四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

三度目の「月下美人」

2024年09月23日 10時07分32秒 | 四季の花

 我が家の「月下美人」が、今年三度目昨日、秋分の日の夕刻二つの鉢で、
計五輪開花しました。今年は炎暑が続きベランダの過酷な状況に絶えて蕾を育て
開花した月下美人に拍手を送りたい想いです。

     「三度目に咲いた 月下美人」

 折からの暑さゆえでしょうか、いつもの花に比べると幾分小さめとの印象でした。
20時過ぎに蕾が開きはじめ、21時過ぎに雅な香りを漂わせ7分ほどの開花となり
23時過ぎに満開の状態となりました。

 一鉢は、前にも触れましたが株分けしたもので、ここに二輪咲き、葉は勢いが
あるものの花の大きさは心持小さめでした。古い株の鉢には三輪咲きましたが、
いずれもほぼ同時刻に満開となりました。

 かつて、この月下美人の儚げな、しかし凛とした花のたたずまいを「詞」に
紡いでみました。この詞をもとに一昨年、ブログ友のYokiさんに素敵な
オリジナル曲を作曲して頂き、Yokiさんのユーチューブで公開して頂きました。
このブログでも紹介させて頂きましたが、じいじいさんにギター演奏をして
頂いた新しいバージョンをユーチューブに公開して頂きましたので、前回に
続いて、三度目の月下美人の開花に伴い、ここに掲載させて頂きます。
視聴して頂ければ嬉しいです。

「月下美人の香り」 
     作詞    :ショー・ジロー
     作曲&歌  :yokiさん
     ギター伴奏 :じいじいさん

 画像をクリックしますと「Youtube」を視聴できます。

 1.
   宵闇に ひらきはじめた   月下美人  
   甘い香りを漂わせ   一夜限りの命としらず  
   闇にのびゆく花びらは   炎のように揺れている   
   憂いもつ君に君に似て   その刹那に命を燃やす

  2.
   花びらの 白さ際立つ   月下美人  
   雅な香り漂わせ   一夜限りの夢に酔う  
   闇を切り裂く花びらは   炎のように燃えている   
   儚さは君に君に似て   その刹那に命を燃やす

  3.
   花びらが 耀き放つ   月下美人  
   深い香りを漂わせ   一夜限りのものがたり
   闇を照らせる花びらは   炎のように 凛として   
   気高さは君に君に似て   その刹那に命を燃やす

 ***********************************
  月下美人の花言葉は「艶やかな美人」「はかない恋」だそうです。
  なお、拙い詞ですが、著作権は放棄していません。
  無断転載等はご遠慮願います。転載いただけるのであれば、あらかじめ
  当方へ連絡を頂き「ポエット・M」の作者名を明記して頂ければ
  嬉しいです。
 ***********************************

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その149)

2024年09月18日 05時47分08秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その149) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「未だ咲き継ぐ 酔芙蓉 八重」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」を
 中心に返歌を楽しみたいと思っています。 主に光源氏と女性たちの贈答短歌が
 中心です。 今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますのでご指導よろしく
 お願いします。 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は
 新規で作成しています。 私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「4.夕顔(ゆうがお)」
 空蝉にうつつを抜かしていたころ、源氏は六条に住む高貴な女の所に忍んで
 通っていた。宮中から六条に向かう途中、源氏は夕顔の咲く家に
住む女(夕顔)
 と知り合う。折しも六条の高貴な女との関係に気詰まりを
感じていた源氏は、
 この女に耽溺していく。近所の声が聞こえるような
家での逢瀬に嫌気が差した
 源氏は、女を廃院に連れ出す。その夜、源氏は
物の怪に襲われるような夢を見て、
 目を覚ます。源氏は魔除けをさせたが、
正気を失った夕顔はそのまま息を
 引き取った。悲しみにくれる源氏は瘧病を
患う。秋、病から癒えた源氏は、
 夕顔の侍女であった右近から、実は夕顔は
頭中将との間に子まで成した女で
 あったことを聞かされる。空蝉と夕顔との
はかない縁に、源氏は物思いにふける。
〇心あてに それかとぞ見る 白露の 光りそえたる 夕顔の花    夕顔
註)ふと目に留まった輝く君は、光源氏様でしょうか…。白露の光に映える
  夕顔が、美しく花開いています
〇寄りてこそ それかとも見めたそかれに ほのぼの見つる花の夕顔  光源氏
註)もしやなどと仰しゃらないで、もっと近く、なつかしく傍に寄り合い、
  その人かどうかたしかめてはいかがです
(返歌)
☆涼しげな 女主人の 心づかい 扇の上に 白い花のせて
☆推量の 二人の恋は 深まるも はかない運命 夕顔のように
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 垣根に美しく咲いていた夕顔の花。その花とともに香を焚きしめた扇に和歌が
 したためられ光源氏へ届けられました。一首目が、その「夕顔」の歌ですね。
 自ら積極的に光源氏へ歌を贈るという、当時の女性としては珍しい行動力と、
 香る扇に歌をしたためると言う、情趣豊かで雅な感性を身に着けた女性。その
 「夕顔」に光源氏が惹かれたことは想像に難くはありません。
 この二人の歌に対する作者の返歌は何れも二人の想いに寄り添い、その後の
 展開を暗示する意味深い歌になっています。
 作者の二首目の返歌「推量の・・・」の内容を、少し踏み込んで詠って
 みましたが、いかがでしょうか。
【参考詠】
★甘き香を まとい夜(よ)に咲く夕顔は 見守りいるや恋の滅びを

【詞書】「小鳥来る」は秋の季語です。渡ってきた色鳥、小鳥が庭先等に来ると、
  ああ、秋だなあと感じます。三首目は切手ですから厳密に言うと「小鳥」は
  季語として成り立たないかもしれませんね。でも短歌なので構いませんね。
☆鳥の名を教へてくれし亡き父の褪せし庭下駄 小鳥来る朝
☆朝なさな 色鳥戯(ざ)れる山門の 仁王の貌(かを)のゆるびゆくかな
☆愛らしき小鳥の切手 久々に故郷の友へ手紙を書かむ
                         みっちっちさん 
【解説】
 作者も言われる通り、小鳥は、その種類、行動、季節との関連性によって、
 様々な季語として俳句の中で表現されますね。短歌は季語の詠みこみを必須と
 していませんので、自由に発想し詠んで頂ければと思います。「小鳥」に
 まつわる
秋の情景を、味わい深く三首詠んで頂きました。
 特に、二首目の歌には、朝の静かな時間に色鳥たちが山門で戯れていて、その
 光景を見ている仁王像の表情が和らいでいるかに感じる様子が詠まれています。
 この歌の魅力は、色鳥と人間の作り出した仁王像が調和している点にあります。
 鳥たちの自由な動きと、仁王像の厳かな存在感が対比されており、その対比が
 美しい情景を生み出しています。また「ゆるびゆく」という表現が、作者の
 優しい眼差しと共に、時間の流れや心の変化を感じさせ、私達を穏やかな
 気持ちにしてくれます。
 ちなみに、「色鳥」は秋渡って来る、美しい羽色の鳥のことで秋の季語となって
 います。ちなみに「朝なさな」は「朝な朝な」の音変化で「朝毎に」の意味です。

【詞書】毎日が、猛暑日ですが、その中でも小さな秋を詠ませて頂きました。
☆日々猛暑止まずもだえ苦しむも ふと空見ると秋の雲かな
☆夜冷房つけることは絶えねども 虫の音の中眠り誘われ
                         西BOOさん
【解説】
 今年の夏の異常気象は、何れも「観測史上初」との形容詞がつきますが、
 「命の危険をともなう暑さ」とは初めて聞いた思いがします。CO2削減等の
 課題に、為政者は真剣に取り組んで欲しいとの想いにさせられます。
 そんな日々に、詠われているように「小さな秋」も見られホッとしますね。
 二首とも炎暑の中で「秋の雲」「虫の音」を見出し、季節の移ろいを
 鮮やかに詠って、好感のもてる歌になっていると感じます。
 それぞれ調べも含めて、少し手を入れさせて頂きましたがいかがでしょうか。
【参考詠】
☆日々猛暑 止まずもだえて苦しむも ふと見る空に秋の彩雲
☆夜(よる)もなお 冷房つける日々なれど 虫の音の中眠り誘われ

【詞書】庭でバーベキューをしたときのことです。
☆若きらのジュージュー肉の焼く傍で われは一匹の秋刀魚を焼きぬ
☆身を沈む午後の書店の籐椅子に 眠りを誘うインクの匂い
☆跨線橋のぼれば夕焼け広がりて 思わずたじろぐ天体ショーに
                         夕庵さん
【解説】
 「バーベキュー」「書店の籐椅子」「夕焼け」と、それぞれのテーマで
 三首を味わい深く、詠んで頂きました。
 特に、三首目に触れたいと思います。この歌は、日常的に利用する跨線橋と
 いう場所から、広大な夕焼けが広がる非日常的な光景へと視線が移り変わり、
 作者の感動と、一種の驚きとが表現されています。
 上の句の「のぼれば」という語が、作者の躍動感とともに、私達ももその場に
 立っているような臨場感を与えてくれます。
 下の句の「思わずたじろぐ」という言葉は、夕焼けの美しさに圧倒された作者の
 心の動きが率直に表現されており、共感を誘われます。
 また、「天体ショー」という句が、夕焼けを宇宙の壮大なショーに見立てており、
 比喩表現の美しさを感じます。
 この歌には、日常の中に隠された美しさを見出だす視点と、それを的確に表現する
 描写力があり、何れも秀逸と感じました。


     「未だ咲き継ぐ 芙蓉 薄紅」

【詞書】YouTube短歌:ワレ生きているか? ゴンドラの唄
☆ワレ生きているか?
 季節外れの熱秋風が通り過ぎていくだけ

【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 ゴンドラの唄は、大正4年に、作詞は吉井勇、作曲は中山晋平で
 発表された歌である。
 これを黒澤明が、1952年映画「生きる」で、主人公の志村喬に、
 ブランコに乗りながら歌わせている。大ヒットはしなかったが、
 徐々に、幾年にも渡ってヒットし、名曲となっている。
 命短し、恋せよ乙女。
 乙女と呼ばれる世代の年齢の数倍生きている小生は、今生きて
 いるのか?とふと思った。今日も猛暑日となって、自身の
 行動範囲は狭くなってしまった。
 作詞者は、吉井 勇(明治19年- 昭和35年)で、北原白秋らと
 「パンの会」を結成し、石川啄木らとは雑誌「スバル」を
 発行した耽美派の大正期・昭和期の歌人、劇作家、小説家である。
 あと何年?と思っていても、老人(少年)老い易く学成り難し
 だな~と思う。
 以下URLに、生きるを貼付しておりますので、お聴き下さい。        https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/7cfbe31100259bd8de5521b3f4b6d473
                         自閑さん
【解説】
 作者の短歌説明にもありますように、映画「生きる」は黒澤明監督の作品です。
 彼の巧みな演出と美しい映像が、物語の深みをさらに引き立て
ています。
 余命宣告を受けた市役所職員の渡辺勘治が、自分の人生を
見つめ直し、最後に
 何か意味のあることを成し遂げようと奮闘する姿を
余情豊かに描かれています。
 「ゴンドラの唄」はこの作品でも志村喬が
唄い、重要なパートとなっていますが、
 かつて「その前夜」の劇中歌
として松井須磨子によって歌われた歴史もあります。
 余命を宣告されて、改めて「生きる」意味を自らに問い、自分の人生を見つめ
 直した物語の主人公・渡辺勘治の問いを「ワレ生きているか?」と
引継ぎ
 詠った作者。下の句で「季節外れの熱秋風が通り過ぎていくだけ」
と突き放して
 詠っていますが、「意味のあることを成し遂げよう」との
志を秘めている故の
 詠いぶりと考えます。

 映画「生きる」で、主人公・渡辺勘治は、市民のために公園を作ることを
 決意し、余命をかけて役所の官僚主義と戦いながら、最後の力を振り絞って
 公園作りのプロジェクトを成功させます。

 作者は謙遜していますが、「新古今和歌集」の資料発掘と、研究は民間の
 研究者の域を越えて、学術的にも貴重な意義を持ち、存在感を放っていると
 考えます。
映画「生きる」の主人公の熱意に通じるものも感じます。

【詞書】連日猛暑。近頃は「暑いぜ!」の熊谷市など内陸で暑さが厳しい
  ことでよく名前が上がる地名ではなく、やたら聞くのが福岡県の
  太宰府市。35度越えの日数が今日で59日を記録したそうな。
  菅原道真もびっくりだろうと言いたくなりそうなこの暑さ…。
  人の事言えんぞ、な京都市の隣に住んでますが、何しか暑い!!
☆太宰府に東風(こち)・南風(はえ)・西風(にし)・北風(きた)
            吹きまくり フェーン現象 連日酷暑
【詞書】真田広之さんが主演、プロデュース、演出などをして、日本から
  俳優さん達も多数参加し、ほぼ日本語で演じられ、字幕付きで放送、
  配信された(10話)ドラマ、「SHOGUN 将軍」がテレビ放送に与えられる
  「エミー賞」を主演男優賞、作品賞など18部門を受賞という快挙を成し
  遂げました!バンザーイ!🙌徹底して“戦国時代収束期の日本”の
  表現にこだわり、「誤解された日本を描く時代を自分の代で終わらせ
  たい」と真田氏が発しただけに、日本人が見ても違和感を抱かないよう、
  細部までチェックして作り上げた作品だということで、(かかった
  費用はさることながら)素晴らしい作品になったようです。かなり
  昔ですが、「奥様は魔女」の再放送を見ていて、日本人が出て来る話
  (ダーリンの取引先の人か何か)で、当時中学生くらいだったかの
  私が「…それは違うやろ~」とテレビに突っ込まずには居られ
  なかった頃に比べて多少ましになった昨今でしたが、まだ描かれ方に
  「何か…」という感じが拭いきれなかったんですね。しかし、真田氏
  始め日本人の俳優陣、スタッフの方々、真剣に“日本“て向き合った
  ハリウッド側のスタッフさん方の真剣勝負なコラボレーションが、
  かくも素敵な「時代劇」を作り上げました。
  皆さん本当におめでとうございます。
☆海渡る 情熱ハリウッドに咲きて 
       “SAMURAI”は今「侍」と成りぬ
【詞書】大阪の御堂筋の“ど根性スイカ🍉”の話(皆さんで美味しく
  頂かれた…という後日譚も含めて)をご存知な方もいらっしゃるかと
  思いますが、今日のニュースワイドなどで見たのは、京都の烏丸五条の
  交差点を西へ少し行った辺りだと思いますが、国道1号(烏丸通り)の
  中央分離帯でまたしても“ど根性スイカ”が有る!という話です。
  御堂筋のより大きくてきれいにまん丸なスイカが育ってました。
  逞しいなあ~!!母など「誰かが(ひっくり返したり)世話してるん
  やって」なんて言ってますが、さあどうなんだか…。半端なく
  超暑っい!京都市内でこの先無事に育つといいんですが…。
  大阪の方は御堂筋の“ど根性スイカ”から採って育てた“2世”を
  皆さんが味わうという映像を見ました。…なんにせよ、この時期
  スイカは美味しいですよね。
☆“ど根性スイカ”育つや分離帯
        国道1号烏丸(からすま)五条
                         ちがやねこさん
【解説】
 「太宰府猛暑」「SHOGUN 将軍」「ど根性スイカ」と、今回も新鮮な時事に
 ついて、作者の独自の視点から、味わい深く詠んで頂きました。
 一首目の歌、太宰府市での猛暑日の連続記録が観測史上最長という報道が
 ありましたが、いくつかの要因が重なったゆえとのこと。ここは内陸部に
 位置しており、熱風が海風で冷やされることがないため、気温が上がり
 やすいうえ、詠われているように「フェーン現象」もあったようですね。
 異常現象を、このような歌に遺していくことも記録文学としての短歌の
 役割と感じます。またユーモアのセンスも、韻律もあり良い歌と思います。
 二首目の歌、「SHOGUN 将軍」への真田広之さんの、自らの全存在をかけた
 こだわりと
歴史認識に頭が下がります。18部門の受賞もさることながら
 「誤解された
日本を描く時代」を終わらせたいとの決意と、それを
 ハリウッドという特別の場で
やり切った事実に拍手を送りたいと思います。
 彼の「侍」魂と、実行力を讃えたいと
思います。 
 三首目の歌、「五条通」中央分離帯のスイカは、鳥などが運んできた種から
 自生した可能性が高いということで、大阪の御堂筋のスイカと同様に実生で
 結実することは「奇跡に近い」とのことですね。通常スイカは他の作物に
 接ぎ木して育てる
必要があるにも関わらず、「ど根性スイカ」は実生から
 育ち結実したとのこと。
「ど根性」の所以ですね。これらも異常気象ゆえの
 一現象かもしれません。

☆心字池 さざ波起こる そのもとに 鷺は静かに空を見つめる
                         ポエット・M
【解説】
 公園の一隅に造られた比較的大きな心字池。「心字池」との説明は
 歌友の皆さんにはいらないと思いますが…、その形が漢字の「心」の
 草書体に似ていることから名付けられたとのことです。その池に
 さざ波が立っており、その源に青鷺が静かに空を見つめている姿が
 見えました。泰然自若とした姿にも見えますが、その足を微かに
 動いているかに感じました。
 空を見つめる鷺の静かな佇まいと、その足の微かな動きに反応し
 さざなみの起こる情景を何とか記憶に留めたくて歌に詠んでみました。
 なお、心字池には三つの橋が架かっており、それぞれが過去、現在、
 未来を表しており、これらの橋を渡ることで心身を清め、神聖な
 場所へと進む準備が整えられると言われています。かねてからこれらの
 橋を幾たびか渡って来ましたが、未だ、整わない自分を感じています。


     「咲き盛る 昼顔の花」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(55)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

36.「 短歌の章」 香港交換教授(1)

   去りにし日の戦の事も想ひ出ず 
           かくも夕陽は静かなりしか

   上弦の大き月出ず 
       たまきはる命を懸けしかの時も見つ

   鳳凰樹ほのかなる花も盛り過ぎて
          陽だまり暖たかく冬に入るなり


【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その149)ネット歌会

2024年09月18日 05時06分58秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その149)ネット歌会
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「未だ咲く むくげ 八重」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆夜 冷房つけることは絶えねども 虫の音の中眠り誘われ
                         西BOOさん
★鳴き出した虫の音色は子守歌 秋もそぞろに月も出で来ぬ
                         夕庵さん
★中秋の名月を待つ半月は 西の空のみ雲を浮かべる 
                         西BOOさん 
★盃に月を映して名月を 愛でつつ1首 君に贈らむ 
                         夕庵さん

☆跨線橋のぼれば夕焼け広がりて 思わずたじろぐ天体ショーに
                         夕庵さん
★架橋より君乗る列車見つめたり 秋夕焼けに点となるまで
                         みっちっちさん
★帰京する孫を見送る空港に 言葉にならぬ涙の笑顔
                         夕庵さん
★言葉なく涙で笑ふ人のゐて こころ複雑 人間だもの
                         みっちっちさん

☆愛らしき小鳥の切手 久々に故郷の友へ手紙を書かむ
                         みっちっちさん
★膨らんだ想いの手紙海越えて 羽あるように離島への旅 
                         夕庵さん
★海と山超へ困難な旅終へし 小鳥へ託す友への想ひ
                         みっちっちさん
★友よ友 如何に居ますやひとり居の日々思いやる足も萎えしと
                         夕庵さん
★ひとり居の花を愛する友垣へ 花に囲まれ御身(おんみ)豊かに
                         みっちっちさん
★小袋を百個縫うのが目標と友は励みぬミシンにむかい
                         夕庵さん
★妣(はは)作のワンピース着て澄まし顔 我十歳のセピアの写真
                         みっちっちさん
★洋裁を習い始めて縫う服は 母へレースの白いブラウス
                         夕庵さん
★洋裁が好きなりし妣(はは)の作品は あまた箪笥に遺されてゐる
                         みっちっちさん
★リメイクの得意なりしも寄る年に 紙と鉛筆あれば満足
                         夕庵さん

☆朝なさな 色鳥戯(ざ)れる山門の 仁王の貌のゆるびゆくかな 
                         みっちっちさん
★網越しの阿・吽の像に許し乞い 東大寺の門をくぐりぬ   
                         夕庵さん
★朝夕の気に大仏の頬やはに 秋澄みゆける奈良東大寺
                         みっちっちさん
★秋天に奈良東大寺の黄金(きん)の鴟尾 世界遺産を鹿と見上ぐる
                         夕庵さん
★金の鴟尾 緑の海を泳ぎたや 奈良公園を鹿と戯(ざ)れをり
                         みっちっちさん
★鹿とても酷暑を避けて昼寝する 風はやさしく睫毛くすぐり
                         夕庵さん
★昼寝より覚めて遊べる子鹿へと 深きまなざし向ける母鹿
                         みっちっちさん
★お辞儀して餌をおねだりする鹿に かこまれ悲鳴の観光客は 
                         夕庵さん
★バス乗れば異邦の少女にかこまれて 異邦の言葉に浸る楽しさ
                         みっちっちさん
★バスは我が足ともなれば時刻表 頭に入れて待ち時間なし
                         夕庵さん
★好きなのはマイカーなれど バスの旅ぼうと景色を眺めるもよし 
                         みっちっちさん
★車窓より見渡す田んぼにひこばえは 元気に芽吹き風にそよぎぬ
                         夕庵さん
★車窓より風にたなびくうす雲の 刻々変はりゆく空ながむ
                         みっちっちさん
★さらさらと砂の雲かや秋の空 指より落ちて彼岸花さく
                         夕庵さん

     「未だ咲き継ぐ ききょう」

☆空蝉に命もあるや夕映えに つかむ爪さえ放つ輝き
                         ポエット・M
★君はもう長いトンネル抜けたろうか 羽化した蝶はいま飛び立ちぬ
                         夕庵さん
★今まさに朝日を浴びて羽ばたきぬ 羽化する蝶は 煌めきまとい
                         ポエット・M
★蝶の旅 羽をたたみて安寝せよ 愛しきものへ語りかけむと 
                         夕庵さん
★海峡を たえだえ越える蝶の旅 愛しき吾子の食草求め
                         ポエット・M
★親と子の情愛かくも尊きに 人道背くは恥とこそ知れ 
                         夕庵さん
★子に注ぐ親の情愛深きゆえ 親にならねば分からぬものも
                         ポエット・M
★故郷を捨てし男(ひと)ゆくふる里へ 雪に埋もれて老母(はは)ひとり住む
                         夕庵さん
★捨てがたき ふる里今も胸裡に 母につらなる優しき山河 
                         ポエット・M
★あの男(ひと)は母に甘えにふる里へ 山も木立も影絵のなかを
                         夕庵さん
★影絵なす けむる山河に抱かれし 母なる里の緩やかなとき 
                         ポエット・M
★ふる里の入り口すでに無人駅 夢か現のなかをさ迷う
                         夕庵さん
【詞書】かつて通学に使っていたふる里の駅は、今は無人ですが存在しています。
  新幹線の駅がすぐ近くにでき、路線が異なるため二つ並んで使われており、
  近代的な駅舎と、古き時代の趣を残す駅舎の新旧の対比が微笑ましいです。
★ふる里の無人の駅は凛と立つ 新幹線の駅にならんで
                         ポエット・M
【詞書】ふる里への返歌は浅田次郎の小説「母の待つ里」を読んでの発想です。
☆ふる里の沢の流れに蛍とぶ 提灯かざして母の呼ぶ声
                         夕庵さん
【詞書】現代人の「ふるさと喪失」の深さを描き、心の原風景を思い起こさせる
  小説「母の待つ里」の主人公、松永徹ら三人の想いを詠ってみました。
★ふる里をもたぬ人らの胸裡に 静かにしみる「母」の言の葉
                         ポエット・M
★なつかしきお国なまりの囲炉裏端 乾きし心を満たすおふくろ
                         夕庵さん
★おふくろの なまりなつかし囲炉裏端 思えばここで命養う
                         ポエット・M
★偽りの子の名刺胸に旅立ちぬ 母も寂しき一世であったか
                         夕庵さん
★血縁を越える愛情育みて 「母」子の絆 深まりゆくや
                         ポエット・M
★読み終えてふる里恋し我もまた 尋ねてもみむ 兄住む町へ 
                         夕庵さん
☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き初める コスモス」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

コメント (30)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゆく夏の

2024年09月14日 14時02分52秒 | 日々の歩み

 「まだまだ暑いですね!」が、最近のあいさつ代わりになって、久しいですが、
暦の上で「白露」を過ぎても、未だ真夏日が続きます。
皆さんの所はいかがでしょうか。

 福岡県太宰府市では、40日間連続で猛暑日(最高気温35℃以上)が続き、
連続猛暑日日数の国内最長記録を更新しました。
東京では、これまでの真夏日月間最多記録は、2020年などの30日でしたが、
今年は、31日連続で真夏日は、観測史上初めてとのことです。


   ☆ゆく夏の哀しみあるや雲の峰 白露すぎても熱風はこぶ

 白露の「露」は、朝草木についた露が、日の光を受けて白く輝いて見える様子を
表しているようですが、ここ南関東の地では朝の景色として未だ見られません。
白露は本来なら、処暑のあと、秋分の前に位置し、秋の始まりを告げる節気の
一つですが、未だ真夏日の中にあります。

 この原因はエルニーニョ現象等、諸々あげられますが端的に申しますと地球温暖化
対策の遅れがあることは言うまでもありません。
CO2排出制限も含めて喫緊の課題として取り組まなければ、世界的に命の危機の
現出は言うに及ばす、経済活動も含めて重大な危機にさらされることは避けようが
無いと考えます。今回、ミャンマー、ベトナムを襲った大型台風11号もその一つの
現象と考えます。ロシアを始め、侵略戦争にうつつを抜かしている暇は、既にないと
感じます。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その148)

2024年09月11日 05時12分14秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その148) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「ランタナに憩う 揚羽蝶」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」を
 中心に返歌を楽しみたいと思っています。 主に光源氏と女性たちの贈答短歌が
 中心です。 今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますのでご指導よろしく
 お願いします。 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は
 新規で作成しています。 私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「3.空蝉(うつせみ)」
 再訪しての誘いにもなびかない空蝉に源氏は固執する。 小君の手引きで
 紀伊守の邸宅を三度目に訪れた源氏は開放的な様子の若い女(軒端萩)と
 碁を打つ空蝉を垣間見る。 若い女とくらべ見栄えはよくないが、源氏は
 空蝉に品のある慎みを感じる。 夜、源氏は寝所に忍び込むが、それを
 察した空蝉は小袿を脱ぎ捨て寝所を抜け出した。 行きがかり上、
 源氏は空蝉と同室で眠っていた軒端萩と情を交わす。 翌朝源氏は空蝉が
 脱ぎ捨てた小袿を持ち帰り、歌に思いを託す。 小君から歌を渡された
 空蝉は、源氏の思いに応えられない我が身の情けなさを歌に詠み、
 源氏の歌の端に書きつけた。
〇空蝉の身をかえてける木のもとに なほ人がらのなつかしきかな  光源氏
註)あなたは蝉が殻を脱ぐように衣を脱ぎ捨てて逃げさっていったが、
  その木の下でやはりあなたの人柄が懐かしく思われます。
〇空蝉の羽に置く露の木隠れて 忍び忍びに濡るる袖かな  空蝉
註)羽に置く露が木に隠れて見えないように 私も秘かに涙で袖を
  濡らしております
(返歌)
☆小袿は 貴女への想い せめてもの 初めて味わう 感じる切なさ
☆着古しで 汗ばんだ着物 恥ずかしく 薄衣が気がかり そこはかとなく
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 光源氏の歌は、註)にもありますように、蝉の抜け殻という自然のありさまを、
 人間の心の変化と重ね合わせることで、深い情感を表現しています。
 この歌からは、光源氏の未だ冷めやらぬ恋心が伝わってきますし、空蝉との
 別れをいまだに引きずり、彼女の面影を忘れられずにいる切なさが表現
 されています。
 その歌への作者の返歌は「初めて味わう感じる切なさ」と下の句で詠み
 切なさに寄り添っています。 さらに一歩進めて直截に詠んでみましたが…。
【ご参考】
☆小袿(こうちぎ)の残り香哀し切なさよ 面影さらに涙をさそう
 二首目、空蝉の歌は、内面の葛藤や揺れ動く感情を「空蝉の羽に置く露」との
 自然を媒介にして表現しています。 光源氏への未練や恋心を抱きながら、一方で、
 夫がいる身としての葛藤も繊細に表現されています。
 作者の返歌は「着古しで・・・」と、具体的な事象をあげ、ためらう想いを
 表現して納得感のある歌になっています。
 空蝉のモデルは紫式部自身との説があります。 センスが良く、理知的で
 しかも貞淑という、当時の王朝時代の価値観とは一線を画す女性像は
 紫式部が理想とするものであったと考えています。 その女性像を空蝉を
 通して表現したとも言えます。

【詞書】今、待っていることを詠ませて頂きました。
☆スーパーのお米売り場が空っぽに 台風も逸れ新米を待つ
☆台風で折れる心配したものの 庭の柿の色付きを待つ
                         西BOOさん
【解説】
 一首目の歌、昨今の「米騒動」は、新米の価格を吊り上げるために計画的に
 仕組まれたものではないかと、疑いたくなるような事態と感じています。
 詠われているように「お米売り場が空っぽ」な状態が、関東圏でも一様に
 見られます。 「新米を待つ」も、価格は二倍近くなっている現状には、怒り
 さえ湧くと主婦の方は口々に言われていました。
 現状を淡々と詠みながら、静かな告発の歌にもなっています。
 二首目の歌、今回の10号台風程、迷走を続けた台風は無かったですね。 でも、
 作者の所はそれほどの被害もなく、木も倒れずに「庭の柿の色付きを待つ」
 状態とのこと。 ホッとして胸をなでおろす想いが、淡々と詠まれ共感を誘う
 歌と思います。

     「未だ咲く 百日紅 白色」

【詞書】暑くとも少しずつ秋の気配が感じられますね。 「夕焼」は晩夏の季語。
  「朝顔」と「すすき」は秋の季語になります。三首詠みましたので出詠します。
☆夕焼を海に沈めて 高台に 君と見つけし一番星よ
☆色どりの朝顔けさも咲き継ぎて あくびの君と焙煎コーヒー
☆一陣の風に野原は金色にすすきの散らす光きらきら
                         みっちっちさん
【解説】
 今回も、「夕焼」「朝顔」「すすき」の晩夏と、秋の季語を織り込み三首
 詠んで頂きました。 俳句の季語は、その長い伝統の中で磨かれ、しっかりと
 季節を主張し、まさに句の主役としての重みを感じさせてくれます。
 短歌でも、この力を借りて余情の文学と言われる「歌」に磨きをかけたい
 ものです。
 いずれの歌も余情に満ちていますが、特に三首目に触れたいと思います。
 この歌は、秋の野原の情景を鮮やかに描き出した美しい作品で、
 「金色にすすきの散らす」は、視覚的なイメージを鮮やかに描き出して
 います。 また、「光きらきら」という擬声語によって、秋の光がキラキラと
 輝いている、その情景が鮮明に目に浮かびます。 これらの表現に
よって、
 私たちは、まるでその場に立っているかのような臨場感が
味わえます。
 さらに、作者の観察眼が光っていることは言うまでも
ありませんが、
 秋の野原の美しい情景が、私達の心に鮮やかに焼き付き、
心安らぐ
 魅力的な歌になっています。

【詞書】9月に入ればさすがに朝夕は気温も下がり、あたりが静かに
  なったように感じます。
☆酔芙蓉咲けばなつかし風の盆 雨は流れる八尾の坂道
☆涼やかなソロを聴かせて鈴虫よ 秋の百代の話し相手に
☆眠そうな「穂村ほむほむ」深夜便 なるほど、そうか 眠れなくなる
                         夕庵さん
【解説】
 一首目の歌、「風の盆」は、高橋治著「風の盆恋歌」と共に、作者も前にも
 触れていましたので、 サロンの歌友の皆さんも既に、ご存知の事と思います。

 酔芙蓉が咲く八尾の坂道に胡弓の音が流れるとき、風の盆の夜がふけていきます。
 「酔芙蓉咲けばなつかし風の盆」の上の句ですが、酔芙蓉は朝に白く咲き、夕べには
 酔ったように赤く染まる花です。 この花の変化が、風の盆という祭りの情景と重なり、

 そこはかとしたもののあわれを感じさせます。 さらに、「雨は流れる八尾の坂道」の
 下の句ですが、八尾の町は坂が多く、雨が降るとその坂道を流れる様子が目に
 浮かびます。 この情景描写は、風の盆のしっとりとした雰囲気をさらに引き立てて
 います。 この歌は懐かしさと共に哀愁を感じさせる歌となっていますが、作者の
 秘められた淡い恋物語も滲んでいるかに感じます。
 なお、「風の盆」は二百十日の前後の台風到来の時節、収穫時の稲穂が風害に
 遭わないよう、風の神様を鎮める豊作祈願として行われたのが起源とのことです。
 二首目の「ソロを聴かせて鈴虫よ」の表現が粋ですね。 静かにソロを聴いてみたく
 なります。

     「未だ咲く 酔芙蓉 八重」

【詞書】YouTube短歌:ホルスト 惑星 木星
☆大いなる河の樣に
    神の王たる歩みで

  人々に安らぎを
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 いつも拝見している埼玉で音楽教室を開いている小松音楽教室の
 さえ先生が、ホルストの惑星を演奏されたので、その曲を
 イメージして短歌を作りました。
 先生から、許可を得たので、短歌より、先生の演奏をお聴き下さい。
 これって、エレクトーンを一人で演奏しています。 私にとっては神業です。
 秋は、コンサートが盛りだくさんで、とても忙しい中、許可頂き、
 感謝申し上げます。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/2c3ca0c0cb94f06b28caa9da52be09e7
                         自閑さん
【解説】
 平原綾香のデビュー曲『Jupiter』(ジュピター)は、作者も説明されて
 いるように、イギリスの作曲家ホルストの管弦楽組曲『惑星』の第4楽章
 「木星」を基にした楽曲です。 この「木星」の中間部の旋律に吉元由美氏が
 歌詞を付けたものです。
 2004年の新潟県中越地震の翌年の2005年から、長岡まつり大花火大会で
 打ち上げられている復興祈願花火『フェニックス』では、この曲がBGMとして
 使われたことで有名です。
 作者は、小松音楽教室のさえ先生の演奏される『Jupiter』を聴き、その曲を
 イメージして「神の王たる歩みで」と詠われています。 木星は、幸運、成功等を
 司る星とされており、この楽章の明るく雄大な雰囲気は、まさにそうした
 イメージを反映しています。 奏者である、さえ先生の理解と演奏技術がその
 雰囲気をさらに増幅させて響いてきます。 それにより詠われているように
 「人々に安らぎを」もたらしていると感じます。
 曲も、それを咀嚼し、自分の想いを込めて演奏することにより、作曲者の想いを
 越えて人々に、その曲の神髄を届けることが出来ることを痛切に感じました。
 その意味ではこの短歌は、演奏者と短歌作者のジャンルを超えた、新たな
 コラボレーションの結実と言えるのではないかと思っています。

【詞書】第17回パラリンピック・パリ大会は、現地時間8日夜(日本時間9日未明)に
  雨の中閉会式が行われて、12日間の日程を終え、賑やかに終了しました。
  雨の中とは言え、障害を持ったパフォーマーさん達がダイナミックに
  踊ったり、光(炎が噴き出す特効や、動いたり色が変化したりする
  ライティングやレーザー)と音(音楽)で華やかに楽しく演出された
  閉会式だったと思います。 雨で大変だったかなとも思いましたが、
  アスリートの皆さんはスマホで撮影したり、隣の人と笑い合ったり
  楽しそうでした。 日本選手は金銀銅計41個のメダルを獲得したそうですね。
  車いすラグビーでの金メダル獲得の瞬間や、小田凱人選手の車いすテニス
  男子シングルス準決勝などは見ていました。 (「真夜中のドア」!!)
  パラリンピアン、オリンピアン問わず、皆さんお疲れさまでした。 目を見張る技、
  新記録、世界への挑戦、努力の成果、悔しい涙も全てが素晴らしいものでした。
  雨で始まり雨で終わったスポーツの祭典の夏を楽しませていただきました。
  … 次はロスかあ~。 「あの」ファンファーレ使うかな? 1回目のロス大会は
  「いだてん」でもやってましたね。 (バロン西に触れてなかったのがなあ…
  それ以前のテニス男子の銀は、ちらっと言ってましたが…)
☆雨の中 オリンピックは開幕し
       パラリンピックは雨中の閉幕
【詞書】小田選手、まずはおめでとうございます。 ローランギャロスの赤い
  クレーコートに寝転んだ感触は格別だったと思われます。 生の中継で
  見たかった…。 テレビの番組予定表を見ても無い事に「何でやねん」と
  突っ込まずにはいられませんでした。 決勝相手のアルフィー(!) ・
  ヒューエット選手は手強く、小田選手も最終セットまで縺れて“敗北が
  脳裏をかすめた”(9/9の朝日新聞夕刊より)そうですが、巻き返して
  勝利を掴んだその強さと、 会場を煽って自分の舞台にした根性とも
  言えるバイタリティには賞賛を惜しみません。 この種目で18歳と123日と
  いう史上最年少の優勝は小田選手の人生のみならず日本の“テニスの”
  歴史に於いてこの先も輝きを放つことと思います。 これからのご活躍も
  お祈りしています。 本当におめでとうございます。 … って、お祝いの
  お手紙でもしたためたくなった小田選手の金メダルでした。 相手も
  ランキング1位の選手だったそうで、見応えあっただろうに~。 準決勝は
  やってたのになあ…。 放送権って決勝はやたら高いんですかね。
  可能性の固まりの18歳。 これからも楽しみです。 まあ4大大会やその他の
  大会もありますから、どうかお疲れが出ませんように…。
☆名の由来「凱旋門」のお膝元
       パリ・パラで金 小田凱人(ときと)選手
【詞書】6月にISS(国際宇宙ステーション)に向かい、 到着した米ボーイング社
  の宇宙船スターライナーは、ヘリウムガスの漏れなど不具合が生じ、
  当初一週間か8日かで地球に帰還予定だった宇宙飛行士2名は、そのまま
  ISSに滞在し、 先日スターライナーが乗員不在のまま地球に帰還しました。
  万全を期すためとは言え、随分長い滞在になってしまった飛行士さん
  お2人は体調も問題なく過ごしているとか。 少々人数が増えてもISSは
  支障はないそうですが、どれだけ万全に準備しても、アクシデントは
  宇宙での計画に付き物なんでしょうね…。 どうか来年お二人が無事に
  地球に帰還されますように!
☆人乗せぬ スターライナー帰還して
         飛行士2人は宇宙に長居す
                         ちがやねこさん
【解説】
 「パラリンピック閉幕」「小田凱人選手」「スターライナー帰還」の
 三首を、作者は新鮮な切り口でレポートも兼ねて詠んで頂きました。
 一首目、雨の中で始まり、雨の中で幕を閉じた「オリ・パラ」。 メダルの
 数のみでは計り知れない内容の濃く、多くの熱いドラマに彩られたパリ大会。
 幾つかの問題点、改善すべき事項も指摘されていましたが、作者も言われる
 ように「悔しい涙も、全てが素晴らしい」スポーツの祭典をやり切った
 アスリートたちに、心からの拍手を送りたいと思います。
 二首目、「凱旋門」由来の名前を持つ小田凱人(ときと)選手の、史上最年少の
 優勝。 これは作者の詞書にもありますように「小田選手の人生のみならず
 日本の“テニスの”歴史に於いてこの先も輝きを放つ」ことと思いますし、
 今後の可能性と活躍に期待したいですね。
 三首目は、作者のライフワークの分野ですが、宇宙船スターライナーの
 不具合により、今回は帰還予定だった二人の宇宙飛行士は、そのままISSに
 滞在することになりましたね。 万全の準備しても、安全率100.000000%の達成は
 神の領域になりますので…、最大限の準備を重ね、無事に地球に帰還されるよう
 祈りたいと思います。

☆空蝉に命もあるや夕映えに つかむ爪さえ放つ耀き
                         ポエット・M
【解説】
 台風10号が熱帯低気圧に変わり、列島から過ぎ去った後、近くの森に
 一斉にせみ時雨が響きはじめました。 その森の木の一本に未だ光沢を残す
 空蝉が着いていました。
 かすかな夕映えに照らされた、空蝉の爪は夕映えの輝きを掴もうとする
 かのように木に食い込んでいました。 その爪は儚いものをなお掴もうと
 する、生きとし生けるものたちの飽くなき欲望を表しているかにも感じ
 ました。 さらに、必死に木を掴むその爪は命の象徴そのものの生気を
 放っていました。 そんな空蝉の様子に触発されて詠んでみました。


     「咲き残る 向日葵」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(54)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

35.「 短歌の章」 宗久尼の得度入山(3)

   国見山 国見しつらむいにしえの  
             大宮人を幻に見む

   あしひきの山なみ越えて
       人麻呂も赤人も行きし宇陀の榛原

   右近の碑 キリスト者の身をいさぎよく
              果てし命は今に残れり

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その148)ネット歌会

2024年09月11日 04時41分10秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その148)ネット歌会
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「未だ咲く ノウゼンカズラ 薄紅」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆物音も吸い込まれそうな午後の部屋 バナナは熟れて卓に転がる
                         夕庵さん
【詞書】ちょっとでも長持ちすれば、とバナナをS字フックに引っ掛けて
  いるんですが、ちょっと日が経ってしまうと、柄の下の方(根元?)が黒く
  なって、落っこちてしまうんですよね。で、大概抵抗したかのように細く
  皮が残っている…と。よく、落ちた時の音がテレビ(と、今はエアコン)の
  音ぐらいしか聞こえない部屋で大きく聞こえて、「えっ?!何?何の音?!」とか
  言って台所に来て「あ~これやね」と納得する…ということが多々あります。
  何か知らんけど、びくっとしますよね。😅
★フックから皮の一部と柄を残し バナナ落ちたり「ぼとっ!!」と音たて
                         ちがやねこさん
★台風に窓の簾が音たてて うつつの夢をやぶる夜明けに
                         夕庵さん

☆スーパーのお米売り場が空っぽに 台風も逸れ新米を待つ
                         西BOOさん
★新米もそろそろ入荷というものの 秋の値上げの一番名乗り
                         夕庵さん
★ニュースにて新米出回る報道も 値が2倍とは一体何ぞ
                         西BOOさん

☆台風で折れる心配したものの 庭の柿の色付きを待つ
                         西BOOさん
★橙色(だいだい)の夕陽に負けぬ柿の色 恩師に送ろう絵手紙にして
                         夕庵さん

☆一陣の風に野原は金色に すすきの散らす光きらきら
                         みっちっちさん
★満月にうかれ狸の腹鼓 薄の原は今宵も楽し
                         夕庵さん
★満月に原の動物うかれしも うさぎはひとり餅つき励む
                         みっちっちさん
★瀬戸内の大久野島にはふわふわの 兎が群れる毒ガスの島
                         夕庵さん
★瀬戸内は晴れの国とぞ呼ばれたり フルーツ甘くジューシーなる美味
                         みっちっちさん
★楽しみはそろそろ巨峰の届く頃 スーパーの品買わずに過ぎる
                         夕庵さん

     「未だ咲く 浜木綿の花」

☆夕焼けを海に沈めて 高台に 君と見つけし一番星よ
                         みっちっちさん
★ライン来る 一番星見つけたと 想い違えど何だか愉快
                         夕庵さん
★一番を目指して励む卓球ぞ 負けず嫌ひがめらめら燃ゆる
                         みっちっちさん
★ビル街は無風状態人もなく いつまで続く夏の陽炎 
                         夕庵さん
★ビル街ははるかテトリス 赤々と大夕焼けのなかに揺らめく
                         みっちっちさん
★展望のビルから下を見渡せば 大蛇のごとく幹線道路(道路)はうねる
                         夕庵さん
★松明の火の粉巻き上げ社へと 大蛇のごとく火祭佳境
                         みっちっちさん
★参道にこちらは禁止と結界の 白蛇脱皮の残る暗がり
                         夕庵さん
★白蛇を見れば金運アップとふ 弁財天の使ひなる社
                         みっちっちさん
★白蛇と遭遇した日を吉として 誰にも言わず宝くじ買う
                         夕庵さん
★宝くじ買ひてひとまず仏壇の 供花の横に拝みて置けり
                         みっちっちさん
★宝くじ欲は決して申しませぬ 一夜の夢を見せて下され
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「酔芙蓉の花 八重」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

コメント (40)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酔芙蓉に寄せて

2024年09月08日 21時15分51秒 | 日々の歩み

 炎暑、酷暑という言葉で表現された、今年の夏も9月に入り依然として暑さはあるものの朝夕には、少し涼しさも感じる日々になってきました。
この季節になると、酔芙蓉が咲き乱れ色の変化に見とれることがあります。紫陽花のように梅雨をまといながら、淡い緑から濃い藍色へとじっくりと日にちをかけて変化する花に比べ、酔芙蓉は朝の白から、淡紅、さらに濃い紅へとわずか一日で変化し、夕べには散ってしまいます。


     「咲き競う 酔芙蓉 八重」

 数時間という短命の月下美人ほどではないにしても、ひと日花の定めを負う酔芙蓉の花の命も儚いと形容するには、あまりにも多くの物語を秘めているように感じます。
花の名前は、花色が変わる姿からお酒を飲んで酔ったように見えることが由来とのこと。花言葉には「心変わり」「しとやかな恋人」「繊細な美」「幸せの再来」などがあります。

 酔芙蓉の花と言えば、私達の現役時代に話題となった高橋治著「風の盆恋歌」があります。この著作については、かつて「水曜サロン」の歌友、夕庵さんも短歌に詠まれ、詞書で触れられておりました。
そこでは、物語を彩る重要な要素の一つとして、酔芙蓉が描かれています。越中八尾の風景の中に、酔芙蓉が咲き乱れる様子が描写されることで、その儚さ、美しさ、そして恋の情熱を象徴する花として、作品の世界観を深く豊かに表現しているかに感じました。

     「超然と咲く 酔芙蓉 八重」

 「あのね...幸せって、いいことなの?
  人間にとって、生きたって実感と、どっちが大事なの?」
 これは、20余年後の再開の際、主人公の一人えり子が都築に向かって発する言葉ですが…、心からの叫びとして感情移入してしまう、深い想いを秘めた言葉とも感じます。こんな言葉のやり取りも含めて、「死をともにしても良い」ほどの愛を知り確認し合った二人。ぼんぼりに灯がともり、胡弓の音が流れるとき、風の盆の夜がふけていきます。互いに心を通わせながら、離ればなれに20余年の歳月を生きた男と女。その二人が再開後にたどる、あやうい恋の道行きを金沢、パリ、八尾、さらに白峰を舞台に情感豊かに描き出しています。

 そんな物語を知ってか、知らぬか酔芙蓉は朝日を受けながら、超然として白い花を揺らしていました。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その147)

2024年09月04日 06時01分59秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その147) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「未だ咲く 八重酔芙蓉」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」を
 中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの贈答短歌が
 中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますのでご指導よろしく
 お願いします。巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は
 新規で作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「2.帚木(ははきぎ)」
 長雨の降り続くある夏の夜のこと、源氏の宿直所に葵上の兄であり、
 源氏のよきライバルである頭中将が訪れた。頭中将が源氏に贈られてきた
 恋文を見つけたことから、やがて話は女性論になる。そこに好き者として
 知られる左馬頭と藤式部丞が加わり「雨夜の品定め」が繰り広げられる。
 話の中で、源氏は頭中将が後見のない女性と通じ子まで成したのだが、
 正妻の嫌がらせを受けいつしか消えてしまったという話を聞く。また、
 源氏は自分とは縁がなかった中流の女性の魅力を三人の経験譚から知り、
 中流の女性に魅力を覚える。理想の女性はなかなかいないと言う彼らの
 話を聞きながら、源氏は理想の女性、藤壺にますます思慕を寄せる。
 翌日、源氏は方違えのため紀伊守の別宅を訪れ、そこで紀伊守の父の
 後妻・空蝉が居合わせていることを知る。中流の女性への興味を
 募らせる源氏は、その夜半ば強引に寝所に忍び込む。その後源氏は
 空蝉の弟、小君を召し抱え空蝉との再会を狙うが、自身の身の程を知る
 空蝉はそれを許さなかった。源氏、十七歳の夏のことだった。
〇帚木の 心を知らで そのはらの 道にあやなく まどひぬるかな 光源氏
 註)近づけば消えるという帚木のようなつれないあなたの心も知らないで、
   園原への道に空しく迷ってしまったことです
〇数ならぬ 伏屋に生ふる 名の憂さに あるにもあらず 来ゆる帚木 空蝉
 註)しがない貧しい家(地名の伏屋に掛ける)に生えているということが
   情けのうございますので、いたたまれずに消えてしまう帚木なのでございます
(返歌)
☆燃え盛る拒まれるほど執着は 分かるはずもなく人妻の心
☆心には気持ちの高ぶり空蝉は 源氏への想い押し殺すも
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 一首目の返歌、註)にもありますように、光源氏の歌は、空蝉の心を探り当て
 られず、彼女への思いに振り回されている、という光源氏の切ない心情が
 表現されています。
 これは、源氏物語全体を貫くテーマを象徴的に表している歌とも考えています。
 作者の返歌は、この光源氏の想いを「分かるはずもなく」と客観視して詠って
 いますが、光源氏の立場になって、もう一歩踏み込んで詠ってみましたが
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★燃え燃えて高まる想いとどけるも かわしかわせる君ぞ恨めし
 二首目の空蝉の歌は、註)にもありますように、「近づくと消えてしまう帚木の
 ように」私はいないものと思って下さいと、源氏の求愛を拒み、自分の身分や
 立場を意識しながら、心を閉ざそうとしています。従って作者の返歌は空蝉の
 想いも大切にしながら「想い押し殺す」と、空蝉の心の奥底の葛藤等複雑な
 想いを推測しつつ詠った良い返歌と思います。

【詞書】暑さはまだありますが、秋の爽やかな空気が少しずつ感じられます。
  三首、出詠させて頂きます。
☆清秋の京都町屋の坪庭に 水琴窟の音さやかなり
☆はんなりと弥勒菩薩の指先の 動き出すごと秋澄みゆけり
☆秋天の苑に子を抱く聖母像 そのまなざしは深く優しく
                         みっちっちさん
【解説】
 「水琴窟」「弥勒菩薩」「聖母像」をテーマに、微かに兆す秋の気配を
 情趣豊かに詠んで頂きました。
 特に二首目の歌、弥勒菩薩が優しく微笑みながら、何かを指し示すような
 仕草をした途端、秋の空気が澄み渡り、清々しい季節へと変わっていく…。
 作者は、この光景を目にした瞬間の感動や、心の変化を、仏像の動きと
 自然の移ろいを重ね合わせることで繊細に表現しています。
 また、弥勒菩薩の静的な美しさと、秋の自然の動的な変化を対比
 させながら、両者を結びつけることで、独特の世界観を作り出して
 印象的な歌になっています。「はんなり」の表現も効いています。
 一首目の「水琴窟」。季節により音が変わると言われていますが、この
 初秋の季節の
音を聞いてみたくなりますね。

【詞書】こおろぎを詠ませて頂きました。
☆こおろぎの音も鳴り響く夜とても「暑い暑い」と言っているよな
【詞書】台風10号を詠ませて頂きました。
☆台風の進路にあたる予報にて 大きな渦に不安が募る
【詞書】台風10号を詠ませて頂きました。
☆乾電池 追加購入するか否 備蓄とともに迷走台風
                         西BOOさん
【解説】
 追加分も含めて「こおろぎ」「台風10号」「迷走台風」の旬なテーマに
 ついて三首詠んで頂きました。
 一首目の歌、この季節、本来なら初秋の趣を誘うコオロギの音も、今年の
 炎暑の下では、詠われているように「暑い暑い」と聞こえてしまいますね。
 ユーモアを滲ませながら、異常気象をさりげなく詠うことに成功している
 歌と感じました。 
 三首目の歌、今回の台風10号は観測史上最大規模と言われていましたが、
 その規模のまま九州に上陸し、同時に発生した竜巻と共に甚大な被害を
 もたらしました。その後紀伊半島へ再上陸し8月31日現在、進路が
 定まらず迷走を続けています。この状況を踏まえて詠われていますが
 「備蓄とともに迷走台風」には作者の戸惑いと、実感が篭もっています。
 「記録詠」としても詠んでいきたいテーマです。


     「咲き残る 白桔梗」

【詞書】8月下旬に入った頃のある日、姉の家を夕刻に出て、買い物が
  あったので急ぎ商店街へ行こうと“あじろぎの道”を自転車で走って
  いると、お客さんを乗せた遊覧船が下流に向かい出していて、先へ進むと
  もう1隻の遊覧船と、日没直前の日の光の中で準備をしている鵜舟
  (鵜匠さんや鵜たちを乗せた舟)を見ました。もう薄暗い川の上でまだ
  篝火は点けずに準備している鵜舟と鵜飼いが始まるのを待つお客さん
  達が乗る遊覧船は、暑い日ではありましたが少し涼しい川風に静かに
  揺られていました。
  大雨や台風などの影響で、中止になることも多いですが(8/26には台風を
  見越して中止。まだ続いてるかも)、少しでも多くの方が鵜飼いをみられ
  ますように…と思わずにはいられません。雨がこのあたりに降らなくても、
  水量で開催するしないが決められるから天気が良くても無かったり
  しますし…。なかなか大変なようですが。鵜飼いの関係者の皆さん…
  頑張って下さい…。
☆火を入れぬ鵜舟と客船
      薄暗き日暮れの宇治川 風に吹かれて
【詞書】8月29日に、NIKKEIサイエンスの「8/26にJAXA、探査機SLIM運用の
  終了を発表した」というネットニュースを見ました。日本初の月面着陸を
  果たした無人探査機「SLIM」の活動をすべて停止する指令を地上から
  発信し、SLIMの運用は停止されたそうです。当初、月での昼間の110℃、
  夜の-170℃に耐えられる設計ではなかったにも関わらず、3度の越夜を
  実現し、逆さまになったままでも多くのデータを集め、地球に送ったことは
  大きな功績だったと思います。前にも書いたかもですが、いつか日本人の
  宇宙飛行士が月に降りたって、SLIMを直接労い、出来ることなら回収して、
  小さな探査機とともに日本に連れて帰ってやって欲しい…。今日9/3(火)の
  朝日新聞の朝刊に載っていたJAXAの宇宙飛行士金井宣茂さんの
  インタビュー記事の中の、「米国主導の『アルテミス計画』で、日本人
  2人が月に降り立つことが4月に日米両政府で合意された」という記述を
  読んだので、その思いは一層強くなりました。月面の静寂の中で待っていて
  欲しい…。お疲れさまSLIM…夢のある楽しい話題をありがとう!
☆日本から 月に降りたる飛行士に
        逢えるといいね おやすみSLIM
【詞書】昨日月曜ですが、朝ゴミ出しをして、家の前からゴミのネットケース
  周辺まで掃いていて、ふと空を見ると青い空の色が心なしかクリアな
  感じがして、雲の色もどよんとした灰色がかった色ではなく白い色だった
  ので、やっぱ台風の後って空とかきれいやなあ…などと思いながら朝日を
  背にした向きで続きを掃こうとしたら……背中が熱い!!あ゙~っ!暑さも
  戻って来よったあ!……まだまだ暑い「夏」が続きそうです。「ひるおび」で
  先ほど、清少納言が「枕草子」の中で、「野分のまあの日こそいみじう
  あ晴れ荷を貸しけれ」と、台風の翌日が趣深いと書いていた、というのを
  紹介していました。大変な雨風が過ぎた後の(恐らく)空などのすっきりと
  したきれいな色を清少納言も見て感じるものがあったんだろうかと
  思いましたが、如何せん昨今の台風等の災害はえげつないです…。
  進みゆく温暖化の現実は否応なしに私達に突きつけられている…と
  思わずにはいられません。平安時代に比べて、災害の種類も質も変わって
  きてるんじゃないの~?とも…。
  (40℃近い酷暑🥵はさすがに無かったんじゃ…)
☆台風も豪雨も過ぎて空青く
       陽差しが戻り猛暑も酷暑も
                         ちがやねこさん
【解説】
 一首目の歌は、火を灯さず鵜飼の準備をする鵜舟と、賑やかな客船が、
 夕暮れの宇治川でそれぞれに風に吹かれている様子を詠っています。
 この対比を通して、時間の流れや、自然と人間の営みと共存といった
 テーマが印象深く詠われています。
 また、薄暗い夕暮れの宇治川、そして風に吹かれる船の様子が、五感に
 訴えかけるように鮮明に表現され、印象に残る歌と感じます。
 なお、詞書にある「あじろぎの道」は、御存知の方は多いと思いますが、
 平等院と宇治川の間にあり、桜や紅葉など四季折々の景色を楽しみながら
 歩ける川沿いの遊歩道です。
 二首目の歌、JAXAが探査機SLIM運用を終了した旨発表しましたが、
 詠われているように、やがて行くことになる「日本からの…飛行士」に
 逢えることを希望したいと思います。それにしても「3度の越夜を実現し、
 逆さまになったままでも多くのデータを集め、地球に送った」SLIMの
 功績は大きいと考えます。日本の宇宙技術を改めて賞賛したいと思います。
 この歌は、SLIMの功績を讃えつつ近い未来に希望を繋ぐ夢のある良い歌と
 思います。また、JAXAへのエールにもなると感じます。
 三首目の歌、迷走を続けた台風10号も、9月1日正午に東海道沖で
 熱帯低気圧に変わりましたが、台風一過のすっきりとした気象には
 ならないようですね。詠われているように「陽差しが戻り猛暑も酷暑も」
 の状態が続きそうですね。
 詞書で清少納言「枕草子」について触れていましたが、平安時代(794年~
 1185年)は「中世温暖期」と呼ばれる時期にあたり、気温が比較的高かったと
 記録にはあります。この時期、真夏日(30℃を超える日)が
多かったことが
 少なからぬ研究等で示されています。


     「咲き残る 鹿の子百合」

【詞書】速度の遅い台風に番狂わせです。
  非常用の点検をしたときの期限切れのパスタを使っています。
☆くるくるとスプーンのなかで空回り 昨日も今日もパジリコパスタ
【詞書】ここ2週間は天候異変で鬱々とした日を過ごしています。
  嵐の前の静けさでしょうか・・
☆物音も吸い込まれそうな午後の部屋 バナナは熟れて卓に転がる
☆思わずも吐露した言葉を拾いをり きっとわが身の痛みとならむ
                         夕庵さん
【解説】
 詠まれていますように、今回の台風10号は、観測史上最大規模と呼ばれ
 ながら九州上陸後、甚大な被害を重ねながら迷走を続けていましたね。
 9月1日正午に東海道沖で熱帯低気圧に変わりましたが、東日本を中心に
 大気の状態が非常に不安定で、関東から近畿にかけて所々で雨雲や雷雲が
 大規模に発達し、豪雨や落雷被害が発生しています。
 そんな状況下の不安や鬱々とした想いが三首の歌に表現されています。
 特に、三首目の歌、思わず口にしてしまった本心が、自分の心に深く
 突き刺さり、心の痛みへと変わっていく様子が詠われています。これは、
 後悔や自責の念、あるいは、心の奥底に隠された傷に触れてしまった
 ことによる心の痛みを表現していると感じます。
 さらに、この歌は作者の心の奥底にある、複雑な感情を率直に表現した、
 力強い歌とも言えます。私達は、この歌に触れることで、作者の心の
 痛みを共有し、共感することができ、同時に、自分自身の心の奥底を
 見つめ直すきっかけとなるのではないかと感じます。

【詞書】YouTube短歌:富田勲 展覧会の絵 卵の殻をつけた雛の踊り
☆何も知らない雛は遊び
 母の力で守られ

  トムは退散
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 シンセサイザーは、人の声や動物の鳴き声、水しぶきの音を再現出来、
 富田勲氏の表現のまま、雛と鶏と猫が騒ぎ捲る短歌となりました。
 実は、展覧会の絵は、ラベル編曲のオーケストラで、以前出詠しておりますが、
 富田バージョンの場合、タイトルも絵画も無視して、曲を聞いたままで作って
 おり、その分、難しいかと思っております。
 トムは、トムとジェリーの猫の事。
 以下のURLに、曲を貼付しておりますので、シンセサイザー版をお楽しみ下さい。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/d8a2be706403d563ad95c7388f92c894
                         自閑さん
【解説】
 以前の解説でも触れましたが、富田勲氏の「展覧会の絵」の原曲は
 モデスト・ムソルグスキー作曲のピアノ組曲『展覧会の絵』です。
 詠われている「卵のからをつけたひなの踊り」は「ネコ」「ニワトリ」
 「ヒヨコ」の3つのキャラクターをシンセサイザーで表現しています。
 それらの音がめまぐるしく交錯することで、追いつ追われつの様子を
 ユーモラスに表現した曲となっています。この曲から着想を得て、歌に
 表現しきった作者の、作歌の力量は並みのものでないと感じます。

 特に「ヒヨコ」が無邪気に遊ぶ様子が表現されていますが、これは母鳥が
 見守っている故で、猫(トム)はヒヨコを狙うのをあきらめ退散するという
 物語に仕上げています。原曲、シンセサイザーによる編曲、さらに短歌への
 飛躍という、音楽と短歌のコラボレーションが花開くひとつの典型と
 感じました。このような作歌への挑戦を、私達もしていきたいと考えます。

☆台風の逸れたる森のせみ時雨 あまたの傷を いやす絶唱
                         ポエット・M
【解説】
 今回の台風10号は観測史上最大規模と言われていましたが、その規模の
 まま九州に上陸し、同時に発生した豪雨と竜巻と共に甚大な被害を
 もたらしました。その後紀伊半島へ再上陸した後、9月1日正午に東海道沖で
 熱帯低気圧に変わりました。その過程で進路が
定まらず迷走を続けましたが、
 その影響もあり関東地方も
豪雨と激しい落雷に見舞われました。
 そんな雨が上がったひととき、近くの森に一斉にせみ時雨が響いていました。
 いち早く台風が逸れたことを悟ったかに思える、せみたちの鳴き声。それを
 聴いて、
この台風で身罷った、さらに被害を負った多くの方たちの、想いを
 癒すであろう絶唱と感じて詠んで
見ました。


     「咲き残る 宗旦むくげ」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(53)

  「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
  短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
  その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。
     
34.「短歌の章」 宗久尼の得度入山(2)

   人麻呂が 月かたぶきぬ とうたひたる  
                 しにしへの地を卜し庵結びぬ
           
   「花無心招蝶、蝶無心尋花」
         君その境涯に入り給ふべし

   赤人も骨埋めし大宇陀の
            秋近き野に風渡り行く

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
   なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
   なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
   場合もありますのでご容赦願います。詞書は一首200文字以内にまとめて
    頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その147)ネット歌会

2024年09月04日 05時37分06秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その147)ネット歌会
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「未だ咲く 酔芙蓉 一重」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆こおろぎの音も鳴り響く夜とても「暑い暑い」と言ってるよな
                         西BOOさん
★こおろぎの面構えとのにらめっこ 草に倒れし野武士のごとく
                         夕庵さん

☆物音も吸い込まれそうな午後の部屋 バナナは熟れて卓に転がる
                         夕庵さん
☆雨音は絶えぬけれども風はなく 台風もはや消滅したか
                         西BOOさん
★台風へ気構えするも空回り 針路つかめぬ気象士泣かせ
                         夕庵さん

☆清秋の京都町家の坪庭に 水琴窟の音さやかなり
                         みっちっちさん
★踏み石を伝う離れの奥座敷 障子の明かりにうかぶ侘助 
                         夕庵さん
★はすかひに染めて茶掛けは夕焼(ゆや)け色 一輪挿しに侘助ひとつ
                         みっちっちさん
★机上にはけさ手折り来ぬ芙蓉ばな 白き花びら静けさのなか
                         夕庵さん
★静けさのなかに湯沸かす音を聴き 茶掛の無とふ一字見つむる
                         みっちっちさん
★半眼の無なる境地で座禅組み 呼吸(いき)整わすひとときの静
                         夕庵さん
★サーブ前 深呼吸して球見つむ 卓球戦のひとときの静
                         みっちっちさん
【詞書】台風は本当に来るのだろうか?
  時折風が吹く程度、空は青空も覗くようになったが・・
★雨戸閉め植木鉢も避難して 台風前の静けさに居る
                         夕庵さん
★台風はいづこへ去るや 秋風に変はりゆく雲飽かず眺むる
                         みっちっちさん
★防災のグッズの中に忍ばせるメモにシャーペン詠み人なれば 
                         夕庵さん
★流れゆく雲をのんびり見るの好き 詠み人なれど言葉出ぬまま
                         みっちっちさん
★秋の空 自在変化の雲を見て 動物園の話をしよう 
                         夕庵さん
★空は海 イルカに乗った少年の 大ジャンプえいっ 秋夕焼へ
                         みっちっちさん
★シロイルカ 海から空へ大ジャンプ みんなありがとう 楽しかったよ
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「芙蓉の花」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

コメント (20)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「夏祭り」復活

2024年09月02日 15時33分01秒 | 祭り

 観測史上最大規模と言われた台風10号は、九州に上陸後あまたの迷走を繰り返し、東海道沖の太平洋に停滞した後、風が弱まり9月1日夜半熱帯低気圧に変わりました。この低気圧は2日(月)にかけて本州を北上し、秋雨前線に取り込まれる予想とのことです。
 この台風による死者は計7人となったとの報道がありました。被災され命を落とされた皆様のご冥福を改めてお祈り致します。また、台風や湿った空気などの影響で、列島は各地で記録的な雨量となりましたが、2日も北海道から近畿の広い範囲で、大気の不安定な状態が続き、雷を伴った激しい雨が降る所があるとの予報が出ています。引き続き警戒が必要と思います。

     「咲き競う 酔芙蓉 八重」

 こんな迷走台風が発生する前の、先々週の週末、私達の自治会で、夏祭りが5年ぶりに復活し開催されました。相次ぐコロナ感染症に伴い、さらに、団地の大型修繕等々で中止を余儀なくされていた夏祭りでしたが、住民の皆さんの強い要望あり、とりわけ子供たち、孫たちの強い希望があり実施となりました。
 いずれの町内会、自治会も同様でしょうが、高齢化が進み、かつて祭りを中心になって差配されていた皆さんも身罷ったり、一線を退かれたりとノウハウが十分継承されていない中での実施は、神輿・山車の組み立て一つでも、かなり大変でした。

 たまたま今回は自治会の役員に就いた関係から、祭りの実行委員会でも実質的な責任者の一端を担うことになり、5月からレンタル品の手配等を含めて準備を進めてきました。実施されなかった4年間のブランクは大きく、資料等も散逸しており、いわゆる長老と言われる方々の知恵もお借りし、企画・計画を練り上げ手探り状態から進めざるをえませんでした。また、今年から法改正等もあり、広場等での「プロパンガスを使った調理は有資格者でないと出来ない」との指導もあり、自治会では実施をあきらめざるを得なくなりました。

     「未だ咲く ブーゲンビリア」

 従来、焼き鳥、焼きそば、フランクフルト等の出店は祭りの「花」の一つでもあり、住民の皆さんの期待するところでしたが…。本件は焼きそば、フランクフルトに限定してでしたが、日ごろお付き合いのある老人ホームのボランティアの皆さんと折衝し、有資格者の方を店ごと派遣して頂くことで何とかクリアしました。また、盆踊りの舞台である櫓は、アルミ合金製の支柱かなり重く、組み立てのノウハウが継承されていないことから、諸々議論はありましたが、今回は割愛の決断をしました。代わりに簡易舞台をレンタルし凌ぎました。

 祭り当日は快晴に恵まれ、成人し団地から巣立っていった多くの子供達もそれぞれ孫を連れて、夏祭りに参加してくれました。日頃見ない子供達であふれた祭り会場は、いつもにまして華やかな賑わいに溢れていました。今回は子どもたち、孫たちの思い出作りを第一の目的とし、イベントも子供たちを中心に組みました。子ども夜店、射的、かき氷、キャラクターグッツ販売、ビンゴゲーム、ポップコーン販売等々、中でも、射的は好評でした。特に山車は幼稚園生から参加可能としましたので、親子三代で山車を引っ張る微笑ましい情景が多数生まれていました。子供達も外孫も含めて普段の数倍に近い子供たちが一つの山車を曳く様は壮観でもありました。

 大人の皆さんには、ビールサーバーによる生ビール販売、つまみ、缶ビール等の飲料を豊富に揃え、さらにサロンとして寛いで頂けるように、広場に参加人員に見合う机と椅子をレンタルで用意し、盆踊りを見学しジョッキを傾け合いながら語り合える場も用意しました。また、盆踊りは参加者が少なめでしたが抽選会は
二度にわたり行い、かなりの盛り上がりがありました。

     「未だ咲く 桔梗 白色」

 焼きそば、フランクフルト、さらに生ビールもかなりの数量を用意しましたがほぼ完売し、抽選会も最高潮に達する中で、予定通り午後9時前に終了しました。祭りの後のかたずけには、かつての私達がかかわったこの団地の少年野球のチームのメンバーも加わってくれて、短時間で終えることができました。祭りの為に集まった彼らには久しぶりに会いましたが、すっかり成長し社会でも中堅の役割を果たす中で、落ち着いたたたずまいを身に着け頼もしさを感じました。彼らとの交流もこの祭りの醍醐味の一つで、楽しみのひと時を過ごすことができました。
 今回は祭り関係の写真が撮れませんでしたので、祭りの写真は割愛させて頂きます。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする