くまだから人外日記

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【偽書】虹メイル・アン 〔第七話〕青空と海よりの使者の帰還 23

2017-12-10 19:21:25 | 【偽書】シリーズ
「お見事ですよ。カレン」
アンが笑顔(の様に見える表情)で言う。
「一体で四体を一気に殲滅だと?」
「ダーククラウドと組んで上司を狙うなんて姑息な奴だ」
「この地域の有力者を根こそぎ支配下に納めていたのでしょう」
呆れるメルティをたしなめるアン。
「チェッ…。今回はカレン回かよ〜」
リンダが驚くドナダ・ソラダ課長の頭をポンポンと叩きながら笑う。
「ドナダ・ソラダ課長。これが僕等のカレンの実力だよ。それよりサニー。ギフエの容態は…」
「銃弾を取り除き、止血はしましたが、傷口が深く、肺機関の管や血管の治療は私の機能では限界があります…」
「そんな。ギフエ。しっかりして」
「翔太郎か。無様な所を見せたな」
「今病院に連れて行くからね。セイラ。この国の救急センターへアクセスを」
「現在交信中です」

「それからカレン。この列車は電化軌道だ。カレンの電磁能力を使って鉄橋から列車を移動させるんだ」
このままむざむざと奴らの策略にはまったまま谷底に落ちてたまるか。
「了解です。翔太郎。先頭車両に移動して私の電力を列車に供給しますね」
カレンがデータ収集を兼ねてメルティを伴い、混み合う客車内を避けて客車の上を駆け抜けて行く。

「大丈夫かい、ギフエ」
「下手を打ちました。面目あ…りませんね」
「無理に話さないで下さい」
制止するサニーを制してギフエは僕の方に顔を向ける。
「サニー。医療班が到着するまで可能な限りの治療を」
ギフエは僕を手招きして側へと呼び寄せる。



カレンの奮闘の甲斐あって、列車は静かに前進し始めた。


「翔太…郎。先程の湖の神…話には続きがあり…ます」
ギフエは吐血で血まみれの顔を僕に向けて話し始める。
「無理をしないで」
「聞いて…欲しい。漁師の死を悲しみ泣き続けた娘を…はかなんだ天空の…神が娘の遺体を…先に若い漁師が待つ天空へ引き上げてやるべく…海水に満たされた沼に虹をかけたの…です。やがて大空と海水の交わる天空の狭…間で結ばれた二人は末永く幸…せに暮らした…との事です」
「待って。もしかして、さっきギフエが撃ったあの人は…」
「か…つては彼と将来を約…束した幼い頃もありました。でも私も彼もや…がて成長しこの…国で別々の立場に立…つ事になってしま…いました。この国では理想…や夢だけでは生きてはい…けません 」






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筆者敬白