、毎日夜中に縋る様な声で名前を呼ばれなくてすむ。
祖母の幸せを、私以外の誰かが仕事として、きちんと考えてくれる。
しかし、預けたい先の特養、近郊では一箇所しかない自分の勤務している特養は、
とても終のすみかとはいいがたかった。
ここに預けるより、自分で看たほうが祖母は幸せだと思った。

3号館は素晴らしい。入居する父も、他の方もいい環境で過ごせるだろう。
しかし、1号館や2号館はまだあるのだ。
1号館なんて、回廊式である。2号館もハード面が不十分で死角が多かったり、マンパワーが足りなかったり、おおよそまだ終のすみかとは言いがたい。
法律が変わって、この先は新型特養しか建設できない。
新型特養なら、人の住める場所かもしれない。
(まだ実際に稼動してみないと分からないが)
でも、今までにあった旧型の特養はどうなるのだろう?
旧型は旧型のまま、ハードもソフトも質も変わることなく、行政の手が入ることこともなく、ほったらかしだろうか。
高いホテルコストの払える一握りのお年よりは新型特養で、生活保護のお年よりは旧型につっこまれたままだろうか。同じ特養なのに。特に、うちのように建設時期が違う建物が並んでいるとそれが顕著だ。
まだまだ特養は過渡期の変遷なのだろうが、恐ろしく、悲しい話だと思う。