朝八時、ホテル出発。
こういうホテルは入るときより出るときのほうが恥ずかしい。
ホテルに面した国道は、青森への通勤の車で渋滞。
そんな中に車の鼻をのそのそと突っ込む。
・・・一人だもんね~と自分に言い聞かせても、やはり恥ずかしい。
今日は津軽半島一周の予定。
朝一は三内丸山遺跡。
青森イターチェンジのすぐ近く。
もちろん早過ぎて誰もいない。
しかし駐車場にも遺跡にもゲートはなくフリーパス。
高曇りで見通しは良くないが、
大きな古代遺跡を一人きりで見るのは気持ちのいいことだった。
はるか遠い昔にここで生活した人が居たのだと思うと、
不思議な気持ちになる。
ゆっくり見てまわるうちに係りの人も出勤してきたので、
みやげ物を見てまわる。
この旅に出るにあたって、得意先からインスタント食品を山のようにもらっていたから、
お礼に美味い酒をと思い聞くと、「田酒」という迷いのない答え。
しかし地元でもなかなか手に入らず、予約が要るという。
蔵元に電話してみたらやはりなくて、
都会のほうが手に入りやすいのじゃないかという答えだった。
ここでは、青森ヒバの香、石のカエルの置物、リンゴジャムを買った。
竜飛崎への道は津軽の海岸線をなぞる。
途中、蟹田で観潤山公園に登り、陸奥湾を見下ろす。
天気は悪くないが、前日走った下北も、一昨日走った八甲田も見ることが出来なかった。
後日読んだ太宰治の「津軽」に、彼が竜飛への道すがら友人と登ったと記されていた。
竜飛崎までいくつもの小さな岬を通り過ぎ、
国道が行き止まりになる竜飛漁港まで行き車を停める。
その先も国道は続くのだが、車では行くことは出来ない。
徒歩のみの国道。
通称「階段国道」。
私も登った。民家の軒先を登った。
家の中の会話やご飯のおかずまでわかるほどの距離。
漁港から少し戻り竜飛崎灯台へ。
北海道が間近に見える。
これだけ近く見えるとと船で渡ろうとする人もたくさん居たのだろうと想像する。
丘の上には風力発電のプロペラがぶんぶんまわっている。
青函トンネル記念館にも寄って見学する。
入っていくと案内の人が、海底へのケーブルカーがもうすぐ出るから急ぐようにと言われるが、
乗らずにおく。
狭いところが怖いから。
しかしあれだけのトンネル。さぞかし大変だっただろうと想像できるけど、
それを絶するほどの苦労の連続が理解できる展示。
ケーブルカーに乗らず良かった。
小泊を経て十三湖へ。
小泊は太宰が乳母と再会した町。
十三湖は北前船で栄えた港。
どちらも旅から帰り、かなり後で知ったこと。
知っていればこの辺で一泊して、じっくり回りたかった。
十三湖で蜆の佃煮と地元の焼き物を買う。
金木の斜陽館は太宰が育った家。
あの津軽平野で相当な隆盛を極めたのではないだろうか。
それがしっかり見なくてもわかる館。
そして弘前。
桜の満開は下北のむつ市で出会ったので、もう散った後かもしれないと思ったが、
市営駐車場に車を停め、弘前城へ行ってみる。
桜祭りは終わっていたが、桜吹雪で美しかった。
あれほどの密度の桜はそう見れるもんじゃない。
堀は花びらで水が見えないほど。
夕暮れの桜を見ながら帰るとき、外国の人と一緒になった。
聞くとアメリカ人で隣町の中学校で英語を教えているとのこと。
駐車場まで話しながら一緒に戻る。別れ際、「のんびり楽しんで」と言われた。
彼は今頃どの空の下で、どんな暮らしをしているのだろう。
静かな青年だった。
リンゴジュース、じょっぱり(日本酒)、リンゴチップを土産に買う。
日も暮れ、スーパーに寄って少し買い物。
野宿予定の岩木山麓の桜林公園へいくが、公園そのものの工事であきらめる。
困ってあたりを走り回ると、ゆとりの駐車帯があったのでそこに決める。
このゆとりの駐車帯は青森のいたる所にあったが、駐車スペースと水場、トイレが整備されていた。
寝場所を確保したので温泉にいく。百沢温泉。
温泉は熱く、男湯は静かで黙々と湯に浸かり、
女湯からは方言が飛び交いにぎやかな声が聞こえてきた。
温泉から戻り、弘前の夜景を見ながら夕食。
三内丸山遺跡 青シャツが私
階段国道
竜飛崎
斜陽館
弘前城
弘前の夜景 手前はりんご畑