指輪のストラップ

それからあたしは
いつ逢えるかも判らないのにストラップも作った

15年前に買った、多分『89』の指輪を作った後に
DEPTで見つけた『T』と『C』のシルバーの指輪・・・

籐クンの『T』とあたしの『C』
これストラップにしたらかわいい・・・

それから出張の多い籐クンに「無事かえる」のお守りとして
シルバーで出来た、スゴク小さいリアルなカエルを付けてストラップにした

『C』の方は自分の携帯につけた

あたしとおそろい・・・
籐クン付けてくれるかな?

いつ渡せるかも判らないのに
あたしは籐クンのプレゼントを用意した

今月は無理

・・・誕生日の40記念にぴったりのプレ見つけたよ～(^_^)v
週末って時間ありますか?平日でもいいけど・・・

あたしは早速籐クンにメールした

・・・ありがう。週末は出張で来週は少々タイトなスケジュールなんだよ・・・

あーあーまたかっ・・・結構落ちた
何でいつもこうなんだろう?

・・・そんなに先だと腐っちゃう・・・

・・・今月は厳しいかも・・・

今月は無理？？今月ってまだ3日だよーー
どうしてなんだろう？やっぱり避けられてるの？

あたしのためには時間作れないって事？

・・・時間出来たら連絡ちょうだい・・・

多分籐クンは連絡くれないんだろうな・・・
せっかく買ったのに、この時計無駄になっちゃうのかな?

時計

15年前、25歳の籐クンの誕生日に送ったのは
時計だった・・・

代官山のデタントで買ったおもちゃみたいな時計

・・・この時計みるとお前の事ばっかり考えちゃうよ・・・

・・・この時計お前のにおいがするよ・・・

籐クンが言ってくれた言葉
15年前の言葉・・・

もう時計は壊れちゃったし
あたしのにおいも消えちゃった・・・

時計にしよう！

G-SHOCKがいいかな？あたし好きなんだぁ
籐クン海に入るし、G-SHOCKなら簡単に壊れないしね

ネットで調べたらG-SHOCKって25周年なんだって
あたしと籐クンも付き合ったのが15歳だから
今年で25周年なんだぁ

あたし達にぴったり！
G-SHOCKに決めた！！

25周年モデルを捜し当てて
ちょっと高いけどあたしは時計を買った

ぴったりのプレゼント

あたしはモールに出かけた
籐クンの誕生日プレゼントを探しに・・・

楽しいなっこんな風に楽しいのってきっとこの瞬間だけなのかな?
こんな風に選んでいる時がきっと一番楽しいんだろうな・・・

こんな感じ忘れてた、もうずっと忘れてた
多分人ってこんな風にいろんな事忘れていって
年取って、おばさんになって行くんだね

やだな・・あたしは籐クンのおかげで大丈夫（？）かな？

結局見つからない・・・
帰って夜中までネットショップで選んだ

見つけた！！籐クンの40歳の誕生日にぴったりのプレゼント・・・

プレゼント

誕生日プレゼント・・・
何にしよう？？スゴク迷ってる

だって籐クンの誕生日プレゼント選ぶの15年ぶりだもん

いつも使ってもらえるものがいいなぁーー
お財布・・あたしとおそろいのは?でも同じ様なの持ってるし・・・

カードケース、名刺入れ・・この間エピ持ってたし・・・

キーケース、鍵の種類とか大きさとかわからないし・・・

ストラップ・・おもちゃみたいの付けてたから・・でも好みわかんないや

なんか籐クンの事いつも想ってるのに
こんなに長い間、籐クンの事ばっかり考えてるのに

こうやって考えるとあの人の好み、あの人の欲しいモノ、あの人の事
全然わからないんだぁ・・・

やっぱり15年の月日は長いんだ・・・
あたり前だけど、こんな事から思い知らされた感じがした

どうしよう・・籐クン何が欲しい？
籐クンはどんな物好きなの？

あたしからのプレゼントなんて欲しくない？
あーーまた『卑屈女』になってるよ・・あたし・・・

誕生日

籐クンの４０回目の誕生日
去年はしなかったメールでのおめでとう
今年はこの間逢ったばっかりだし、記念すべき40才だからメールをした

籐クンの誕生日が来た１１分後、０時１１分
今年はあたしが一番に言えたかな?

・・・誕生日おめでとう♪わぁー４０才だよ～どうする？・・・

・・・ありがとう、何もかわらないかなぁ・・・２分後の返信だった

・・・変わるよ～こんな私も働いているんだぁ～ご馳走しようか～?・・・

・・・子供に何か買ってやれぇ・・・

でたっ！！そういう風に返してくると思った

・・・子供の誕生日まだだもん・・40記念に何か欲しいモノない？・・・

・・・ん～何かあるかなぁ？・・・

籐クンの誕生日にこんな風に話が出来るとは思ってなかったから
嬉しかったな・・

・・・欲しいモノない？いいモノいっぱい持ってるもんね(^^;)
何か探しとく～～籐クンの趣味判らないけど・・期待しないで
待ってて☆欲しいモノ見つかったら言ってね～～・・・

2007年9月　籐クンの40歳の誕生日だった

むなしい

夕方、あたしは籐クンにメールをした

・・・今日は時間作ってくれてありがとうね～
あやは痩せてたけど中身は変わってなかったね～
籐クンも近くに来た時くらいは連絡してね～またご馳走してね～(^-^)・・・

・・・了解。またな・・・
一言だった

・・・またねっ・・・
だから一言で返した

なんだかむなしくなった

返事は早くなったけど相変わらずの短いメール・・・

「またな」がまたずっと逢えなくなる最後の挨拶みたいに聞こえた

いけないのかな?

家に帰ると子供達が待っていた
「おなかすいたーー」あっという間に現実に戻された・・・

自分の事で、籐クンの事で頭がいっぱいだったのに
まだ『この人が好きっ』ってときめく気持ちがあったんだぁ・・・

40になってもこんな気持ちが味わえるのも
籐クンだったからなんだよね・・・

籐クンが優しいから・・・
籐クンが冷たいから・・・

あーあーあたしのこれからどうなるんだろう
あたしには子供がいるんだったー

あたしのこの気持ち大事に生きていきたいけど

子供が居る現実はそんな事じゃいけないのかな？
子供のために離婚なんてしちゃいけないのかな?

早く

あたしは家までの帰り道
運転しながら色々なことを考えていた

前に籐クンと逢った時は
・・もう懐かしい友達になれたのかな?・・なんて考えながら帰ったのに

今日のあたしは全然違っていた

あたし・・早く離婚しなきゃ・・・

早く離婚して、籐クンの子供生まなきゃ・・・
初産じゃないしまだ子供生めるよね？

何考えてるんだろう・・・

でもね・・・なんかホントに
この先籐クンとずっと一緒に居れる様な気がしたんだぁ・・・

なんとなく迷っていた離婚を
この日にあたしは決めたんだと思う・・・

あたし・・・３月に離婚する・・・

2007年8月　40歳の夏だった

車

あたしと籐クンはあやを見送った

車までのほんの数メートル、籐クンは
・・・実家はまだ大田区なの？・・・

何言ってるの？大田区の実家から３回は引越ししている
やっぱりこの人なんにも憶えてないんだー少し落ち込んだ

今日は籐クンの車確認しなきゃーー

籐クンの車は黒の背の高いワゴンのような
見た事ないかっこいい車だった

・・・おおきいねー・・・そう言うと
・・・そう？ハイブリットなんだ・・・

といいながらなぜか慌てて車に乗り込んでいる
なんだかそんな籐クンを見てあたしも手を振って、そそくさと自分の車に向かった

「もうちょっと時間ある？」
「もう少し話せる？」

なんでこんな一言いえなかったんだろう？

「ありがと」と言いながら手を降る籐クンの車を見送りながら
なんでだか車のナンバーの憶えた

あーあー行っちゃった・・・

ハグ

レジを済ませた後・・・ご馳走様・・・

あたしが言うと籐クンは笑いながらふざけて手を差し出し
お金、という仕草をした

なんかその時の籐クン、無邪気な顔してた・・・

あやがそれをみて「払うよ」と言うと
「いいよいいよー」と籐クンは慌てて言った

「送って行こうか？」あやに言うと「近いからいいよー」と言う

あたしはこの後、もしかしたら籐クンと二人になれる？なんて期待をした

ファミレスを出た所で
明日ベガスに帰国してしまうあや達にここでお別れだったので
あたしは『ハグ』をした

そしたら籐クンも躊躇しながらあや達に『ハグ』をした

あたし達はこんな事、普段からするキャラではなかったから
なんとなく気恥ずかしそうだった

あたしも籐クンに『ハグ』してもらたいたかったな・・・

15年前はいっぱい抱きしめてくれたのに
今は『ハグ』もしてくれないんだぁ・・・

お財布

あやに名刺を渡す籐クン

・・・あたしにもちょうだい・・・と言うと
・・・いらないだろう？俺の・・・

と言いながら渡してくれた
籐クンの名刺これで3枚になった
15年前の別れから、たった3回しか逢ってないんだ・・・

2時間半くらいたっていた、あやの娘が飽きた様子を見て
籐クンが「退屈だろう？そろそろ行こうか？」と切り出した

・・・ご馳走様・・・
籐クンはふざけてあたしに伝票を渡す

テーブルの上の籐クンのお財布を持ってあたしは
・・・いいえーー・・・と返した

籐クンのお財布、忘れてたけどコーチのはなくしたって言ってたっけ・・・
中身を見るとtomorrwlamdのあたしとおそろいのクリップタイプのお財布だった

あやは「万札いっぱいジャン」と言ってたけど
あたしはお金よりもどこのお財布？とか
籐クンの持ち物を憶えておきたくて必死だった

「おそろいなんだよねー」とこの間みたく茶化すと

「ホントに？」とあやが言った

籐クンはまた何も言わずにこの間みたいな笑い方をした

そんなもんか・・・

あやがあたしじゃ聞けない質問をする

「今彼女は？」
「今はいないよ」

一回り違う彼女、35才のバツイチの彼女がいた事を話す籐クン

「鏡に向かって歯磨いてるとふと思ったりするんだぁ
この先結婚しなかったら俺一人なのかな？って」籐クンが言った

あたしは心の中であたしがそばに居るよなんて想った・・・

「俺さー将来ハワイに住みたいんだよ」

知ってたよ、あたしが籐クンの隣に居るんだもん・・・

「自分の子供の顔見てみたいけどな」

あたしが生んであげようか?また変な事想った・・・

なんの根拠もないのにあたしは
・・将来この人と一緒に居るんだろうな・・なんて想っていた

でも籐クンはあたしとやり取りしたメールの内容も
あやがベガスに引越した事さえも憶えてなかった

・・・じゃー一緒にベガスにいこうぜっ・・・って言ったくせに
憶えてないんだぁ

結局・・そんなもんか・・・

籐クンにとってあたしなんて・・そんなもんなんだよね・・・

やっぱり

あたしは話しを聞いてるフリをして籐クンを見いった
そして違う事を考える

籐クンって左目の横にホクロあるんだぁ・・・
籐クンの手が好き、籐クンの爪の形が好き

前のあたしは、この人こんな仕草するんだぁ・・・とか
こんな風に瞬きするんだぁ・・・とか
あたしの中のバーチャルな籐クンと比べる自分がいたけど

今日は違った・・・

・・あたし・・・やっぱりこの人の事大好きかも・・

おととしのあたしの誕生日のメール以来1年半も連絡しなったのに

もう籐クンの事は忘れるって決めたのに
もう忘れられるって想っていたのに

あたしはまた・・漠然にそんな事を想っていた・・・

呼び名

あやが14歳になる娘を連れてやって来た
20年ぶりで会うらしい籐クンを見るとあやは嬉しそうに
「変わってないねーー」と言った

あたしはこの間よりも白髪の増えた籐クンに少し戸惑ったのに

ご飯を食べながらたわいもない話をした
籐クンはほとんどあやと会話をする
あたしは聞き役に回った

時々「なぁーそうだよな？」とあたしに同意を求めるように話しかける
その度にあたしはうんうんとうなずいた

「籐クンさーー」あやが言いかけて
「私が籐クンって呼ぶのも変か、そう呼んだ事ないし・・」

「千翳が付けたの？〝籐クン〟って」あやが聞く

籐クンを見ながらうなずいた

「40にもなって〝籐クン〟じゃーやでしょう?」
あたしは籐クンに問いかけた

「別にいいよ、何とでも呼んでくれー」
籐クンは少し真面目に答えた