プレイのポイント(1)
オークションに於いては、不確実な条件の中で可能性と得点の期待値を比べて決断する部分が大きいのですが
プレイでは相当な部分が見えますので、少なくとも確率的な正解が判断出来るケースが多くなり、それらの応用力が技量に繋がります。
多岐に渡る内容で取り纏めが難しいので、“JCBLブリッジ講座 問題集”に於いて取り上げられている、項目の順番に沿って
書いてみようと思います。
今日は第1回なので、”ホールドアップ”です。
ホールドアップとは、勝とうと思えば勝てるトリックを故意に勝たず負けておくプレイの呼び名で
ディフェンダーの間のエントリー問題を有利に展開する事が目的です。
従って、ノートランプコントラクトに限らず、考慮されるべきものですが、問題集では
全て3NTに於けるオープニングリードへの対処という形で取り上げています。
それは、ノートランプコントラクでは主導権争いが、大きなトリック数の差と成って現れる事が多いことに起因しています。
ディクレアラーが或スーツのコントロールを失った段階で、ディフェンダーの二人が共にそのスーツを持っているとすれば
どちらに負けても問題のスーツの全てを負けてしまう事に成ります。
逆に言えば、ディフェンダーの一人はもうそのスーツが無い状態に出来れば負ける相手に注意をしながら
計画を進める事が出来るかもしれません。勿論、脅威となっているディフェンダーがその他のスーツのAceのような確かな
エントリーを持っている場合、努力は報いられぬ訳ですが、Aceの位置に期待したりフィネスの方向を特定したりしながら
少しでも成功確率の高い計画を立案して実行するのがブリッジプレイヤーに求められる事です。
それでは、ホールドアップはどんな時に、どのように、行うのが正しいのでしょうか
*1.まずそのスーツよりももっと危険の大きいスーツや、同等の弱点を持つスーツが
無い事が条件です。
オープニングリードはダミーが見える前の推測に基づいてされたものです。
貴方がホールドアップした場合、オポーネントはダミーを見て、もっと魅力的なスーツへのシフトを発見したかもしれません。
その様な場合のホールドアップはノーテンポで1トリック進呈した馬鹿げたプレイに成ってしまいます。
*2,何回ホールドアップするのが正しいか、簡略法では
1ストッパーの場合、7-(自分達が持っている合計枚数)=適正なホールドアップ回数
2ストッパーの場合、6-(自分達が持っている合計枚数)=適正なホールドアップ回数
と成ります。
ホールドアップしようとしても、枚数不足でAceが飛び出してしまう。
ホールドアップしない方が、2ストッパーに成る可能性が残る。
ディフェンダーがブロックしている幸運に期待するしか無い。
等々例外に属する事も有りますが ホールドアップの指針として有用です。
ホールドアップしてはいけない例、を挙げておきます。
A74 Nの1♦オープンから、3NT/Sと成り
97 オープニングリードは♡2
KQ8763
A3 ♡2-♡7-♡Q と成りました。
♡は5枚(2+3) 7-5=2 なので
2回ホールドアップでしょうか?
T63 Eはパートナーの2を見て4枚スーツからの
AT3 リードと知っていますから、Qが勝てば
JT42 スペードにシフトする公算が大です。
KJ5 そうなると、メジャースーツで4トリック
♦Aで5トリック取られダウンです。
図のHandでは、4枚からのリードと判ったケースですが、すぐ勝って
♦Aを追い出しに行けば、9トリック勝てる状態ですから、♡で何連勝されるか
だけの問題で、ホールドアップして♠にシフトされると,少なくとも1トリック
余計に負ける事に成り、悪くすると2NTでさえダウンさせられるかもしれません。
簡略法と但し書きが着いたのは、ディクレアラーが自分のスーツをエスタブリッシュ
させるのに2回負ける場合 2ストッパー有っても
7-(自分達が持っている合計枚数)が正しいホールドアップ回数と成るからです。
実例を書いておきます。
A874 3NT/Sに対して ♡4 がリードされ
973 ♡4-♡7-♡Q と成りました。
QJ876 先に述べた簡便法では。2ストッパー有るので
A3 6-6=0 ホールドアップの必要なしと成りますが
♦のエスタブリッシュには、AKを追い出す為
2回負ける事に成りそうです。
KJ6 ホールドアップしないですぐに勝ち、♦を負けに行くと
AK5 Eが勝って♡を続けられるかもしれず、この場合
T954 2回目の♦をWが勝つなら、♡3個、♦2個負けてダウンです
KQ4 自分の必要とするテンポも加味してホールドアップして下さい