映画と音楽、本のレビューをわがままに書き散らしています。
しをん舎ぶろぐ。【映画と音楽覚え書き】



監督:大林宣彦
主演:原田知世
観劇日:1983/7/16


僕の中の「殿堂入り映画」のうちの堂々たる一本。
この映画は僕の中のほぼ全てのポップカルチャーの基点になった作品である。

それまでは全く興味がなかったものが、ここから大きく拡がった。
観終わってからのティーン時代の一時期、映画は大林宣彦の作品、音楽はユーミン、小説は筒井康隆に深く熱中した。もちろん原田知世演じた芳山和子は、スクリーンで観たその日から永遠の「おさな心の君」となった。

桜舞い散る尾道の風景、いつもうつむいて得体の知れない不安にとまどう少女、スクリーンの中からでも匂いたってくるような温室の中のラベンダー、嵐の夜のひな祭の記憶・・・。
全てのシーンが、彼女が子供から大人への一歩を歩みだそうとする切ない予感の情報としてコラージュされている。

16歳だった当時の僕がそこに本能的に引き込まれたのは、そんな小さなエロティシズムを感じたからなのかもしれない。
当時の原田知世はそんな性的イコンを演じるのに最適な少女だった。

素晴らしい偶然と才能の中で生まれた、永遠に生き続けるジュヴナイル映画の傑作だと思う。
多分、もうこんな奇跡を持ちうる映画はそうざらには生まれてこない気がしている。(ちなみに僕のペンネームの芳山鑑は、この映画の主人公から頂いています。)

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