フォールスカード
直感や約束と異なる、カードをリードしたり、ディスカード、したりする事で
対戦相手の判断を誤った方向に誘導する事、又はその可能性を作り出す事を言います。
何か騙す、と言う感触に不健全な感じを持たれる方も有るかもしれませんが
知恵比べで有り、それなりの推測と判断の出来るオポーネントで有ればこそ有効に成る
技巧ですから、より多くの事例を記憶して
スムースに実戦のテーブルで実行出来るように成れば、ブリッジに新たな面白さが加わる
事間違い有りません。
1.下記のビッド経過で、3NTbySに対して、H4をリードしたところ
W N E S S:KQJ
1D P 2C H:987
P 2D P 3C D:AQJ43
P 3S P 3NT C:62
S:A42 S:?
H4-7―A―5 H:KT642 H:A3?
H3―Q-? D:K8 D:?
C:543 C:?
と成りました、Westの貴方は?
ここで HKを勝ってHTを続けると S:?
貴方が♠Aを持っていることを理解して H:J5?
何かでリード権を得たならば♠をリード D:?
してくれる事は間違い有りません。 C:?
しかしこれでは、貴方は ♡が5枚スーツである事、♠Aを持っている事を
ディクレアラーにも教えたのですから、♣に5トリック以上有れば、♠を諦め
♦Kに対するフィネスに期待するプレイを選び、メークされてしまうでしょう。
では正解は、♡6として♡Jに勝たせておく事です。
*見えない♡Qをパートナーが持っているなら、多分最初に、少なくとも2トリック目
プレイしますからディクレアラーに有るのは明らかで、♡を5連勝する事は出来無い
*♡2をプレイすると、5枚からの4thBESTであった事が判りますから
同じ50%でも、♠AがEastに有る事に賭けても3メークしかしませんが
♦KがWestに有る事への期待なら3~5メークするのでそちらを選択して
少なくとも3メークされるでしょう。
*♡6をプレイすれば、見えていない♡2がEastに有るだろうとディクレアラー
が推察するのは極く自然です。
その結果。Westが4枚ハートからの4thBestなら、♠Aを追い出しに
行っても、S=1,H=3負けるだけでメークするので、♦Kにフィネスするのは
馬鹿げたプレイと思うでしょう。
この、一度ダックする(♡Jに勝たせる)事はよく知られたプレイですが
2を隠して6をプレイする事で枚数関係の誤解を引き出すのがフォールスカードの
一種です。勿論最初から4で無く2をリードすれば、ディクレアラーは4枚で有ると
信じてくれるでしょうが、その替りパートナーも4枚と思うので、あまり有望で無い
と判断して、他のスーツにシフトしてしまうかもしれません。
フォールスカードはしょっちゅうやるのでは無く、損失より利益が大きいと思われ
必要な時に実行する事が大切です。
2.もう一つの例は、最も有名で、失うものが無く、良い事ばかりです、是非理解して
覚えておきましょう。
ダミー
♠:AQ65
♠:2 ♠:T93
♠:4
切り札の♠4がリードされ、 4-2-Q- と来ました。
貴方は手拍子で3をフォロウしていませんか?
多くの場合、K抜けの4-4フィットでプレイされており、ディクレアラーは
ハンドに戻って2回目の切り札をどのようにプレイすべきか迷っています。
それは 下図の可能性の問題です。
WEST ケース1 EAST WEST ケース2 EAST
♠:K32 ♠:T9 ♠:K2 ♠:T93
ケース1の場合、2回目にQリードが正解
ケース2の場合、2回目に7リードが正解
とそれぞれ異なった対応をしなければ、ルーザーがでます。
ケース2の場合に手拍子で3をフォロウすると、KT9の3枚が一度に落ちる事は
あり得ないので、必ず7をリードされます。
勿論3がシングルトンの場合、ディクレアラーはうまく行きませんがこれは
ゲスの問題では無く、悪いブレークの問題で仕方が無い事です。
EastはT93からT又は9をフォロウするのが正しいフォールスカードです
これを見てディクレアラーは、ケース1なのかケース2なのか判断出来ません。
従って2回に1回は間違える事に成ります。
EWにとって失うものは無く、2回に1回のチャンスだけが得られるのですから
覚えておきましょう。
この他にも、配置その他により、ディクレアラーを悩ませるフォールスカードは多数有り。
Mike Lawrence がこの問題だけで 1冊の本を書いています、興味のある方は(ISBN―0-910791-47-3)で探して下さい。