大事にしていたもの

あたしだけだったのかな・・・

何してるんだろう

2005-04-28 | Weblog
籐クンと逢えなくなって、何ヶ月過ぎたかな?・・・

あたしは3月いっぱいで会社を辞めた
でも引越しはしなかった・・まだあの部屋で籐クンを待っていた

4月、アメフトのリーグ戦も始まっていた
あたしは胡桃を誘って彼のチームの試合を見に行った・・・
川崎球場、対専修大学だった

人もまばらな客席だった、わざわざ相手チームの応援席に座るあたし達
選手の保護者みたいなおばさんから、専修大のうちわなんて貰ったりして・・・

久しぶりで見る籐クンは、髪を切ったばかりなのか、短髪だった
ユニホーム姿の背番号89・・・

試合なんてそっちのけで、彼だけを目で追っていた
・・あーあーなんでこんな遠くから見てるんだろう?あたし何してるんだろう?・・
声を掛ける勇気もなく、こんな自分が悲しかった

ねぇ・・どうしてこんなになっちゃったの?あたし達・・・
あんな告白したから?キスしたから?あたしがあんな手紙出したから?教えてよ、籐クン

カッコ悪くても、みじめでも、籐クンに逢いたかったんだ・・・

昔のあたしはあんなにカッコ悪いのヤだったのに
今のあたしは・・何してるんだろう・・・

1993年4月18日、26才の春だった








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手紙

2005-04-27 | Weblog
手紙読んでくれたかな?
もちろん彼は、返事なんて書かないし、電話もくれない

・・そっかぁー結局、電話番号教えていなかった・・

あの手紙がポストの中に落ちた時から
あたしの心はほんの少しだけ変わっていった様な気がした

毎日逢いたくて、苦しくて、籐クンの事ばかり考えて
どうしてこんなに辛い想いをしなくちゃいけないの?って思っていた

『ごめんなー今まで辛い想いさせて・・・』って言ったくせに
今、あの告白する前よりももっともっと辛いよ・・・

あの人にあたしの気持ちが伝わったかな?
そう想えるだけで、詰まっていた何かをひとつだけ吐き出せた様だった

随分後になって考えた時、自分の事しか考えていなかったなぁーって反省した
あんな手紙で気持を押し付けちゃって、籐クンの心の重荷になってたでしょう?
ごめんね・・・

ごめんねー籐クン・・・

でも・・あたしは今でも辛いんだぁ・・・

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2005-04-26 | Weblog
それからのあたしはどうしてたろう?

籐クンに手紙を書いては読み返し、書いては捨てていた
出せないのに彼にたくさん手紙を書いていた

・・籐クン元気ですか?風邪は治った?あたしは元気じゃないです・・
 ダメだーー

・・籐クン元気?逢ってもらえないのでこんな事手紙で言うね・・
 やっぱりダメだーーー

今日は籐クンの夢を見た
彼はみんなの前で、あたしの事を「千翳ーー」って呼ぶんだ
当たり前のように、ずっと前からそう呼んでいた様に

一度しかそう呼ばれた事ないけど・・あのキスの後一回だけ・・・

そしてあたしは彼への手紙完成させた
便箋5枚にたくさん、たくさん書いた・・あたしの想いをあの人に書いた・・・

もうこんな事しか出来なくて、手紙をポストに投函した

1993年2月4日、ボロボロになった25歳の冬だった


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白い車

2005-04-25 | Weblog
こんなになってもあたしは籐クンを待っていた

会社から帰ったらウチの前に車止めて待っててくれる
あの人がいるんじゃないかな?って・・・

『あなたの白い車探しかけて、ふと瞳をふせる・・・』
徳永英明のレイニーブルーみたく雨は降ってなかったけど、あたしもいつも白い車探してた

もしかしたら、夜中に部屋に来てくれるんじゃあないかな?
いつもの様に、何にもなかったように・・おう・・って来てくれるんじゃあないかなって

あたし・・もうパーマはかけないんだ、籐クンが好きな髪だから・・・

パフュームも変えない、籐クンの憶えてる香りだから・・・

京都も行かない、籐クンと行くはずだったから・・・

それからあんなキスもしない・・籐クンとでしか出来ないから・・・

そして13年経った今でも・・この誓い(?)は破っていない・・・

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『89』

2005-04-24 | Weblog
あたしはデパートの傘たてに目を向けた
昔のお風呂屋の下駄箱みたいな、アルミの鍵がついた傘たてだった

89番の鍵があった、籐クンの背番号の『89』だーー
迷わず拝借した・・そして家の鍵のキーホルダーにした

それからのあたしは数字を見ると『89』を探していた
数字プリントのTシャツ、駅のコインロッカー、電話番号・・・

当時DEP'Tでアルファベットの指輪は売っていたのに、数字はなかったから
あたしはシルバーの『89』の指輪をオーダーした

今でもこの数はあたしの『特別』だよ
携帯のストラップもシルバーの『8』と『9』のペンダントトップ

キーホルダーはあの傘たての鍵の『89』だし

携帯の下4桁も『89』なんだよ

だって籐クンの背番号、あたしの一番大事な番号なんだーー

あの時の一番幸せだった時の・・彼の背番号だもん・・・


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あの人の言葉

2005-04-23 | Weblog
今度出逢った時はずっと一緒いられるよね?
白のコンバースずっと買ってもらうんだって願ってたら叶ったもんね
だからまた逢えるって願っていれば叶うよね?

あの人と結婚して、子供生んで、soccerチーム作ってさぁ
日曜日はお弁当持って練習見に行って・・・

『不倫しよう』籐クン、どうして不倫だったの?
やっぱりあたし達が結婚なんて出来ないよね?
『一番好きな人と結婚できないってよく言うじゃん』言ったのはあたしだった・・・

『京都行ったらもう逢わない』ってあたしが言ったから約束破ったの?

もうしゃべらない電話は辛すぎる、籐クンはもういいの?もうあたしには逢いたくない?

いつだってなんか企んでやってる様な気がするんだ

『あいつにバイク乗せたくて俺、免許取ったんだよ』
『どうでもいい子なら簡単だけど、お前は俺にとって特別なんだよ』
『もう逢わないなんて俺やだよ、ずっとこのままでいよう』

あの人の言葉が頭をよぎる

籐クンに逢いたいよ、今すぐ逢いに来てよー
抱きしめて、キスしよう、また一緒に寝ようよ・・・

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クリスマスカード

2005-04-22 | Weblog
もう何日籐クンの声聞いてないだろう?
今日で何日籐クンに逢ってないだろう?

あたしは彼の事ばかり考えて、頭が変になりそうだった

頭の中が籐クンでいっぱいで、ずっと友哉の事拒んでいた
また・・始まっちゃった、前よりもずっとつらい想いしてる

籐クンはあたしの事なんて忘れた?

彼にクリスマスカードを送った
『風邪こじらせて、死んじゃえーーーMERRY CHRISTMAS』って書いた
名前なんて書かなくてもあたしだって直ぐわかったでしょう?怒った?

あーあーとうとう離れ離れになっちゃった・・・

籐クンといるとあんなに幸せだったのに、すごく楽しかったのに
今想うと夢みたい、全部ウソだった気がする

でもね、あたし達このままじゃあ終われないよ
また、いつか必ず出逢うよ、必ず繰り返すよ

だってあたし達そーゆー運命なんだもん・・・



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こんな大人

2005-04-21 | Weblog
あの人やっぱりあたしの電話番号聞かなかった・・・

もうやめるよ、これ以上ヤナ女になりたくないもん
あたしは十分傷ついたし、疲れちゃったよ・・・

あたしはこれからずっと、籐クンと過ごした想い出抱いて生きて行く
大事な、大事な想い出・・・

もう電話しないよ、だから藤クン、いつか誰かと結婚して幸せになってね
あたしも幸せの真似事して自分の人生過ごすよ

こんな自分、こんな大人になりたくなかったな・・・

結局、手つないで歩けなかったね・・・
あたし、ずっと籐クンの彼女でいればよかったな
今の籐クンの彼女よりもずっと籐クンの事好きなのに・・・

籐クンどうして何も言ってくれないの?自分の気持ち言葉にしてくれないの?
あたしを傷つけない為?だったらよっぽど傷ついちゃったな・・・

もう、あの人に嫌われちゃったかな?嫌われたくなかったな
ずっと籐クンの『特別』でいたかったな

でも『親友』になるくらいなら・・一生逢わないほうがいいや・・・

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黙ったまんまの電話

2005-04-20 | Weblog
何日かしてまた電話をした
二人とも黙ったまんまの電話だった、重たい空気だけ流れた30分・・・

・・・疲れてるから・・・籐クン疲れてるんだって
でも自分の方から電話切れないでいる籐クン・・・

・・・籐クンに山ほど話があるんだけど・・・あたしが言うと彼は黙る
少しして・・・わかった・・・と言った

・・・籐クンはあたしになんか話しある?・・・って聞いた
バツが悪そうに・・・別にないけど・・・・・・

また延ばされちゃった、風邪引いてるって・・残業がたくさんあるって・・・

もっとマシな言い訳してよーちゃんとあたしに話してよー

もうおしまい・・・あの人に逢って自分の気持ちぶつけて
あの人の気持ちも聞きたかった、でも籐クンは逢ってもくれない・・・

どうしてなの?だったらあんな想い出ほしくなかった
あたしに触れないでほしかった・・・



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月曜が来るから

2005-04-19 | Weblog
・・・あのさー電話番号変えたんだ・・・
あたしは籐クンに伝えた、ほんとはあの声聞かせたかったのに・・・

・・・なんで?いたずらが多いの?・・・
『うん』の一言で流そうとしたけど、出来なかった、あたしの苦しさ伝えたかったから

あたしは・・・月曜が来るから・・・真面目に言ったのに
彼はまた笑いながら・・・なんだよーそれっ・・・っておちゃらける

・・・じゃあーでんわしてっ・・・って籐クン
どうしてそんなに完璧なの?どうしてそんなにクールなの?あたしわかんないよ
うちの電話番号聞こうともしない・・・

それからどんな話の流れで言われたのか憶えてないんだけど

・・・嘘つきはお前だろう・・・

って言われた・・籐クンに・・どういう意味だったんだろ・・・
嘘つきはお前だろう・・だって

1992年12月14日、月曜日だった




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やっぱり

2005-04-18 | Weblog
それから、籐クンは黙った・・あたしも黙っていた

・・・もしもし、どうして黙ってるの?・・・切り出したあたしの質問にも黙っていた

・・・どうしてだまっているの?・・・またあたしから話しかけた
・・・ん?眠いから・・・

ねぇどうして黙ったの?なんて言おうとしたの?
どんな言葉で伝えようか考えていたんでしょう?いい事?悪い事?

・・・じゃあーいつ逢える?・・・と言うと
・・・電話するよ・・・って籐クン・・・

あーやっぱりこの人、電話してくれなかったんだ
この2週間、一度もあたしに電話くれなかったんだ

あのアナウンスの声・・聞いてくれてないんだ・・・

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おまえも

2005-04-17 | Weblog
あたしは嫌な女になりつつあった
あれから2週間しか我慢出来ず、籐クンに電話をした

それでも彼は電話に出てくれる

・・・今日は月曜日だけど遊びに来ないの?・・・

籐クンはこの間より優しい口調だった
・・・なんだよーお前が電話してくるなって言ったくせに・・・

・・・どう想った?・・・あたしの質問に
・・・仕方ないなって・・・あの人全然平気なの・・仕方ないでお終いなんだ
・・・来週遊びに行くよ・・・どうしてそうやって出来ない事言うの?

・・・京都キャンセルしておいたかさ・・・と言うと、彼はおちゃらけて
・・・すみません・・・と言った

・・・あの日の週末は、風邪こじらせてずっと寝込んでて・・・見え透いたウソだった
・・・お前は?風邪・・お前も危ないんじゃない?・・・

なんで?『おまえも』なの?籐クンとキスしたから?
キスしたの憶えているならもっと優しくしてよ、そんなに冷たくしないでよ・・・

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アナウンス

2005-04-16 | Weblog
『あなたのおかけになった電話番号は現在使われておりません
 番号をお確かめの上、もう一度おかけ直しください・・・』

籐クンに聞かせたかったんだ・・・
あたしがどれほど本気だったか、このアナウンスでわかってもらいたかったんだ

ねえ、聞いた?電話してくれた?あの単調な女の人の声聞いてくれた?

12月5日、京都旅行の日
あたしは一人、部屋の掃除をして洗濯をして、渋谷へ買い物に出かけた
考えないように無理やりに用事を作っていた

京都行ったら気持ちの区切りがつくかもって言ったのに・・・
京都から帰ってきたらもう電話もしない、もう逢わないよって言ったのに・・・

もうわがままも言わないから・・京都行きたかったな・・・

この日、いつも不順な生理が来た・・・

・・なんか、結局こんなもんなのかな?・・って少し笑った






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オニキス

2005-04-15 | Weblog
あたしは次の日、ありきたりだけど髪を切った

京都の旅館に電話してキャンセルをし
みどりの窓口へ行き、初めて買った新幹線のチケットもキャンセルした

そして、あたしの一番長い恋の悲しい記念に指輪を買った
キャンセルしたお金で・・オニキスの指輪を買った

オニキスは『別れた二人が、再び結ばれると信じられている石』なんだって・・・

それから部屋の電話番号を変えた・・・

かかってこない彼からの電話を待つのが辛すぎるから
電話番号を変えた・・・

これで月曜日が来ても大丈夫かな?あたし・・・
これで籐クンからの電話待たなくて済むよね?

それから・・オニキスがあるから大丈夫だよね?


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じゃあねっ

2005-04-14 | Weblog
籐クンは少しあわてた様に、ホントかよって言いたげに
・・・ほんとだなっ・・・と言った

少しの沈黙の後、また・・・元気?・・・って聞いたら
・・・うん・・・
・・・これからも元気でね・・・と言ったあたしに
・・・なんだよぉーお前・・・とお茶らけた感じでまた鼻で笑った籐クン・・・

どうして?なんであたし達こんな風になっちゃたんだろう?

・・・じゃあねっ・・・いつかみたく言ったら

・・・じゃあなっ・・・あの時と同じ様に籐クンも言った

そしてあたしから受話器を置いた・・・

もう逢えないの?もう終わりなの?


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