性犯罪報道と『オタク叩き』検証

大谷昭宏part17スレの138、siebzehn138による、海外情報等の補足。『オタク叩き』は性犯罪抑止にあらず。

真相から遠ざかる『報道』 (6月26日修正・追加)

2005-05-11 12:24:10 | 二次被害(報道被害含む)
『ガ島通信』の藤代裕之氏によるエントリーで、古鳥羽氏のサイト等に言及されているため、依頼されたTBも兼ねて。

奈良事件に関しては、大谷昭宏氏の発言のみならず、初公判を前に被害者両親が報道各社へ通達したコメントにより、取材陣による無神経な質問・撮影による攻撃や、ゴミの不始末などが明らかになり、特に『情報番組』・ワイドショーによる『報道』への不信感を、自分はさらに強めることとなった。
  • 奈良女児誘拐殺人事件:女児の両親がコメント寄せる (毎日新聞 4月18日朝刊)(2005/06/25) 毎日新聞サイトで無料公開期間終了のため、リンク解除し、全文引用。
◇小林薫被告の初公判に際し、女児の両親が奈良県警記者クラブの依頼で、コメントを寄せた。全文は次の通り。

 私達は娘を失った悲しみ・無念さ、小林被告への怒りはもちろんのことですが、事件当初のカメラのフラッシュやヘリコプターの旋回音、新聞記事や投函(かん)のあった手紙の内容、取材時の空き缶や煙草(たばこ)のぽい捨てのマナーの悪さ等、私達はマスコミに対する不信感を拭(ぬ)ぐいさることは出来ません。

 今回初公判が行なわれますが、私達にとっては一つの節目というよりも起訴され、判決が下されるまでの通過点と思っておりますし、事件を風化させない為(ため)にも地域・学校をはじめ多くの皆様が安心・安全への取り組みを進めており、決して誰も忘れることはありません。

 私達の気持ち、小林被告に対する思いは以前コメントいたしました気持ちと変わっておりません。私達の心境をご理解頂き、取材活動を控えて頂ければと思っております。

 また、私達は報道機関からの、直接の手紙の投函等に精神的苦痛を受けております。今後につきましては、奈良県警察本部県民サービス課を通して頂けます様お願い申し上げます。尚(なお)、コメントとして取り扱われるのであれば、全文を載せて頂けますようお願い致します。平成17年4月11日
(2005/06/26) 以下文、修正・追加。

(なお、朝日新聞は4月22日朝刊にやっと紙面に両親コメントを掲載。被害者の名は伏せたが、両親の名は伏せていない。3月19日朝刊紙面にて、大谷昭宏氏が事件報道に関し、『事件の悲惨さを伝えるのに被害者取材・報道は状況によって必要』とコメントを出している。)
初公判に際してのコメントは、県警記者クラブが幹事社を通じて遺族に2回にわたって申し入れ、寄せられた。県警県民サービス課の被害者対策係を通じ、内容の再確認を求めたところ「何も言いたくないし、何も書いてほしくない」との返事だったという。 (朝日新聞 4月22日朝刊)
『公判に関してコメントを求めないで欲しいし、自分たちについて報道して欲しくない』とのコメントが出されたにもかかわらず、両親の奈良地裁での様子が伝えられ、テレビ朝日『報道STATION』等では、殺害状況をCGを使ってまで再現していた。その後、尼崎市のマンションをも巻き込んだJR宝塚線の車両脱線事故が発生し、職員へ生命の危険を伴いかねない複数の虐待が発生しているのにもかかわらず、一部報道機関は『JR西日本バッシング』をいまだ続けている。(『職員ボーリング』報道のソースは大谷氏からという情報も出ている。)

この事故においても、現場上空を飛ぶ複数の報道各社のヘリコプターによる騒音、そして取材陣によるゴミの不始末はこの現場でも発生しており、周辺住民への被害のみならず、救出活動への妨害にもなった。

藤代氏エントリーによると、共同通信配信記事と朝日新聞とで、現場線路の状態について全く異なる報道をしており、自分もスレで確認不十分のまま雑誌の記事やサイトの内容を全く正反対に報告してしまったミスを何度も犯しているが、もし訂正のない状態で放置するのでは読者の混乱を招くことになる。

(スレの参加者の皆様から、たびたび間違いを訂正していただいていることに大変感謝しており、昨日も週刊新潮2005年1月13日号記事に関し訂正を受け、こちらもやっと本記事を読んで確認することが出来た。)

残念ながら、大谷氏の関わった『報道』で、3月12日放送・東海テレビ『スーパーサタデー』公式サイト上に記録が残されていない、性犯罪被害者への長時間の取材を大幅にカットして意図的なミスリードを行った特集に関して、取材者への訂正・謝罪をしたとの情報はいまだ入ってこない。(自分は神奈川県在住のため、東海地方のみで放送されるこの番組を、直接試聴することが出来ない。)

小林薫被告の前科から、前科者の監視・情報公開・服役者教育についての考察が報道されてもいたが、警察庁の行った前科者の再犯率(一定期間に再犯した者の割合)調査は、『少女への男性レイプ犯』(日本の刑法では『男性→女性』しか『強姦』と扱われない)のみを対象にし、あとはここ1年間の児童性犯罪の再犯者率(犯罪者のうちの再犯者の割合)だけ、というお粗末なものだった。(大谷氏はTBSラジオ『アクセス』において、『情報公開に反対・服役者教育の徹底』は主張したものの、突然『フィギュア規制』を訴えて子供を持つ親に反論されるというお粗末なミスもしている。)児童への性犯罪が小児性愛者によるものとは限らず、むしろ子供と多く接触する機会のある家族・教師などによる犯罪が多いことを無視した上で、小林被告が89年に犯した児童性犯罪で摘発された際(窃盗事件での逮捕後に自供を得る)と同様、奈良事件でも「高2にアダルトアニメを見た」との供述を得たとして、ゲーム等の規制にのみ動こうとする議員・団体も存在している。

(89年の事件・供述に関しては、週刊新潮2005年1月13日号p139より。同年は宮崎勤被告が7月に児童性犯罪で現行犯逮捕、8月に少女連続殺害事件の容疑者として、ホラームービー、『ロリコンもの』に限らず、宮崎駿作品も含めて『アニメ・マンガ・特撮好き』だったとの『報道』がされた。コミケ会場も「犯罪者集団の集まり」として扱われてしまった。しかし、部屋のビデオの多くはドラマやプロレスなどのテレビ番組だった。)その一方で、性犯罪被害者・小児性愛者が個人の力において、性犯罪に対する啓蒙活動や、サイトにおける被害者援助を行っても、マスコミに対する善意での協力を悪用されるに至っては、そのような『性犯罪報道』からは被害者を救う気が全く感じられないし、むしろ加害者が『影響論』を悪用することにより、公判で有利な立場を得ようとする動きが、今回の奈良事件公判でも見られている。

『報道被害』を受けた方のサイトは、現在は被害者援助に絞って縮小運営している。