17年11月19日(土曜日 晴れ)
つづき
ようやくお目当ての「四季彩」がやってきました。通勤電車の201系を観光電車に改造し、塗装も変更したものです。
4両編成のうち一番前の車両には、このように窓に向かって配置されている座席があります。山手線でもこんな電車が走っていれば面白いでしょう。
窓ガラスの前には大きな台があり、リュックをしまうことのできる棚もあります。改造を簡略にしたのでこのような構造になったのでしょうが、景色を楽しむのに大して支障はありません。こういう座席配置の車両は少ないので新鮮です。
この電車も、先程の電車と同じくらい大混雑でした。奥多摩へ電車で来る人がこれだけ多いのだから、8両編成くらいにして走らせばいいのにと思います。
↑残り3両の座席配置はこのようになっています。
青梅から奥多摩までの車窓は、横に広い雄大さには欠けますが、縦に拡がって長く、奥に向かう深さもあります。
多摩川の深い渓谷から、高い山々に真っ直ぐに立つ木々にいたるまで、縦の長さがあります。
そして、どんどん奥へ分け入っていく奥行き、「もうそろそろ終点と思ったら、まだ先があった!」という楽しみがあります。
線路の左側に寄り添う多摩川には、こんな橋も架かっています。(奥多摩大橋・川井駅の近く)窓ガラスに反射して、デジカメで撮影している人まで写真に写ってしまったのはやむを得ません。
初めて青梅線を訪れた時には、終点奥多摩から2駅手前の鳩ノ巣駅の何とも言えない佇まいが、最も印象に残りました。
その時は、駅入り口の階段を下りたところでビデオカメラを構えて、奥多摩方面から入ってくる電車を撮影しましたが、優雅ささえ漂う映像をおさめることが出来て、後で何回も見返したくらいでした。
通勤電車がこれほど絵になる駅も珍しいです。いや、大都会を走る変哲のない通勤電車とて、本当はこのような景色の中で走ることを欲しているのです。中央線の橙色の電車は、御茶ノ水や四ッ谷辺りのしっとりとした風景の中を走るのも悪くないですが、ここを走るのが一番いいと思いました。
この日は車窓からちらと見ただけですが、やはりいい雰囲気の駅です。
終点奥多摩に着きました。海抜343mは、東京都内のJRでは第一の高さです。
駅前では、色々おいしそうなものを売っています。買いませんでしたが、おいしそうな虹鱒が目の前で焼かれ、おいしそうなにおいが漂っていました。これからバスに乗るので、焼き魚の串焼きを車中に持ち込むのを躊躇したのです。その代わりに、甘酒を頂きました。少し辛口の、素朴な味でした。
うまい具合にバスが来て、15分ほどで奥多摩湖に着きました。突然広い湖が、さーっと静かに現れたという印象です。バスの中では車窓は一切目に入らず、奥多摩駅のおいしそうな虹鱒だけが思い出されました。
国土地理院のホームページでは、日本における湖の面積表を入手することができます。「平成17年4月1日時点の1k㎡以上の湖沼(こしょう)の面積をとりまとめたものです」というこの一覧表には、しかし、奥多摩湖が記載されていません。(ついでに言うと、東京都の情報がここには一切記載されていないので、東京都には「1k㎡以上の湖沼」はないことになります。)
なぜなら湖沼には、人工的に造られた貯水池としての「ダム湖」は含まれないからです。
大辞泉(小学館)で「湖沼」という言葉を引くと、「陸地に囲まれたくぼ地にできる静止した水塊」とあります。ダム湖は湖沼に含まれない云々といった記述はありませんが、利水や発電によって水面が大きく上下するダム湖は「静止した水塊」ではないと考えられるので、日本語的にも、ダム湖は湖とはいえないという結論に至ります。 (この考え方で正しいのでしょうか?)
ちなみに、「湖沼」の中での湖と沼の区分については、「深くて沿岸植物の侵入しないもの」が湖であり、「浅くて沈水植物の生育するもの」が沼であるということでした。ここまでくると「沈水植物」を調べたくなりますが、キリがないのでやめておきます。
奥多摩湖は利水のために造られたダム湖です。昭和13年に工事が始まり、戦争による中断を経て昭和32年、水道専用ダムの小河内ダムが完成しました。以来今日に至るまで、東京都の水がめとして重要な役割を担っています。(情報は、東京都水道局のパンフレット「小河内ダム見学のしおり」より。)水域は、東京都(西多摩郡奥多摩町)のみならず、一部は山梨県(北都留郡丹波山村)にまで及びます。
写真右の山は、まるで寝ているアザラシのように見えます。いかかでしょう?
撮影したポイントは、奥多摩湖バス停から遊歩道を10分程度進んだところです。
つづく